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3mmの時間  作者: 新々
30/38

30

 その思いに駆られて桃花に視線を移すと。

 髪に埋もれた小さな顔が、すっと表に出て。

 二重瞼の大きな瞳が私を捉えた。

 でもその視線はどこか不安げで。

 我慢するように、迷ったように。

 桃花は少しだけ、下唇を噛んで。


 その瞬間、私は直感した。


 途端に嬉しさが込み上げてくる。

 気を抜くと頬が緩んでしまいそうだけど、もう手遅れかもしれない。

 まあそれならそれで隠してしまえばいいだけのこと。

 そんないいわけ、というか口実を自分にいい聞かせながら、私は座ったままそっと桃花の脚に寄りかかった。

 額を膝に当てるように、そっと。


 一瞬跳ねるように脚が動いたけど、でも拒むことなく桃花の両膝は私の頭を受け入れてくれて。

 やがて小さくて柔らかいものが私の後頭部を包み込んだ。

 それはなんども髪の上を滑っては包み込んで、包み込んでは滑ってをくり返した。

 まるで大事なものでも扱うかのように。

「本当はね、ちょっとわかってたんだ」

 雨音の間を縫って、桃花の声が降ってくる。

「瑠美が嫉妬してること。ごめんね。でも、なんかすごくかわいくて」

 私は何も答えなかった。

 代わりに、ぐっと頭を押しつける。

 くすぐったい、と桃花がくすくす笑う。

「ねえ、いつもみたいにしてよ。こんなんじゃなくてさ」

 甘えるように指が髪に絡んできたけど、私はそのままでいた。

 瑠美、瑠美、と桃花がなんども私を呼ぶ。

 直接心に触れるような優しい声に、私は少しだけ頭をもたげて。


 ぎゅっと両脚を抱きしめた。

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