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Gカップなロードバイク

更新予定にギリ間に合いましたw




 世界が変わり数日、今までで一番の強敵と出会い危機一髪と思われたが、アルや五郎の機転のおかげで、タカシさん生きております。


 あんな目にあったので、用心しながら足早に進む二人。


 先程まであれだけ騒がしかったのに、化け物の群れはの姿は見えない、前に見た進行方向から予想するに。


 世田谷区方面、もしくは品川区方面のどちらかに、群れが完全に移動したと思われる。


 池袋のサンシャイン付近には、少し変わった道を見る事ができる。


 六ツ又陸橋と呼ばれる、明治通りや春日通りの分岐点としても知られるが、六叉路の交差点は周囲の景観と合わせて見るとスチームパンクの世界だ。


 目的地であるユカさんの職場も近い、あと数分も歩けば到着する。


「ヒナコ……… もうすぐ着くぞ、ユカさんが居ればいいがいなくても…………」


「わかっています……」


 最悪の場合も想定して、少しヒナコに言い(ふく)めておきたったが、言葉が見つからない。


 言葉も掛けられないまま目的に到着して。


「このビルか………?」


「そうです、この3階が姉のいる職場のはずです」


「入るぞ………」


「はい………」


 二人は緊張は緊張感を高めながら、ビルの中に入り階段を登る。


「3階ならこのフロアだな」


「ここで間違いないです、姉の職場のロゴも書いてありますし」


「社名を見ると、工業用の工作機械を、海外へ販売する会社なのか」


「はい、姉もアタシと同じ環境で育ち、機械から離れられないようで」


 そんな軽口を聞きながらでないと、気が変になりそうな程、職場内は死体が多い。


 少々酷ではあるがヒナコに、物言わぬ女性の骸をの顔を一人、一人確認しもらう。


「この方も違います…………」


「そうか………」


 こんな不毛とも感じられる行為を繰り返し、とうとう最後の女性の遺体の前に歩みを寄せる。


 変われる物なら、変わってやりたいが確認できるのは肉親のヒナコだけだ、そして最後に残った遺体と言う事は。


 最後の女性の遺体を、タカシさんが上向きに起こして、ヒナコに確認させる。


「どうだ………… ユカさんか?」


「違います……… 姉ではありません…………」


 プハッー とタカシさんが大き息を吐く、良かった違ったんだな、てっきり最後の遺体がユカさんかと思ったぞ。


 その場で崩れるようにへたり込んでしまうヒナコを抱きしめながら。


 ヒナコにユカさんは、生きている事を印象付けるように大声で伝える。


「良かった、ユカさんは生きてる! 生きてるぞヒナコ!」


「はい! お姉ちゃんは生きてます! きっと帰宅途中の何処かで避難しているんだと思います!」


「そうだなヒナコ! 何か手がかりが、あるかも知れないから、ロッカールームに行くぞ」


「そうですね、何かあればいいんですけど」


 とりあえず、職場にユカさんの姿は無い、人間は希望を無くさなければ生きていく気力も湧く。


 わざわざヒナコに、ユカさんが無事に生きているかのような印象を与える言い方をしてしまったが。


 ヒナコのはその言葉が必要だと、タカシさんが判断した、ためだ、本当にズルイ大人になったもんだと、自分でも思うよ。


 何か 手がかり欲しい二人は、ロッカールームへと足を運びユカさんのロッカーを探す。


 何か小さな糸口でもいい、この重苦しい閉鎖感を抜け出る突破口が欲しい。


「タカシさん、ココです、ココが姉のロッカーです」


「これか、女性のロッカーを開けるのはアレだが開けるぞ」


 ヒナコがロッカーに貼り付けてある、ユカさんのネームプレートを発見て、失礼ながらタカシさんがロッカーを開ける。


 開けて中を見ると、ハイヒールと女性物のスーツが吊るしてある?


「ヒナコ、何でスーツとハイヒールが残ってんだ? まっ まさか!? ユカさんは裸で避難を…………?」


「違いますよ、多分ですが姉はロードバイクで帰宅するのでスーツを置いているんだと思います」


「ロードバイクだと!?」


「はい最近、買ったので時々ロードバイクで通勤してましたから姉は」


 裸や下着姿で避難したのかと、ユカさんの趣味を疑ってしまったが、イヤ、趣味はいいんだ人それぞれだし。


 それより気に喰わないのがロードバイクである。


 これはあくまでも、タカシさん個人の意見に過ぎないがロードバイクが大嫌いなのだ。


 会社員時代に、上司がロードバイクで通勤していたため、それに合わせるように、他の同僚達もロードバイクで通勤を初めたんだ。


 上司がスポーツジムに通えば、同じ所に通いロードバイクで通勤すれば、気に入られようとロードバイクで通勤を始める。


 タカシさんも20万近い金を払い、カーボンフレームのビアンキを買ったが、そんな古い体質のクソのような職場だった。


 同僚の一人は横浜から、毎日六本木まで通勤してゲッソリと痩せていた、


 それ以来、タカシさんの中ではロードバイクで通勤する人間が大嫌いなのである。


 いくらGカップでも、ロードバイクで通勤をする人はちょっと…………


 HカップよりのGカップなら、許せもするんだがユカさんはどちらだろう?


「なあヒナコ、ユカさんは、Hカップ寄りなGカップかな?」


「えっ? そうですね言われてみればHカップ寄りですが、それが姉の行方に関係が?」


「そりゃ~ 色々と関係があるぞ、あるんだよ」


「そうなんですか?」


 一応、関係は無くもない、雪山で遭難した時に、胸が大きい人程、生存確率が高いデータもあるし、このケースではどうなんだろう?


