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3mmの時間  作者: 新々
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「るみるみって、なんなのあれ?」


 部屋に戻ってくるなり、私はほとんど叫ぶようにそういった。

 鞄を投げ出し、ついでに身体もベッドに投げる。

 雨に少しだけ濡れた制服が、じとっとまとわりついて気持ち悪かったけど、もうどうでもよかった。

「なんなの、本当にっ!」

 もう一度、今度ははっきり叫んでみる。

 でもその声は降りしきる雨の音に吸い込まれて、後にはただ虚しさだけが残った。


 桃花はもう早紀の家に着いたかな。

 それともどっかに寄ってるのかな。

 ああ、駄菓子屋がなんとかっていってたっけ。

 大きく溜息をつき、寝返りを打つ。

 なんだかもうよくわからなかった。

 怒ってるのか哀しんでるのか悔しいのか寂しいのか、本当によくわからなかった。どれも合っていて、どれも違うような、そんなはっきりもすっきりもしない気分だった。

 人の気持ちって複雑だなぁ、なんて他人事のようにぼんやり考える。

 桃花の教室へは寄らずに帰ってきた。いつもなら、さよなら、くらいはいうのに。

 今日はなんだか逢いたくなくて。

 いや、逢いたくないわけじゃなくて。

「ってどっちだよ」

 枕を抱き寄せて、ベッドの上をごろごろする。

 なんでこんなに気になるんだろう。

 考えてみれば不思議だった。

 別に桃花は私のものじゃないし、誰と友達になったって、誰と仲良くしたっていいはずなのに。

 頭ではわかっているのに、気持ちは全然穏やかじゃなくて。


「……なんかすごく疲れた」


 溜息混じりにそうつぶやいたら、身体が急に重くなった気がした。

 変なの、なんて考えてるうちにふっと目の前が暗くなって。

 ごはんだよ、とお姉ぇに起こされるまで、私はそのまま寝入ってしまったことに気がつかなかった。

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