ミツキ
季節も秋から冬に入ろうとしている。吐く息が白くなる。
向こうの世界では終わってないだろうが、こっちではトランプ騒動もひと段落した次の日に、1人の女性がおとずれた。
綺麗な黒髪を後ろに束ね、キリッとした目が特徴の若い女性。
体はかなり小柄で、引き締まっている。
そして猫耳
ワーキャットだ。
女神転生はやりこんだゲームなのでよく覚えている。
装備は普通の革鎧、小型の弓とブロードソード、左手にはかなり小さい小型の盾がくっついている。バックラーというやつかな?
「私ミツキにゃん」
宿屋の親父の紹介で新しいメンバー候補だ。
「えーと初めまして。ヒロと言います」
「なんで迷宮入る?危ないにゃん」
「えーと……」
いきなり核心をついてきた質問だな。ここで迷う。素直にミドーリンのダイエットの為と言っていいのか。
だってさ、こんな理由聞いたら断られそうじゃん。
でも嘘を言って、危険な冒険に付き合わせるのも嫌だし。
まあすぐのばれるだろうけど。
「うちのパーティのメンバーにミドーリンて女の子がいます。その子のダイエットの為に……」
「え?ダイエット?そんな事の為に命をかけるにゃん?おもしろいにゃん!」
やっぱりなぁ。そんな反応になるよなぁ。
ダメ元で言ったのだがやはりダメか……って
え、ダメじゃない!興味もってくれたの?
想像してたのと違う反応だったのでかなりびっくり。
「え、ええ。そうなんですよ。おもしろですよね。そうそう迷宮の罠なんですけど大丈夫ですか?」
「問題ないにゃん。むしろモンスターの方が困るにゃん」
聞いたところ、以前のパーティで迷宮攻略していたそうだが、メンバーの2人が結婚引退で解散となってしまったらしい。ミツキさんも同じようにパーティを探していたそうだ。
罠や斥候は非常に得意らしい。
「モンスターの方はこのクロスボウがあるので大丈夫ですよ」
「それ、武器にゃん?変な形だけど大丈夫にゃん?」
後で試射をすることを約束して他のメンバーに合わせることにする。
ミドーリンの部屋にみんな集合してもらっているので移動する。
「新しい魔法覚えたの〜」
「どんな魔法なんだべ?」
「巨大化なの〜」
ちょうど扉を開けるとミッフィが巨大化した。
1cmほど………
意味あるのか?
ミッフィってレベルアップするのか聞くと、どうやらにゃんこ達の経験値が一部入ってくるみたいだそうだ。
にゃんこ達の倒す敵ってネズミとかだろうけど。
「おーいみんな、こちらがミツキさん、新しく入ってもらう予定だ」
「よろしく、ミツキていうにゃん」
一同「よろしく〜」
「ところで何をやってるにゃん?」
「ん?トランプの事?ヒロが待ってて言うから、暇だからトランプでゲームしてたのよ」
「教えてにゃん!」
トランプ騒動はまだ続いているようだった……
みんなでトランプを楽しんだ後(楽しんだのかよw)、次の日(一日中かよw)クロスボウの試射する場所に移動
。
まず試しに自分が100m離れた木に向かって発射。
「にゃ!」
さらに連写していく。
「見てくるにゃん!」
一気に刺さってる木まで走っていくのだが、4秒くらいで到着する。
あまりに足が速いのでこっちもびっくり。
また4秒くらいで戻ってくる。
「すごいにゃん!全部貫通してるにゃん!」
いやあなたの足の方がすごいんですが……
バク宙をしながら驚いてる。しかも空中で3回転……
どんな身体能力だよ。
使い方を教えて実際試射してもらった。
もらったのだが、最初の3発は普通に撃った後、高速にサイドステップしながら発射、バク宙発射、高速移動発射、飛び込み前転発射、倒立発射大ジャンプによる空中発射。
新たなサーカスでも見てるような凄技を連発。
「このクロスボウ凄いにゃん!」
「ミツキさんの身体能力の方が凄いと思う」
素直な感想に他のメンバーもうなずいている。
「そんな、褒めても何も出ないにゃんよ〜」
嬉しそうに頭をかいているミツキさんカワイイ
「そういえば迷宮の罠ですが、どうやって解除するんですか?」
「ん?解除なんてしないにゃん?」
「どういうことです?」
「穴が空いたら飛んで、前から何か飛んできたら避けるにゃん」
「つまり?」
「全部発動させれば後ろのメンバーは安全にゃん」
一同「…………」
ミツキ「次回へ続くにゃん」




