ワニワニパニック
時間が足りず、少し少ない文章で申し訳ないです
チームタカシさん御一行は、熱帯植物園に移動中であります。
気温が30度近い、12月でこの気温はエルニーニョだかタマラーニャだかの影響か? 記憶が定かではないが、おかしいのは肌で感じる。
疾走するバイクの風が気持ちいい、ヒナコも向かい来る風にリラックスした表情をしている。
アル、五郎はサイドカーに乗るのを拒否してドローンで付いて来ている、余程ドローンが気にいったと見える。
シェルターにある車両の中に荒れ地を走るに向いてる車もあるのだが。
瓦礫や放置された、車両が道路に多いので楽なバイクで、移動してしまうタカシさん。
これ以上気温が上がるようなら、クーラーの効く車での移動も検討が必要だろう。
移動開始してから、30分程度で板橋の熱帯植物園に到着した道中、目にした化け物は少数だっだのでスルーだ、今日は血生臭い事もしない休日だから。
園内は、まだ人や化け物に荒らされておらず、熱帯植物の色とりどりな光景が癒しを与えてくれる。
「どうだお前ら、いい所だろう」
「そうですね、こんな綺麗な植物を見るのは初めてです」
「草が一杯にゃ」
「わお~ん」
タカシさんは子供の頃、父親に連れて来てもらった記憶があるのだが。
「果物の木が少ないな? もっと沢山あった記憶があるんだが」
「そうなんですか? でもこれだけあれば、みんなで食べてもお土産にできるくらい残りますよ」
タカシさんが子供の頃は、静岡の熱帯植物園のバナナワニ園の影響で南国の果物が生い茂り、ワニがいる柵なんかもあったんだが。
柵はあってもワニの姿が無い、気にしてもしょうがないので果物の収穫しよう。
「よし果物狩りだ!」
「はい、頑張ります!」
「バナナ~♡」
「わふふ~ン♡」
こんな場合は、大人のタカシさんは 余計な口出しや手出しすべきではない。
あの子達に、試行錯誤しながら果物を収穫させるのが、一番楽しんでもらえるからな。
大人は別の楽しみがある、収穫は子供に任せて、少々マナー 違反ではあるが、缶ビール片手に植物を見て回る。
子供の頃は興味もなかったが、多種多様な植物を鑑賞するだけでも楽しめる。
そんな植物の中で、変わった物がある、説明の立て札を読むと。
「マンドレイク、別名マンドラゴラ!? 実物を見るの初だな」
ナス科マンドラゴラ属の植物で、古くから薬草や魔術、錬金術の原料として使用されてたらしい。
根の部分が毒性が強く、幻覚、幻聴、嘔吐などヤバい効果がてんこ盛りな植物だと書いてある。
そんなヤバい香りのする植物を、ビニール袋に回収するタカシさん、上手く利用すれば化け物に使えそうな気がする。
シェルターに戻ったら、子供の手が届かない場所に厳重保管しよう。
他にも怪しげな植物があるが、今日は休日を楽しむ予定なので子供達の様子を見に行くか。
子供らの楽し気な声が聞こえて来る、やはり今日はココに来て良かった、アル、五郎がタカシさんの元へ走りよって来る。
「パパ~ たくさん取れたにゃ~!」
「わふ~~!」
「おおっ沢山、取れて良かったな! 五郎それは何だい? マンゴーもあるのか?」
「わふふう~」
五郎が指を指し、あっちにあると言いたいのだろう。
「パパ、五郎があっちで、お兄さんに貰った言ってるにゃ」
「お兄さん? 人がいるのかい、お礼を言いに行こうか」
「五郎が案内するにゃん」
園内にタカシさん達以外の人がいたのか、しかし五郎の姿を見て驚かずに果物をくれるなんて、大物かタカシさんと同類の動物スキーな人種だろう。
五郎に手を引かれ園内の奥まで来ると、切り株のテーブルで。
ワニ、二匹が食事をしていた…………
とっさに腰元のナイフに手をやるが、園内に人や化け物の姿が無いので、入口付近の休憩所に置いてきていた。
まずい………… 子供らを抱えて逃げようとしたタカシさんに、ワニの一匹が二本足で立ち上がり声をかけて来る。
「逃げなくてもいいべさ、オラたちは紳士、淑女だから人は食べないべ」
「おっおう! 初めましてだ、コノ野郎!」
「警戒しなくていいべさ、そこのカワイイ坊ちゃんにも何もしないべ」
いつかは目にする事もあると思ってたが、アル、五郎の他にもやはり獣人が生まれていたようだ。
五郎がタカシさんの服を引きながら。
「わおん、わふ~♡」
「五郎が、優しいお兄さんとお姉さん、言ってるにゃ」
