18
「るみるみって、なんなのあれ?」
部屋に戻ってくるなり、私はほとんど叫ぶようにそういった。
鞄を投げ出し、ついでに身体もベッドに投げる。
雨に少しだけ濡れた制服が、じとっとまとわりついて気持ち悪かったけど、もうどうでもよかった。
「なんなの、本当にっ!」
もう一度、今度ははっきり叫んでみる。
でもその声は降りしきる雨の音に吸い込まれて、後にはただ虚しさだけが残った。
桃花はもう早紀の家に着いたかな。
それともどっかに寄ってるのかな。
ああ、駄菓子屋がなんとかっていってたっけ。
大きく溜息をつき、寝返りを打つ。
なんだかもうよくわからなかった。
怒ってるのか哀しんでるのか悔しいのか寂しいのか、本当によくわからなかった。どれも合っていて、どれも違うような、そんなはっきりもすっきりもしない気分だった。
人の気持ちって複雑だなぁ、なんて他人事のようにぼんやり考える。
桃花の教室へは寄らずに帰ってきた。いつもなら、さよなら、くらいはいうのに。
今日はなんだか逢いたくなくて。
いや、逢いたくないわけじゃなくて。
「ってどっちだよ」
枕を抱き寄せて、ベッドの上をごろごろする。
なんでこんなに気になるんだろう。
考えてみれば不思議だった。
別に桃花は私のものじゃないし、誰と友達になったって、誰と仲良くしたっていいはずなのに。
頭ではわかっているのに、気持ちは全然穏やかじゃなくて。
「……なんかすごく疲れた」
溜息混じりにそうつぶやいたら、身体が急に重くなった気がした。
変なの、なんて考えてるうちにふっと目の前が暗くなって。
ごはんだよ、とお姉ぇに起こされるまで、私はそのまま寝入ってしまったことに気がつかなかった。




