物語は終わるべきだ
「いやー、遠くで見てて愉快だったね! 世界の終わりに見るものとしては、シュールで、場違いで! とーっても、面白かったよ!」
「……」
「あれー? 私の声が聞こえてないのかなー? 絶望しすぎて変になっちゃったかな? アハハハ! それでも管理者であるフォルフルゴートは、存在しないといけないんて、面白すぎるよねぇ!!」
もはや、微動だにしないフォルフルゴートの周りを飛び回る、白竜リア。世界の崩壊は終わりに近づきつつあり、後数時間もすれば完全に世界は破壊され、そして新しい次の世界が誕生するだろう
「……。黙れ」
「アハハハ! 私でさえも、ちょっとは同情しちゃうな―? まぁ、どうせもう少しで私も消えるんだし、どうでも良いやーっていうのが、本音なんだけどねぇー! 次の世界でも、頑張りなよー? 中立の管理者さまー?」
そして、ようやく、フォルフルゴートは動きを見せる。拒絶の力を結晶化して、小さなクリスタルを造り出した。それも見ても、リアは愉快そうに高笑いを続ける。
「……」
「アレー? 私を消そうとしてるのかなぁー? いいよー? 受け入れてあげるよー? ほら、ほら、やってみなよー」
フォルフルゴートの造り出したクリスタルは、打ち出され、リアの身体を貫いた。いや、正確にはリアの体内に留まっているようだ。そして、拒絶の力によって消滅するのかと思えば、なんの影響もない。
「……。中立の管理者の力の一部を渡した」
「ハァ!?」
「中立の管理者には明確な従者は居ない。だが、在り方として、ドラゴンは中立の従者。その力との相性は悪くないだろう」
「そんなことが、出来る訳が!」
「本来は出来ない。だが、従者ではなく、代理としてならば」
「なんて奴だ……!」
フォルフルゴートの姿は、凍り付くかのように、クリスタルに包まれていく。自身を拒絶し、中立の中心の一点に、リアを代理として置いた。
「それでも、僕の物語は、終わってくれない」
そして、世界は、転生の時を、迎える。