泣き笑い
その人は泣いていた
いつも、一人でないていた。
そのひとは、決して他人に涙を見せずにいた
いつも笑っていた。
どんなにつらくても、どんなに苦しくても、
いつも笑って立ち上がり、周りをはげましていた。
つらくないはずないのに、心がずたずたにならないはずないのに。
それでも、そのひとはたちあがる。
周りは、そのひとのそんな在りかたを慕い、あこがれてついてゆく。
だけど、
それはひどく残酷な在りかただった。
そのことを、周りもそのひと自身も気ずかずにいる。
その、優しすぎる在りかたは、
他人のために自分をかえりみない考えかたは、
自分の正義を貫く姿は、
美しく、哀しく、また、孤独だった・・・