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3mmの時間  作者: 新々
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 その時、また桃花の手が私の頭にふっと降りてきた。

「ねぇ。仁奈さんとわたしのだったら、どっちのがいい?」

 でも、すぐにこういい直す。


「瑠美はどっちの脚が……好き?」

「桃花……のが、好きだよ」


 顔を少しだけ上げて、そう答えてみる。

「本当に?」

「うん、本当に」

「もう浮気しない?」

「浮気って」

「だって、約束したじゃん」

「そうだけど……じゃあ、桃花もしないでよ」

「わたし? しないよ、そんなこと」

「早紀」

「え?」

「あんまり、仲良くしない……で」

 ぐっと胸が苦しくなる。

 それは脚を抱いてるからなのか、それとも別の理由からかはわからなかった。その苦しさを吐き出すように、言葉をつなげる。


「楽しそうに話してるとすごくイライラするから、ふたりで帰ったり、おそろいのもの買ったりされるのイヤだから、だからやめて。仲良くしないで。一緒にいないで」


「瑠美……重い」

「……うん。ちょっと太った、かも」

「そうじゃなくて」

「……わかってる」

 そんなの、ずっと前から気づいてたし理解していた。


 でも、頭でわかってても。

 気持ちは抑えられなかったから。


「嫌いになった?」

「ううん。でも、仲良くしないでっていうのは無理、かな」

「なんで?」

「だって早紀は友達だもん」

 さらりと返されて、私は一瞬言葉につまった。

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