6話侮るなかれ!ギャルのコミュ力半端ないって!
巨大な両開きの扉が鈍い音を立てて開き光が差し込む。逆光に照らされたシルエットは長い髪と絵に描いたような──────
ボン、キュ、ボン。
「カザ国君主。ユーヴァース・シルドヴェールだ。今日はよろしく頼む。ドラギアス王よ」
凛とした力強い声。大きな円形のピアスがチャラチャラと音を立てる。
長い紫の髪の毛に切れ長の瞳、凛々しい面持ちをした女────。
カザ国…まさかの女帝!にしてもすっげぇ格好……目のやり場に困るな
銀の鎧は豊かな胸と腰を纏うのみ。下半身は黒の女性物水着の如く薄い布切れ一枚で心もとない。
スタイル抜群の色っぽいお姉さん。といった感じだ。
女帝、ユーヴァースはドラギアスの向かい側に腰掛け足を組む。お付はガタイの大きな騎士一人だ。
「さて…貴様の強さには恐れ入った。我が国は大打撃。降伏する他ないと思ったんだが…先に私の要求を聞いてはくれないだろうか?」
「いーよ〜何〜?」
「……?」
気の抜けた低い声にユーヴァースとお付きの者は揃って目を丸くし、俺とセルヴァは頭を抑える。
「そう、だな…では、言葉に甘えるとして…我が国と同盟を結ばないか?」
「ドウメー?」
「あぁ。同盟を結び交易を行いたい。勿論タダとは言わない。
我が国の特産物である鉱石類を安価で提供したり交換視察という形で建築技術を教える」
「同盟だなんてとんでもない…王よ、このような不当な要求受けることはありませぬ」
「ちょっとセル髭は黙ってて」
「せ、セル髭…」
「宮田クンどう思う?」
ま、また俺か〜〜〜振らないでって言ったのにーー!!
「お、恐れながら…力で虐げてもカザ国民の反感を買い、いずれドラギアス王の敵となるやもしれません」
「確かに!宮田クンスゴーイ!」
「そ、その時は王の力で鎮めれば良いのです!貴方様の力で反逆する人間共に分からせれば逆らうものなどおりません!」
「だって。宮田選手、反論をどうぞ」
俺の心が「イヤァアアッ」て叫んでる。この人はどうにも俺とセルヴァを争わせたいらしい。
現にすげー睨まれてるし…でも、自己中すぎるジジイに俺もそろそろ腹たってきたな
「せっかく手に入れたカザ国の恵みを戦火で無くすのと、交易を行い同盟国として西側の守りを固めること…
どちらが国益に繋がるか聡明なドラギアス様ならすぐお分かりになるかと…」
戦国時代が好きすぎて日本文学科で研究しまくってたことがまさかこんな所で活きるとは。
セルヴァは論破され悔しそうに歯ぎしりをしている。
いい気味…!
この後何言われるか分かんねぇけど…
「おぉ〜」
バチバチ
巨大な手が拍手してくれた。
「そーゆーわけで、良いよ。組もう同盟」
ポカン…としていたユーヴァースとお付の男が我を取り戻す。
「ッ…本当にいいのか?」
「うん。そっちの方が得多いからね。それより建築技術って言った?プリ機とか作れる?」
「ぷり…な、なんだそれは?」
「激盛れ写メが撮れるやつで、その日の思い出残せるみたいな?めっちゃアガるよ」
低音ボイスがギャル語を連発。
その巨大な手でギャルピースはどうかと…
「ふ…なんだその…ポーズ…ぷ、クク……あはははっ!」
キョトンとしていたユーヴァースが豪快な笑い声をあげる。
「ふふ…貴様の言うことはよく分からんが以前とは別人のようだな?」
「そ〜ぉ?気のせいじゃない?」
流石に気のせいじゃないだろ…!
「あ、宮田クンがいろいろ教えてくれてぇ…そんで激ヤバ王から超イイカンジの王になったってカンジ!」
「へっ…」
ぶっ飛んできたボールをキャッチすることもできず、宮田律、唖然。
「確かに…先程の見解は未来を見据えた的確な判断であり、それをドラギアス王に言ってのける度量…只者ではないな」
おっと…?!
「そうそう!超頼りになるんだから!」
「ふ…信頼できる部下を持てるのは幸せなことだ」
待ってくれ!なんか違う!!
俺の心の中のツッコミは誰にも届かない。冷や汗をかきまくりながら槍を片手に2人のやり取りを見守るのみ。
「それでは新しくなったドラギアス王よ。改めて我が国、カザ国と同盟を組んでくれないか?」
「もち!ユーたん、よろ!」
ぎゅ、と握り合う人間と竜の手。今ここに平和同盟が締結された。
な、なんか意味わからん流れで上手くいった───?!
「それでは早速、貿易の話だが…」
貿易というワードが出た途端くるりと竜王ドラギアスが俺の方を振り向く。
金色の圧ある瞳。口元から垣間見える巨大な歯。嫌な予感がする。
「ボーエキ、宮田クンよろ!」
鋭い鉤爪つきの指でサムズアップ。ついでにどデカい音つきのウインク。
バチコーンッ
お、お、押し付けられたぁ─────!!
ギャル王ドラギアスはある意味暴君だった。




