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約束プロミス


 

 ヒナコの姉であるユカさんの痕跡(こんせき)をつかめず、一度シェルターに帰還したタカシさん達。


 今後の生活を考えると、するべき事は山のようにあるはずなのに、やる気がでないユカさんの事、ヒナコの気持ち等々を考えると気落ちもしたくなる。


 アルと五郎は、言い付けを破り危険な場所まで来た為に、タカシさんに叱られたので、その後の心のケアとフォローをヒナコにお願している。


 今頃はヒナコに割り当てた部屋で、ヒナコとアル、五郎の三人で話を良くしているはずだ。


 ヒナコにとっても、アニマルセラピーではないが、幼子のようなアルと五郎は、心の癒しになってくれるだろう。


 タカシさんといえば、自室のベットでゴロ寝中なのである。


 数時間後には、もう一度ヒナコの自宅マンションまで行きユカさんが戻っているか確認しに行く予定なのだが。


 時間も宙ぶらりんに空いてしまったので、一つ世界の事を考察(こうさつ)してみようと思う。


 タカシさんはシェルター内いたため、当日に何が起こったたか全く理解していないので、昨日ヒナコに聞いた話を元に考えるとしよう。


 まず当日の正午に、突然に部屋中の電源が落ち数分後、街全体を揺るがす衝撃波が到達したらしい。


 それによって町は破壊されたとの事だ、そんな中生き残っているヒナコは運がいいのだろう。


 最初にEMP攻撃により電気を使えなくして、核が落ちたとする二段階の攻撃は戦略的にもありなんだが。


 その後に日本を占領する意思がある国が、上陸部隊を送り込むのが妥当だな。


 だが、そんな姿は見ていない、核を撃った直後に報復攻撃の核により、その国も崩壊寸前な状況だと考えると話の筋は通る気がする。


 だが現実は、都内中に化け物の姿があり、第三者が漁夫の利を得るために送り込んだと考えれば、ストンとスッキリはできる。


 タカシさんの考えが、正しければだが…………


 そんな結論もでない考えは中断して、そろそろヒナコの自宅マンションにでも向かうか。


 また、タカシさん一人で行くと、ヒナコに怒られそうなので、一応声はかけるか。


 ヒナコの部屋に向かい、ドアをノックしても反応がない?

