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3mmの時間  作者: 新々
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「あーあ、とうとう捕まっちゃった」

 楽しげにそういった後で、また私の名前を呼んだ。


 瑠美。

 ねえ、瑠美。

「こっち向いて」

 桃花の両手が、私の顔を膝の上に固定する。


「まだ怒ってる?」

「別に、怒ってないよ。桃花こそ怒ってないの?」

「怒ってないよ。でも、ちょっと後悔してるかな」

「後悔? なんで?」

「だって、他の人に膝枕されちゃったから」

「あれは別に……そんなんじゃないから」

「そんなのって、どんなの?」

 自分でいっておきながら私にもよくわからなかった。

 誤魔化すように太ももの間に顔を埋めて、手の中にある両脚に身体をぐっと押しつけた。

 頬と密着した桃花の肌はちょっとだけ冷たかったけど、でも後から温かさがじわじわと広がって、なんだかとても安心した。

 気を抜くと眠ってしまいそうなくらいに。

 それはすごく気持ちよかった──のだけど。

 穏やかな心とは対象に、心臓はありえないほど早く脈打っていた。

 うごめくように耳の奥で血がドクドクいっている。

 温もりを溜め込んだように、頬が急に熱くなる。

 そのうち身体ごと熱くなって、全身がドクドクいった。


 何してんだろ私。

 今さら冷静になって焦り出す。

 というより頭が混乱した。

 けど、でも。

 手も身体も桃花の脚から離れたくなくて。

 ううん、違う。

 離れたくないのは脚じゃなくて──。

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