猫には猫の都合というものがある
次の日、ミツキさんを仲間に迎え入れる際ある問題が発生した。
それはなんと言っていいのだろう、解決すべき問題なのだが同時に解決できない問題でもあるのだ。
ミツキさんは大きな網カゴのような物を抱えている。
中は見えないが、何か動いているのがわかる。
「えーっと………家族にゃん」
ミツキさんはおもむろにカゴを床に置くと上蓋を開けた。
可愛らしい猫がいた。しかも6匹。
「この真っ黒なのが姫、真っ白なのが弥生、白黒なのがあき、茶色がゆりな、銀色がさゆり、白と茶色がりん。全部メスにゃん」
いや、紹介されてもw
「キャ〜可愛い〜」
ミドーリンがカゴに近寄って猫を抱っこしてる。
シロスケ、クロスケは微妙な顔だ。自分の縄張りが荒らされるとでも思っているのだろう。
猫って何気に縄張り意識高いんだよね。
「路地裏で見つけちゃったの。親猫見当たらないし、子猫達はお腹減ったって泣きまくるし。親猫見つかるまではって思ったんだけど、結局見つからなくてにゃん」
カゴから出すと一斉に猫達が飛び回る。
猫率が高い……
いっそ猫カフェでもするかな?
というか宿屋の一室にこんなににゃんこ連れてきて大丈夫かな?
さすがに大所帯で宿泊費もバカにならない。
どこかに一戸建て借りた方が安いか?でもそうすると馬や猫達の世話で誰か残ってもらうしかないしどうしたもんかね?
メンバーに相談してみると。
「いいわね〜新居をさがしましょ!」
ミドーリンは簡単に言うけどさ。
「だけどお金が結構かかるぞ?商売でもしないと足りなくなるよ?」
「しゃあお店始めればいいじゃない?」
「簡単に言うけど、何の商売だよ?売るものなんてないぞ?しかも誰が売り子するんだよ?」
勝手に話が進んでいくが、他のメンバーは新居に反対ないのか?ってみんな頷いてる。賛成なのね。
「そういうのはヒロが得意でしょ?ジャムにトランプに」
「そうはいうけどな、できそうなのは猫カフェくらいだぞ?」
「猫カフェ?なにそれ?」
「うーん。猫のいっぱいいるカフェ?」
行ったこと無いのでそれくらいしかわからん。
「いいじゃない、やりましょ!」
ひぃ!ミドーリンがやる気だ。
結局平屋を借りて、引っ越しをした。毎月家賃は……後ほどしよう。
もちろん馬小屋付きだ。(大家に許可を取って庭は改造おkとのこと)
学園祭のノリで猫カフェの準備が始まる。
「ねぇヒロ〜テーブルどこに置くの〜」
「そっちの隅に」
「この傘みたいなのはどうするべ?」
「それはウッドデッキが完成してからだから、そっちに置いといて」
「このお花はどこに?」
「庭に植木鉢置いてあるから植え直して」
「この茶葉はキッチンの棚にしまっておきますね」
「よろしく」
「大量に木の板が届きましたよ」
「庭に男は集まって、これからウッドデッキ作るから。あと女子はメニュー表とイラストを立て看板にセンス良く書くのと、食器類を洗いなおして棚に並べて。あと軽食も幾つか作ってみて」
「ねぇヒロ〜。猫達がお腹すいたって鳴いてるよ〜」
「ミドーリンは猫達にエサあげといて」
日が暮れる頃にようやくひと段落。
近所に配るビラ作成も、女子が版画でカラフルに作って配布までしてくれた。
棚には趣味で色々なジャンルの本も置いた。ただ、残念なのは音楽が無いことか。こっちの世界では電気無いから無理なのはわかってるけどね。
一応完成だ。庭からお店には入れるようになっていて、ウッドデッキには日傘とテーブルを。店内は緑色の絨毯を敷いてソファーに猫達の居住スペースもある。
「ウッドデッキが思った以上に大変でしたね」
ヘカトンが結構ぐったりしてた。
土台から、木材の加工、色塗り、ニス塗り組み立てまで一気にやったので男子はヘロヘロである。お疲れ様
「夜ご飯ができましたわよ〜」
エリシャとミニーマムが腕によりをかけて作ってくれた。非常にありがたい。
仕込んでいた醤油もようやく完成したし、市場でこの間見つけたお米も手に入れた。
作り方をエリシャに伝授したカツ丼がついにこの時完成したのだ。
日本人にとって和食への渇望が今満たされる。
「嗚呼……うまい…これだよカツ丼は……」
「なにこれ!美味しすぎるわ!カツ丼て言うの?明日もこれにしましょ!」
「美味しいにゃん。私も明日食べるのに賛成にゃん」
「マイロード、美味しいでございます。料理にもお詳しいのですね」
みんなが褒めてくれる。ベタ褒めだ。
うれしいね。日本食が褒められるのはw
猫達も食事を終わりくつろいでいる。
しばらくゆっくりとした時間をくつろいでいると異変に気がつく。
シロスケとクロスケが発情しているのだった……
次回へにゃんにゃん。
多忙の為今後の更新は未定ですm(_ _)m