少女はいえレディの部屋を、無断で開けては失礼にあたるだろうが。


 保護者として、ドアを開けると、アルと五郎の姿が見え無い育児用のレクレーションルームにでも、行ったのかもしれない。


 ヒナコの姿はすぐに気がついた、ベットの中で丸くなり熟睡している、疲れが出たんだろう。


 タカシさんはヒナコの毛布を直し、そっと部屋を出て搬入用のエレベーターへと歩く。


 アルと五郎の事は昼間、あれだけ叱れば無茶な行動はしないだろうと、声をかけずにバイクの前まで来たんだが。


 バイクの影に座り込む、アルと五郎の姿が見える。


 タカシさんはアルと五郎の頭を撫でながら優しく問いかける。


「どうしたんだお前ら? ヒナコ姉と一緒に寝なくていいのかい?」


「パパ…… ゴメンなさいにゃん…」


「わふんふん……」


「反省できれば、いいんだよ二人とも、お利口さんだな」


 うんうん、十分に反省しているようだ、声を荒げて叱るなんてやりすぎたよな。


 アルが、タカシさんのズボンの裾を掴みながら、口を開いた。


「でも、パパ心配だったにゃん」


「その気持ちは、パパはスゴイ嬉しいぞ、でも危ない真似はダメだぞ」


「わかったにゃ」


「わん」


 この子ら、何てカワイイ奴らなんだ、ふさふさのほっぺにチューしてやるぞ


「パパお願あるにゃん」


「ん~何かな~?」


「ここの中だけじゃなく、お外でも散歩したいにゃ」


「わっふ~ん」


 はて、困った、この子らは血の繋がりや種族が違ってもタカシさんにとっては愛すべき我が子だ。


 そんな我が子を、危険な外に出したくないのが本音だが、この子らの自立心を養う為にも、外での環境には慣らしておきたい。


「パパから条件がある」


「何にゃん?」


「お外に出る時は、必ずパパかヒナ姉に言う事、後は無線を必ず付ける事、最後にドローンでお外に行くのが条件だ、お約束できるかな?」


「約束プロミスにゃ!」


「わお!」


 少なくとも、地上ではなくドローンで散策していれば安全だろう、約束プロミスなら言い付けも、守ってくれるに違いない。


「じゃあパパは行くけど、二人ともヒナ姉をよろしくな」


「お任せにゃ!」


「わおん!」


 そうタカシさんは、言葉を残してバイクで搬入用のエレベーターに乗り込む。


 今晩も月明りが強い、星が見えすぎて気持ちが悪いくらいだ。


 今までは、街の明かりが邪魔をして気が付かなかったぞ。


 ヒナコの自宅マンションに到着して、階段を上がるのも三度目だな、いい加減になれてもいいだろう、両足の大腿四頭筋さんよ。


 乱れる呼吸を整えながら、お邪魔しますと室内に入るが、ユカさんが戻った形跡は無い。


 溜息を付きながら、バイクに戻るタカシさん。


 今日も進展無しか、腐っていても仕方ないので帰りに遠回りして銃砲店に寄り、店内に残してあったエアライフル弾を回収する。


 店内にある弾をサイドカーに積めるだけ積んだが、店内にはまだ弾は残っている、何かあった時のために残りは回収せずに、店内に残しておくか。


 そのままタカシさんは、シェルターに戻らず。


 ミリタリーショップまで足を伸ばして、店内にある、クロスボウの矢を段ボールごと運び出し、バイクの荷台にバンドで固定する。


 暗い店内の中だったが、気になる品物があり、リュックに入るだけ入れたら肩紐が肩に食い込み結構痛い。


 気になる物は、クマ避けに使用する協力催涙スプレーだ、接近戦でこれを使えば、化け物の視界を塞ぎ逃げる隙を作れるな。


 視界を塞ぎ化け物を殺しても、ゲームのようにレベルが上がらない、だったら無視して立ち去る方が利口だろう。


 バイクに山のように積み込まれた荷物を崩して落とさないよう細心の注意を払いながらシェルターへと帰還した。



◇◆◇



 シェルターに帰還してみると、時刻は深夜1時を回っている、荷ほどきは明日にして寝ようかと、自室に戻るタカシさん。


 自室に戻ると、抱き合うように絡み合って寝ているアルと五郎の姿がある。


 眠りの浅いアルが目を覚まし、嬉しい言葉を告げる。


「パパおかえりにゃん」


「ただいまアル」


「五郎イイ子してたにゃ」


「そうか、面倒見てくれたのか偉いぞ」


 ベットで寝る五郎を起さぬよう、小声だがアルにお帰りの言葉を貰うと、それだけで幸せな気分になれる。


 アルは、そっとベットを抜け出てタカシさんに抱っこを要求してくる、眼尻を下げながらアルを抱き上げるタカシさん。


「パパ、しこしこして、もう寝るにゃ」


「ははっ パパ何を言われてるか、わからないや」


「ここなら、大きな声で、おう~ おう~ しても下の階のおばあさん怒りに来ないにゃ」


「アル…… その話を他の人にしては メッだからね………」


 何てこった……… 普段はアルの目が無い時に、コソっとしてたのに見ていたなんて。


 それに、下の階のババアが怒って来るのは、ベットのスプリングが古くて少し軋むだけだよ。



 タカシさん、そんな凄いオナニーとかしてないからね…………



 これからは、隠密行動が得意な特殊部隊の隊員のように、音を立てず、気配を殺して、スッスッと済ませてやる。


 アルは、もはや仕方ないが、五郎にバレたら教育に悪い所の話じゃない。


 あんな、つぶらな瞳で見られて『パパ何してる??』とかなったら軽くお薬が必要なレベルに病んでしまう。


 翌朝、目が覚めると、猛烈に腹が減っている昨日はハードな体験をしたせいか、体中の筋肉が栄養を欲しがっている感じだ。


 まさか!? 化け物を倒しまくったから、レベルアップの前兆か? そんな考えが頭をよぎるが、そんな都合の良い話があるわけない、単なる疲労と筋肉痛であります。


「足腰が痛ったい………」


  このシェルター内に住人のストレス緩和の為にプールが併設されている事を思い出し、パジャマのままプールに行くタカシさん。


 プール室に入ると、かなり大きめに作られたプールが見える、ウオータースライダーなどもあり子供らが喜びそうな環境になっている。


 タカシさんは服を脱ぎ、全裸でセレブなプールタイムを洒落込(しゃれこ)趣味はなく。


 円形の作りが美しい、大理石のジャグジーに入る為だ、湯船に足をいれると、ジワっと染み込むように熱を感じる。


 そのまま全身を湯船に沈めて、思わず声が出る


「あ~~~~ たまらんねこりゃ~」


 海外の映画でセレブ様が、シャンパンを飲みながらジャグジーだなんてシーンがあるが、今度チャレンジしてみよう。


 湯船に浸かりながら、防水タイプのタブレット端末を触り、この辺りの精細地図を見るタカシさん。


 セレブリティな風呂があるのに、足りない物がある。


 フレッシュで新鮮な果物が足りない、シャンパンも果物もシェルターにあるけど、果物は冷凍物だから新鮮さに欠ける。


 付近のスーパーは全滅だろう、都内に果樹園は少ない、残るは熱帯植物園に決まっている。


 近隣だと板橋か片道30分て所だな、落ち込みがちなヒナコの気分転換にもいいだろう、皆んなで行ってみるか。


 バナナ狩りとか盛り上がりそうじゃない。


 タカシさんは、Tシャツとハーフパンツに着替え自室の居間に戻ると、全員集合していた。


 ヒナコがコーヒーを入れながら、タカシさんの姿に気が付き。


「あっタカシさん、どこに居たんですか? 探したのに」


「プール室のジャグジーだ」


「シェルターにプールがあるんですか?」


「ああ、ウオータースライダーもあって凄いぞ」


 タカシさんは、入れて貰ったコーヒーを飲みながら、会話を続ける。


「時間があればアル、五郎を連れて行ってみるといいさ」


「そうですね」


「お風呂? お風呂はイヤにゃ~」


「わふふ?」


 アルの風呂嫌いは相変わらずだが、プールで遊ぶ楽しさを知って欲しい、きっと気に入るに違いない。


 「それでだ今日は、気分を変えて熱帯植物園に皆んなで行くぞ!」


「植物園ですか」


「そうだ、ユカさんの足取りは必ず掴む、でもな気分転換も必要だろヒナコ」


「そうですね、今日一日ぐらいは気分転換も、いいかも知れませんね」


「大丈夫だ、ユカさんは見つかる、絶対に見つけて見せる………… だからそんな顔してるな」


 明るく振る舞うヒナコの表情だが、どこか影がある、そんな精神状態のままでは、ヒナコが潰れてしまうだろう。



 ユカさんには悪いが、休養を取らせてもらい、リフレッシュするとしますか。



 明日も18時頃を予定しております。

毎日更新がこんなにシンドイとはw


皆様も良いお年をお迎えください。

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