「そうか…… 五郎、優しくしてもらったのか、じゃあ果物の事も一緒にお礼を言おうか」
「わふ!」
彼らの温厚な態度に、認識を改めたタカシさんは、ワニ達に礼を言い、少し質問をしてみた。
「ここには、オタクら二匹だけなのか?」
「そうだべ、オラと嫁っ子の二匹だけだべ」
「そうか自己紹介をしてなかったな、タカシさんだ、よろしくな」
「オラはワニ夫、嫁っ子がワニ美だべ、ちなみに新婚だべさ」
新婚の言葉を聞くと、タカシさんの中に少しだが嫉妬心が芽生えるが、ワニに嫉妬もどうかと思い直し。
「それでワニ夫達は、魚を食料にしてるようだが? 魚がいるのか?」
「そこの川で、取って来るだよ」
「なるほどな、川に魚がいるのを忘れてたな」
熱帯植物園に隣接して川は、荒川と隅田川が合流した一つの川があるのを思い出すタカシさん。
魚を主食にしているなら、シェルター内の魚の養殖場の運営に、スカウトしてもいいかもしれない。
奥さんのワニ美も、アル、五郎の頭を撫でている姿を見ると、優しい人みたいだしな。
ワニ美がアル、五郎の頭を撫でながら、夫のワニ夫に言葉をかける。
「ダーリン私らも、こんなメンコイ子が欲しいべや」
「そんだなワニ美、作るべ! 今すぐ作るべさ!!」
そんな夫婦の会話の後、交尾の体制に入るワニ夫妻にタカシさんが飛び蹴りを入れ。
「子供の前で何してんだコラッ! ワニ革の鞄にすっぞ!!」
「何すんだべ! さては美しいワニ美にHな事をする気だべ? それは許さないべや!」
「ダーリンあの人間が、私の事をイヤラシイ目で見てるだよ!!」
「パパ喧嘩ダメにゃん」
この場にヒナコがいなくて良かった、今頃はまだ果物の収穫をしている頃だろう、多感な少女にこんな光景は見せたくない。
物事を余り理解してないアル、五郎の情操教育にも悪影響を及ぼす。
それにだ…………
「タカシさんは! ワニの交尾に興味なんかねぇぞ畜生!!」
「興味がないなら、何で邪魔するべさ! 気が散るから他所に行って欲しいべや」
「そうだべ! イヤラシイ目で見て無いであっち行くべさ!」
「ぐぬぬ………… アル、五郎、邪魔しても悪いから行くぞ」
夫婦の営みを邪魔する趣味もないので、アル、五郎を連れて、ヒナコがいるゾーンまで戻るタカシさんだが釈然としない。
「パパ大丈夫なの、お家に帰ってしこしこすればいいにゃ」
「いやアル、ワニにエロスは感じないし、羨ましくもないんだが」
「そうにゃの?」
「それにだ、しこしこの事は秘密にして言わない約束だろ」
そんな検討違いなアルの慰めを貰い、複雑な心境だよ。
ヒナコが収穫していた場所に戻ると、ヒナコは木箱に南国のトロピカルフルーツを入れていた。
木箱の中を見ると、グァバ、パパイヤ、ライチ、バナナなどの色彩食豊かな果物が詰まっている。
「随分と頑張ったなヒナコ、疲れたか?」
「いいえ! 初めての経験でしたが楽しかったです」
「アルも取ったにゃ!」
「わおおん!」
ヒナコを初め、みんないい笑顔をしている来て良かったなと思うタカシさん。
「取れたてで食べるのもいいが、持って帰ってから少し冷やして食べたいな」
「そうですねタカシさん、その方が美味しいかも」
「れいごうそ! にゃん」
「ははっ アル、冷蔵庫な」
フルーツの入った木箱をバイクの荷台に積み、楽しかった熱帯植物園の思い出を話ながら、和やかに帰路に付いた一行だが。
二度と見たく無い奴が、バックミラーに見える…………
先日、池袋で遭遇した化け物だ、ライフルの弾をものともせず、人間を狩りの対象としか見ない危険な奴が、バイクを追いかけて走って来る。
「タカシさん! 昨日のアイツが見えます!」
「ヒナコ! どこかに捕まってろ速度を上げるぞ!!」
臭いか? タカシさん達の臭いを元に追ってきたのか? バイクのアクセルを更に捻り速度を上げる。
バイクのメーターが120キロを超えた辺りで、バックミラーに映る化け物の姿が遠ざかっていく。
アル、五郎もドローンで危なげ無く付いて来てる。
臭いを元に、追われているなら奴を倒さないかぎり、タカシさん達は危険な目に合い続けるだろう。
「お前ら! 一度シェルターで準備をして奴を倒すぞ!!」
奴が追って来るなら、返り討ちにしてやろうじゃないの
明日も18時頃の更新予定となっております。 皆様、明けましておめでとうございます、本年もよろしくお願い申し上げます。