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「それより、おもしろかった?」
「まあ、そう……ですね」
「お姉さんが書いたって思うと、ちょっと恥ずかしいよねー」
そういって、なぜか仁奈さんのほうが恥ずかしそうに笑った。
「瑠美ちゃんは女の子同士の恋愛って、どう思う?」
「どうって、別にいいと思いますけど?」
それを否定したら百合なんてものはないだろうし、そもそも私が否定できることじゃない。というより、誰も否定できないと思う。でも。
「自分が告白されても?」
そう訊ねられて、私はすぐに返すことができなかった。
だってその時私の頭に浮かんだ相手が。
どういうわけか、桃花だったから。
「あ、ごめんね、いきなり変なこと訊いちゃって」
「いえ、その……大丈夫です」
「瑠美ちゃんは好きな人とかいないの?」
「いないです。仁奈さんはいるんですか?」
「いるよー」
即答する。
「あ、でも、ないしょだよ?」
そっと口もとに指を当てて、しーっという。
かわいらしいその仕草に、ふと笑みが零れてしまう。
「あ、瑠美ちゃんの今の顔すごくかわいー」
「え? あ、ど、どうも」
唐突過ぎて、つんのめったような返しをしてしまう。
自分のその間抜け振りと恥ずかしさとで、ついまた笑ってしまった。
「って、なんで写真取ってるんですかっ!」
「久美ちゃんにちょっと似てるかも。やっぱり姉妹だねー」
突っ込みはもちろん、ケータイをつかもうとした手もかわされてしまった。




