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3mmの時間  作者: 新々
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「ちょっと暑いね、今日」

「うん」

 急に話題に無意味さが増す。

 それに気づいたのか、桃花が思い出したように新しい話題を振ってきた。


「久美さんの同人誌って、新しいのいつ出るの?」

「お盆の頃には出したいっていってた、かな。またイベントあるんだって」

「そっか。すごいよね、お話作れるなんて。昨日もちょっと話したけど、どうやって考えるんだろうね」

 同人誌の感想は昨日ひと通り聞いていた。そこでも早紀がなんだかんだといっていたから、あまり詳しくは聞けなかったけど。

「ひょっとしてさ、あれって実体験だったりするの?」

「さあ、どうかな」

 そう答えて、ふと思いついたことを口にする。

「桃花は女の子同士の恋愛ってどう思う?」

 いってから、それが仁奈さんにいわれた言葉だと気づく。

「別にいいと思うよ」

「自分が告白されても?」

「あー……」

 そこで急に口ごもり、私も私で黙ってしまったおかげで、空気がちょっとおかしくなる。


 何いってんだろ。


 こういう時、気の利いた冗談のひとつでもいえたらいいのだけど、あいにく私はそんなに器用じゃないし、桃花も桃花でそういうタイプじゃないから、結局お互い何もいえなくて。

 早紀がいたら空気を変えてくれたかな。

 なんて一瞬でも考えてしまった自分が許せなかった。と同時に、別にいなくていいよ、あんなの──なんてそんなことをわりと本気で考えてしまって、よけいに自分のことが嫌いになった。


「ごめん、変なこと訊いた」

 ようやくそれだけを口にする。

「ううん、別に」

 またしても沈黙。

 なんとなく目をそらしたら。

「何それ?」

 鞄にぶら下がってるものに視線が止まった。

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