変なお化け
ある日、ツヨシは、1人で夜食を食べていた。
すると、突然停電になった。
家の中は真っ暗だ。
「うーん、困ったな。ライトないし」
いろいろ考えているうちに、急にトイレにいきたくなった。
「何も見えないけど手探りでいけるだろ」
ツヨシは、慎重にトイレに向かった。
「暗いと怖いな。なんだかお化けが出そうな雰囲気だ」
そして、やっとの思いでトイレの近くまで来た。
すると、何やら奥の方でうっすら光っているものがある。
よく見ると人間のようだ。だが少し宙に浮いている。
ツヨシは、
「まっ、まさかお化け?」
と思い、隠れながら観察した。
しばらくするとお化けらしいものはスッと消えた。
ツヨシは言った。
「みっ、見ちゃった!!」
次の日、ツヨシは夜食を食べながら昨日の事を考えていた。
「あれは、絶対にお化けだ!」
かなり興味があるようだ。
ツヨシは、
「よし、家の中を真っ暗にするか…」
と言ってブレーカーを、わざと落とした。
「ポン!」
これで、何も見えなくなった。
「よし、この時間なら出そうだ」
ツヨシは、静かにトイレに向かった。
すると、何やらうっすらと光っているものを見つけた!
「お化けだ!」
ツヨシは、ワクワクしてきた。
お化けは、向こうを向いている。
そこでツヨシは、あらかじめ準備しておいた輪ゴムをポケットから出した。
そして、お化けに向かって、
「ピーン!」
と飛ばした。
すると輪ゴムは、お化けに、
「パチーン!」
と当たった!
ツヨシはササッ! と隠れた。
お化けは振り向いた。
キョロキョロしている。
しばらくすると、お化けは外に出て行った。
ツヨシは、面白くなってきたので後をつけることにした。
そして、お化けの進路を予測して先回りした。
ツヨシは、ポケットから500円玉を出して道の真ん中に置いた。
予想通りお化けがやってきた。
ツヨシは、ササッ! と隠れて様子を見た。
すると、お化けは500円玉に気づいたようだ。
お化けはまず、500円玉を足で踏んで隠した。
顔は半笑いになっている。
そして、周りをキョロキョロ見て人がいないのを確認してから、
サッ! と拾った。
ものすごく嬉しそうだ。
こいつ、本当にお化けか?
なんてセコイ拾い方をするやつだ。
500円玉をしまうと、お化けは歩き出した。
ツヨシは後をつけた。
すると、お化けは、ある所で止まった。
自動販売機だ。
「こいつお化けのくせにジュース買うのか?」
と思ったらジュースを買わずに、いきなりおつりの返却口を調べだした!!
「カチャ!カチャ!カチャ!カチャ!!」
一生懸命だ。
ツヨシは、笑いを抑えた。
お化けは、お金が無いとわかったら、さらに移動した。
次はどこへ行くのか? と後をつけていくと人気の無い墓地についた。
お化けは、全身のうすっらした光を消して洋服を着た。
どうやら人間になりすましているようだ。
すると、お化けは、なぜか体をポンポンと叩き始めた!
すごく焦っている!
どうやら、さっきの500円を落としたらしい!
「ポン!ポン!ポン!ポン!ポン!ポン!」
動きがすごく速い!
かなりの俊敏性だ!
しばらくすると、お化けは元気が無くなった。
どうやら諦めた様だ。
そして、変身したお化けは、ある所に向かった。
コンビニだ。
お化けは、小走りで店内に入っていった。
何を急いでいるのか?
ツヨシは、外で20分ほど待った。
しかし、全然出てこない。
なぜだろう? と思って、そっとのぞいたら何か様子がおかしい。
よく見たら何とビックリ!!
バイトしてるのだ!!
「なんでお前お金がいるんだ? お前お化けだろ?」
そう思いながら、ツヨシはコンビニへ入って行った。
すると、お化けは、
「いらっしゃいませ、こんにちは!」
とハキハキ言った。
ツヨシは、笑いそうになったが我慢した。
そして、弁当を1つ選んでレジの方へ行った。
お化けは、
「温めますか?」
と訊いてきたので、ツヨシは内心笑いそうになりながらも、
「はい」
と答えた。
なんじゃ、この会話。
お化けは弁当を温め終わったら、手で温かさを確認した。
すると、納得いかなかったのか、また電子レンジに弁当を入れて温めなおした。
きっちりしたやつだ。また、笑いそうになった。
ツヨシは、コンビニを出ていったん家に帰った。
そして、しばらくしてから、またコンビニへ行った。
お化けは、まだいる。
そろそろバイトの終わる時間だろう。
しばらくすると、お化けが出てきた。
たぶん墓地へ戻るのだろうと思い、ツヨシは先回りした。
そして、1円玉を道の真ん中に置いた。
隠れて待っていると、お化けが来たようだ。
お化けは、1円玉の付近で立ち止まった。
どうやら気づいたらしい。
「まさか、拾わないだろう」
と思ったが、お化けは、お決まりのごとく足で踏んだ。
顔は半笑いになっている。
そして、キョロキョロしながら1円玉をサッ! と拾った。
嬉しそうだ。小さくガッツポーズしている。
こいつアホだ。恐怖のかけらも無い。
お化けは、スキップしながら墓地へ向かった。
そして墓地に着くと、急に何かを飲み始めた。
何だろう? と思ってよく見たら…………プロテインだ!!
お前は、ボディビルダーか!!
お化けは、プロテインを飲み終えると、腕立てを始めた。
「・・・97・・・98・・・99・・・・100!!」
100回もやったぞこいつ。
「ハア! ハア! ハア!」
息が荒い。こいつ本当にお化けか?
ツヨシは、ポカーンとお化けを見ていた。
すると、お化けは、急にツヨシの方を向いた!
そして、目が合ってしまった!!
「やばい!!」
ツヨシは、危険を感じて逃げ出した!!
お化けは、ツヨシを追いかけてきた!!
ツヨシは、必死に逃げる!!
しかし、お化けが徐々に近づいてくる!!
そして、もうだめか!!
と思ったら、今度は、どんどん距離が離れていった!
アレっと思ったら、お化けの顔がゆがんでいる。
つらそうだ。
どうやら、さっきの腕立てが効いているいらしい。
情けないやつだ。
お化けは、ぐったりして道の真ん中で倒れた。
ピクリとも動かない。
ツヨシは、かわいそうになったので助けてやることにした。
「大丈夫か?」
すると、お化けは急にツヨシの腕を、
「ガシッ!!」
とつかんだ!!
そして、
「はははは!! 引っかかったな!!」
と言った。
ツヨシは、やばい! と思ってお化けの頭を、
「ポコン」
と叩いた。
すると、たった一発でお化けは倒れた。
お化けは死んだ・・・
(おしまい)
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