死後転生ファンタジーとか記憶喪失系学園ラブコメとか
このコンテンツはひたすら出だしのみ書き連ねる落書きのようなものです。あまり期待しないでください。
暗雲立ちこめるーー上空に広がる雨雲に、そんな描写は仰々しすぎるだろうか。
たかが雨。されど雨。
金属製の側溝の蓋の上を走行していた自転車がスリップし、転倒した。
乗っていた女性は道路に投げ出され。
身体が動いてしまったのは、見えてしまったからだろうか。
絶望にくれる幼なじみの顔が。
白光に照らし出される、少女の顔が。
赤の他人でも、俺の身体は動いたのだろうか。
まあいい。誰を救ったのだとしても、きっとそれは俺より価値のある命だ。
痛みなんて感じなかったのは神様の慈悲だろうか。
いや、ろくに信じてもいない神とやらに今更慈悲を乞うなどむしろ無礼か。
数メートルは吹き飛ばされたはずで、上も下も分からない程転がった。
転倒した自転車が遠くでカラカラ車輪を回している。
もう、雨の冷たさも感じない。
そこそこ楽しく、そこそこつまらない人生だったと思う。
彼女ができた事はないが、友人はそれなりにいた……はずだ。
あいつらは、数日くらい悲しんでくれるだろうか。
眠い。
まぶたが落ちる。
最後に見えたのは、涙を目一杯ためた少女の顔。