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異世界でクロスボウ無双する話(仮)  作者: えんえん
序章
19/43

ここに散る

アトスは斧を背中に、ヘカトンはフレイルを腰に、ミニーマムは護身用の片手剣を腰に、ミドーリンは杖を…

「あれ、ミドーリン杖は?」

気になったので聞いてみる

「大都で売ったわよ?」

「………………」

ついに魔法使いの象徴売っちゃったよ!

どういうことだよ!


「だってさ、魔法使うのに別に杖は必要無いでしょ?」

「いやそうだけどさ…」


確かに杖は接近された時に殴ったり、歩く時の支えにしたりするくらいだけどさ。

「だって重いんだもん」

食べ終わった干し肉が歯に挟まったのだろう、自作の楊枝でシーハーしている。

魔法はほとんど使わないし、杖も無い。もう自称魔法使いのでいいだろう。

そんなくだらないことを考えていると誰かがこちらに近づいてくる。


数は…少なそうだ。

みんなも気がついたのかクロスボウを構える。

野盗か、動物か。

悪意が無いなら声をかけてくるだろう。

それが無いということは撃っても問題無しだ。

このへんはだいぶ慣れたものだ。何度も野党に襲われれば嫌でもわかるだろう。

早々に判断すると、うなづいて射撃開始合図を送る。


音を頼りに5人が一斉に射撃を開始すると

「がぁぁ!!」

悲鳴と共にガシャンと倒れる音がする。

念のため他の音がしないか耳を澄ませるが今ので倒したのだろう静まり返る。


警戒態勢のまま5人で凸陣形で進むと誰か倒れているのがわかった。

「ねえ死んでる?」

ミニーマムが不安そうにアトスに尋ねている。


さらに近づくと弓矢が背中から貫通しているのがわかる。

2本のうち1本は心臓あたりから突き抜けており即死だろう。


「高そうな鎧ね」

目ざといミドーリンはすでに、いくらくらいになるか計算中だ

銀色を主体として金の模様が施されているプレートメイルは高級品ぽい感じだ。

腰につけている武器も良さそうだ。

「見た目だけなら勇者みたいね」

黒いマントを外すとプレートメイル外しはじめるのだった。


読者の皆様はお気づきだろう、闇落ち勇者シノン。ここに散る…


「ねぇヒロも手伝ってよ」

「はいはい」

主人公達は知る由も無かったのだった。




翌日の昼頃湖のほとりにある、水の都イースヨンに到着する。

都というより町だね。規模は1万人以下でシェアトの町と同じくらいか。

中に入るとパンの焼ける美味しい匂いがしてくる。

「お腹減ったの〜」

ぱかっと開くとミッフィが頭を出す。

宿が先だよとミッフィに言うと、ミドーリンが便乗してパンが食べたいと駄々をこねる。

ほら、水曜どうでしょうのディレクターも言ってたでしょ。宿の後に食事だと。

ぶうぶう言うミドーリンを引きずり宿を確保。

月亭とは変わった名前だね。八方いや、いまは方正か。


パン屋に行くとすごい行列だ。しょうがなく皆で並ぶ。

待っている時間にふとヘカトンの新呪文について聞いてみると

「解毒魔法ですよ。速効性の毒は無理みたいですけど」

「なんでその魔法選んだの?」

「金額や覚える時間もありますけど、ミドーリンのたってのお願いだったので」

ん?ミドーリンが解毒魔法?


意味がイマイチわからないのでさらに聞くと

「だってさ、二日酔いって頭痛いんだもん」

もう冒険関係無いよね?


パンを頬張りながら野盗の装備品(銀のプレートメイル等含む)を売ると2万アデル以上で売ることができたので頭割にする。


明日は1日は自由行動にして、保存食を買い込んだり情報収集をすることを決めて宿に戻るのだった。


次回へ続く。

ミドーリン「私のオススメはトウモロコシのパンよ」

ミニーマム「おいしかったですね」

ミッフィ「次回はいよいよ迷宮なの〜」

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