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3mmの時間  作者: 新々
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01

 小さい頃、私が身につけるもののほとんどはおぇからのお下がりだった。

 下着とかはさすがになかったけど、でも靴も幼稚園の制服も、サイズが合わなくなったり着る必要がなくなったりしたものは、もれなく私のものになっていて。

 初めはそれでも嬉しかった。

 三つ離れたお姉ぇはとても大人っぽく見えてたし、そのお姉ぇが持っていたものをもらえた時は、自分もなんだか大人になったような気がして、ちょっと得意な気分だった。

 でも、大きくなるにつれて自分のものがだんだん欲しくなってきて、そのうちお姉ぇからのお下がりが不満に感じるようになってしまった。


 私のものが欲しい。

 私だけのものが欲しい。


 そこまで強く意識したつもりはなかったけど、でもたとえば何かものを買う時、お姉ぇと一緒のものや、お姉ぇの趣味は極力避けてみたり、あるいは同じものでも先に自分の名前を書いてこれは私のものって主張してみたり、とにかくそんな風にことさら私だけのものを得ようと必死になっていた時期があった。

 最初はそうして対抗していただけだったのに。

 いつの間にか、あるいはそのせいかどうか。

 私は『私だけのもの』にこだわるようになってしまった。


 きっとそれがクセみたいに身体に染み着いてしまったんだと思う。

 そうとしか考えられない。別に誰かに取られるとか、そこまで危惧したわけじゃないけど、でも、ひとり占めしたいって。

 私だけのものにしたいって思ったことは、本当で。

 まさか名前を書いて主張するわけにもいかないし。

 だから、この気持ちの出所はたぶん過去のそういう不満からきているんだと思う。

 別に、お姉ぇが嫌いっていうわけじゃないけど。

 でもそうやってどこかに原因を求めて解釈するしか、今の私にはどうにも気持ちの整理がつかなくて。


 だって友達に対してこんなことを思うなんて、初めてだったから──。

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