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異世界通貨を作ろうとしてみた


 『異世界物語で必ずと言っていいくらいに出てくる定番の品』


 ボンヤリと考えていると、ふとある物が思いつく。


 コレを作れば考察もかなり面白いよな……いや、間違いなく面白くなるはず!

 革の盾とかソレっぽいのは結構簡単に作れたし、ちょっとくらい難しそうに見えてもへーきへーき! きっとなんとかなる! やっちゃえやっちゃえ!


 ノリのまま作ってみる事にした。


 ……けれど


 知識と技術と道具と度胸の不足は、どうしようもなかったよ(泣)


 

 はいどうも。フェフオウフコポォと申します。

 エッセイの短編投稿に懲りず今度は連載に変更して投稿しております。


 ではいつも通り定型句を。


 はじめに、私が記す内容に関しましては、あくまでもエッセイです。

 個人の主観で感じるまま書き綴ったモノであり、純粋に『私はこう思った』という程度のモノでしかありません。内容によっては書いても仕方がないことを述べる愚痴のような物もままありますので、どうぞその旨ご了承を宜しくお願い申し上げます。



 さて、失敗したエッセイまで投稿して、引っ張りに引っ張ったテーマは


 『異世界通貨を作ろうとしてみた』


 です。


 異世界物語で必ず出てくる『異世界通貨』

 その異世界通貨の中でも定番中の定番と言えば『金貨』『銀貨』『銅貨』。きっと読んでいる物語にも出てきたのではないでしょうか?


 もしかすると作ってみたシリーズを読んでくれている人の中には、前の失敗エッセイを読んで『貨幣』を想像した人もいたかもしれません。でも考えついても金貨等の原価を考えれば相当なアホでない限り、まず手を伸ばさないだろうと考えて回答を胸にしまうはず。


 そんな変な物を……私は作りたかった。


 まずは結果をご覧ください。


挿絵(By みてみん)


 左から、金、銀、銅。



 はい失敗。

 またも失敗。


 ああああ~~~! もう火が怖いの!

 金属が溶けて『私。今燃えてるの』的に発光しだす感じとか! そんなの見慣れてないから、とりあえず溶かしただけでいっぱいいっぱいになりましたですよ!


 溶かして柔らかい内に打刻して模様をつけるまでやるつもりだったんですが、そこまでの加工は難しかったです。残念加工人で申し訳ない限りでございます!



 ただ、それでもやってみて発見した事や思う事は多々ありましたので、それについて記して行きたいと思います。

 まずは素材について



挿絵(By みてみん)


 素材:金(Au)

 純度:99.9%

 融点:1064℃

 沸点:2856℃


挿絵(By みてみん)


 素材:銀(Ag)

 純度:99.9%

 融点:961℃

 沸点:2162℃



挿絵(By みてみん)


 素材:銅(Cu)

 純度:99.9%

 融点:1084℃

 沸点:2562℃



 はい。ちょっと溶かしただけ。

 ぶっちゃけ成形はハードル高すぎました。


挿絵(By みてみん)


 前回るつぼを割ってしまったので、今回はそれぞれの素材を溶解皿の上に載せてガストーチの火をぶつけて溶かす事にしました。


挿絵(By みてみん)


 本当は溶かした後に、上写真のスプーンの柄を素早く押し当ててトンカチでカツンと打って打刻しようと思ったんですが一度溶けた金属は驚くほど放熱するのが早く、すぐに固くなり成形するまでの温度にあげるにはもう少し火力が必要と感じました。


 時間をかけて熱を当て続ける事でもできるかとも思ったのですが、ガストーチの最高温度の部分は意外と小さいようで、当てていても温度が下がるように感じる所もあり、純銀以外は完全に溶かしきる事も難しかったです。

 金属をいじるには、まだレベルが全然足りませんでした。反省。



 さて。


 ここからは考察になるのですが『金貨』『銀貨』『銅貨』を実際に作ろうとしてみて、道具であり設備であり技術であり必要になる事というのが見えてきたように思います。


 まず、注目したのは『貨幣としての価値』


 そもそもの話として、紙幣ではなく貨幣が使われているという事は現代における『信用』を価値としているのではなく、ある種の『物々交換』のように『現物』を価値としている意味合いが強い事になるのだと思います。