 しかしロードバイクで移動してるなら、足立区の自宅マンションに帰宅している可能性が高いのに、戻った形跡は無かった。


「ヒナコ、ユカさんが何処か立ち寄りそうな、場所はあるか?」


「自宅に戻ると想定してですよね…………」


「やっぱりないか…………」


「あっ あります! 一か所だけあります!」


 ヒナコが急ぎリュックから地図を出して開く。


「ココです! 叔父が自衛官で十条駐屯地の勤務なんです、自宅に戻る途中で叔父に助けを、求めもおかしくありません」


「なるほど、中央環状線ではなく、一般道から帰宅するルートなら、ありえるな」


「次の目的地は決まったが、大丈夫かヒナコ?」


「はい、姉が無事な可能性が高まって、疲れも吹き飛びました!」


 再び、地下鉄まで戻りカヤックでバイクの置いてある駅まで、1時間以上かけてしまったが、まだ日は明るい。


 軽くバイクを点検して、二人は十条駐屯地へと向かった。



◇◆◇



 十条駐屯地は、陸上・海上・航空・が共存する全国でもまれにみる駐屯地で、主に兵站(後方支援)の役割で有名な場所だ。


 年に一度開催する、盆踊りは一般人も駐屯地内に入れるイベントなので、タカシさんも展示車両を見る為に行った記憶がある。


 そんな駐屯地の敷地に入った二人だが、人の気配が感じられない。


 普通、敷地に入ろうとしたら、入口の警衛所前で呼び止められるであろう。


 だが、誰もおらず、すんなりと中に入れてしまうあたり気持ちが悪い。


 車両は放置され、建物の中も人の姿が無い。災害対策用の食料を発見したが、随分と荒らされていて残りも少ないように見える。


「誰もいませんねタカシさん、自衛隊の人はどこに行ったんでしょうか?」


「わからんな、避難民の避難誘導や食料の、支援で忙しいとしても変だな」


「ですよね…………」


「駐屯地を放棄する、事態でもおきたのか?」


 誰にも会えず、姉のいた痕跡も発見できずにいる落ち込みがちなヒナコを慰めながら、食料のある建物から出ると。


 以前に会った事のある、アホの姿があるサウ蔵だ…………


 相変わらず、サウ蔵は自転車部隊を引き連れている、サウ蔵の今回の乗り物は、自転車二台にリアカーを引かせている。


 取り巻きの子分達も、姿が随分と変わっている、全員、モヒカンヘアーに肩パットをしている。


 リアカーの上で仁王立しているサウ蔵が、突然会ったタカシさん達に驚き、声をかけようとしているが。



 それどころでは無い…………



 肩パットだぞ、肩パット…………


 ヒャッハー! な連中が肩パット………… 欲しい…………



 A・頼みこんで譲り受ける


 ないな、あんなに良い物を譲ってくれるわけがない。


 B・手持ちの食料と交換する


 コレもないな、食料ごときで、あんな素晴らしい肩パットを交換するとは考えづらい。


 C・ヒャッハー! なモヒカンだから力ずくで奪う!



 C案で行こうと思います…………



 タカシさんは手前にいる、モヒカンに飛び掛かった!


「肩パットを寄こせコノ野郎!」


「ひゃ ひゃ~ 助けてください~ サウ蔵さん!!」


「いいからそいつを、タカシさんに寄こせーーー!」


 周囲にいた、モヒカンAとモヒカンBに羽交い締めにされ、肩パット強奪は阻止された。


 肩パットを奪われかかった、モヒカンCはレイプ被害に会った少女のように、肩口を押さえ涙目になっている。


 状況が落ち着いたのを見計らって、サウ蔵がタカシさんに喋りかける。


「誰かと思ったら、いつかのオッサンではないか」


「おうっ サウ蔵君も元気そうで何よりだ」


「オッサンも食料を回収に来たのか? ウチのコミュニティは老人や子供が多いから、残り少ないココの食料はやらんぞ……… 少しだけならいいがな」


「気を使わせて悪いなサウ蔵君、でも食料はオタクらが持っていけばいいさ」


 見知った顔ぶれに嬉しくなり、少々、ふざけてしまったが、相変わらずサウ蔵君はイイ少年だな。


 やはり時期を見て、食料支援してやるか。


「オッサンらも食料が必要なんだろ? いいのか?」


「見ての通りタカシさん達は二人だ、少しだが食料の蓄えもある、ここにはこの子の身内を探しに来たんだ」


「その女の子の身内か、何があったか知らんが、ココは無人だ残念だったな」


「そうか、サウ蔵君も知らないか」


 その後、サウ蔵君達と化け物に関する情報交換をして別れたのだが。


 肩パットはやっぱりダメだって、大事な物だから譲れないらしい、どんだけ大事なんだよ………… 大事だよな………


 別れ際に、サウ蔵君が自分らのコミュニティに来るよう誘ってくれたが、丁重に断っておいた。


 サウ蔵と子分は見た目と言動で損をしてるよな、意外とイイ奴らなのに。


 でもそんな恰好でもしてないと、他のコミュニティに舐められ食料を奪われたり、トラブルを防ぐ意味もあるんだろう。


 そんな予想をタカシさんはしてみる、真正のアホであんな恰好をしてる可能性も捨てきれないが。


「で、ヒナコはどうして黙っているんだ? 大勢のモヒカンが怖かったか?」


「いえ、あの人達は、地元でも有名なアレな人達で、姉に見かけても口を聞いたらダメだと言わてたんで」



 地元でも有名なアレって、やっぱりアホな奴らだったんだな…………


 

明日も18時頃に更新予定です。この時期になると、機動警察パトレイバー 二課の一番長い日の立ち食いそばシーンを思い出し、つい食べたくなりますw


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