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3mmの時間  作者: 新々
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 話題の中心は昨日のイベントでの一件だった。

 あの時はあいさつくらいしかしてないのに、早紀はまるで大事件のように語って、桃花も桃花でおもしろそうに聞き入っていた。

 私はといえば、訊かれたら適当に答えるということ以外は、ただもくもくとごはんを口へ運んでいた。もちろん、それは早紀に対してってだけで。


「久美さん、漫画描いてたんだ。全然知らなかった」

「描いてんのはお姉ぇの友だちで、お姉ぇはお話のほうを考えてんだって。私も最近知ったんだけど」

「そうなんだ。わたしも読みたいな、それ」

「じゃあ貸してあげよっか?」

 なんて言葉を口にしたのは、私じゃなくて。

「なんなら今日家にくる? あ、るみるみもどう?」

 ふたりの顔がこちらに向く。

「遠慮しておく」

 とっさにそう答えてから悔やんでももう遅く。

「そっか。ももちー、直接家にくる?」

「なんかあるの?」

「んー、コンビニとかで一緒にお菓子買うのもありかなって思って。ってか、めっちゃひさしぶりじゃない? 小学生ん時はよくきてたよね、あたしんち」

「だったかも。なんかたまり場みたくなってたもんね」

「そーそー、女子会? みたいな感じでさ。いや、少女会かな? あ、コンビニじゃなくて駄菓子屋ってのもありかも」

「あそこ潰れたんじゃなかったっけ?」

「再開したっぽいよ。この前フツーに営業してたし」


 そんな風にして、ふたりにしかわからない話で盛り上がって。

 時々桃花は私に視線をくれたけど、気を遣っている様子がうかがえる分、かえって目を合わせたくなくて。

 私はおいしくもないごはんを、やっぱりせっせと口に運んでいた。


 なんだか外の雨が妙に響いて聞こえた気がした。

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