 そして純銅の価値は低く、純銀の価値は少し高い、そして純金の価値はとても高い。これが世界基準となる。


 さらにその共通する基準を基に貨幣発行機関が存在し、その機関が一定の割合で金属を含有させて価値を保証しているからこそ流通して利用されていることになる。


 つまり、その発行を担う『機関』が必ず存在する。そしてその機関に素材を提供するだけの技術、流通が構築されているといえるのではないでしょうか。


『純粋な金属を取り出す技術・知恵』

『金属を加工する技術・知恵』

『価値を知らしめる教育・知恵』

『末端にまで行きわたらせる流通システム』


 その機関は貨幣を日常的に使用する為に最低でもこれらを手にしているし、利用している。

 なにより貨幣を使用させるだけの大きな影響力を持っていることになるのではないでしょうか。


 大抵の場合は『王国貨幣』など、影響力の届く範囲で利用される形が一般的となり、話が進んで違う王国が出てきた時に「別の王国貨幣があったのか。」などの解説を付け加えておく必要性を感じました。


 もしその記述が無い場合は『全世界共通の貨幣が存在する』という事になり『世界の中枢を担う機関』が存在する。つまり世界が一つの思想を基に統一されている可能性が示唆される恐れがあります。


 現代の地球の世界におきかえて想像してみると『全世界共通の貨幣』は存在しません。

 もっとも近い物はクレジットカードかもしれませんが、あくまでも『貨幣』という名の『金属』の価値を基にして共通しているということになれば、その『世界政府』の存在はとんでもない存在であることが想像に易いです。




 また『金属の価値』についても非常に重要で、その金属の『利用価値』の高さを表している可能性があります。それは埋蔵量であったり利用方法、美的価値さまざまな要因が絡みますが、価値が高くなればなるほど希少であると言える存在に違いありません。


 地球を例に考えてみると純金の埋蔵量は50mプール3杯分と言われており年々その価値は高くなっています。利用方法も工業、装飾、様々な分野で利用され、その希少価値が広く知られているからこそ私達は「金だから高くて当然」という意識を持っています。


 銀は金より多く取れるからまだ安い。

 銅は銀よりもっと取れるから安い。

 鉄やアルミは取れまくるから価値が低い。


 目に触れる機会、そしてその埋蔵量が価値に大きな影響を及ぼすのは、銀が希少とされていた時代があった事からも容易に想像できます。


 さて、ファンタジー世界においてはどうでしょう。

 よく出てくる『ミスリル』を例に考えてみると、物語においては勇者だけが使うとか限られた人が使う物として知られているパターンの物や、兵士の鎧等に使われるパターンもあります。


 後者の兵士が利用しているような場合、ミスリルは当然貨幣として使われる可能性が高く、その貨幣位置によって埋蔵量を知る事が出来ます。

 一般の兵隊が普通に持っているとしたら、貨幣の価値としては、銅貨の少し上か銀と同等程度が妥当なレベル。ミスリルの特性により加工が難しい場合はその価値は銀貨より上になる可能性はあれど、そこまでの技術を貨幣としての利用につぎ込むならば、一般兵が持てる鎧の価値とはならないでしょう。


 金属加工。めっちゃむずいんだもん。ほんと。



 なんだか何を書きたいんだか適当になってきましたが、まとめますと


 『金貨』『銀貨』『銅貨』という金属の価値を基準とした貨幣を使用すると、それに伴い、物語における世界のあり方がおおよそ決まってしまう可能性が高い。

 いや、ほぼ決まってしまうと言っていい。


 分かり易いからと安易に『金貨』『銀貨』『銅貨』貨幣を採用すると「この世界では『鉄』が貴重なんだ」と主人公が鉄を金貨で売るような事は非常におかしく道理が通らない可能性が大きい。


 何故なら金銀銅の順番で価値が決まっている世界であれば鉄は加工しにくくはあっても採取量は確実に多く、そして金銀銅を貨幣へ加工する事が出来る技術があれば、鉄の融点が1,538℃なのだから溶かせるだけの技術があるのも当然。溶かす事が出来れば利用方法も思いつくし技術は磨かれるのだから。



 たかが貨幣。

 されど貨幣。


 あなどりがたし。



 まぁ……それでもやっぱり書くんですけどね。「この世界は金貨、銀貨、銅貨がある」って。

 だって。楽なんだもん。



 以下、余談。



「おまえ、絶対ニセモン使つこてるやろ?」


 そんな事を思った人もいると思うので、


「ち、ちゃんと本物用意したんだもん!」


 と足掻いてみる。



挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)



 悪い大人の見本となるよう頑張ってみたの。


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