06
その視線から、ことの真偽を読み取るのは難しくて。
バカバカしいことは充分にわかっていたけど。
でも、理解よりも気持ちのほうが強くて。
「……今回だけね」
「ありがと、瑠美ちゃん」
でも後になって、桃花の連絡先はお姉ぇのハッタリだったことを知った。
薄々気づいてはいたけど、最近の私はこと桃花のことになると途端に冷静さを欠くらしかった。
それを独占欲なんて言葉で表すことは簡単だけど。
でもそれだけじゃないというか、いや、むしろそういう言葉が出てきてしまうこと自体が問題というか。
何をいってるのか自分でもよくわかんないけど。
いや、本当はわかってるんだけど。
「って、どっちだよ」
なんて突っ込みは虚しくて。
その気持ちに気づいたのは少し前のこと。
駅で桃花とふたりで遊んでいた時、私は桃花の脚を見て、なんだかよくわからないけど、この脚を他人に見られたくない──と、本気でそう思ってしまった。スカートを短くした桃花はすごくかわいくて、だから初めはそう思っていただけだったのに。
すれ違う男の視線が無性に気に触って。
何あんたら勝手に見てんの?
なんてそんな風に思った途端、私は桃花の脚を文字通りひとり占めしたくなってしまった。
その時はでも、それだけだった。
誓っていうけど、本当に桃花の脚だけだった。
なんで脚なのかは、なんと答えていいものか私にもよくわからないけど、女の子の太ももが好きとしかいいようがなくて。
って言葉だけ抜き出せば変態極まりないけど、好きなんだからどうしようもないし──。
いやまあ、それはそれとして。
ともかく、その時は桃花の脚をひとり占めしたくて、だからそれが叶った時は嬉しかったし、ものすごく満たされ気分でいた。私も同じように桃花にひとり占めされていたというのもあって、正直なところ幸せすら感じていた。