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5話働く俺の妄想力☆竜王ギャルに脳内バグるって!

「ユーヴァース?誰それ?」


竜王は鋭く太い歯が何十本と生え揃う口で鶏肉にかぶりつく。口元に付いたソースを指先でそっと拭う仕草があまりにアンバランスだ。


「隣国、カザ国の王でございます。

二週間前我々ジュラ王国と戦争をし、結果は我が国の大勝利。暫く籠城していたようですが、本日降伏のため王宮に参じるそうです」


「マヂ?」


竜王ドラギアスは案外忙しいらしい。しばしば食事中に側仕えのセルヴァが次の予定の説明をしている。


そしてなぜかモブ兵士改め騎士隊長となった俺も隣席させられているのだが。


「王よ。これで東の海洋貿易拠点、カザ国が手に入ります。

領地は全取り、王族は見せしめに3日間晒した後縛り首。国民には罰として倍の税をかけましょうぞ」


モノクルの下でニヤリと悪巧みをするセルヴァ。以前なら──────


『お主も悪よのう…』


『クック、ドラギアス様には叶いませぬ…』


みたいな感じで竜王の権力を好き放題利用していたのだろう。気の毒というかなんというか案外正義感の強いギャル立原さんとは相性が悪い。


「キモ」


「は…?き、きも?」


「立場利用して他人の生踏みにじってんのキモすぎ」


きっっっつ!ギャルの正論パンチキツ!しかも今は見た目がドラギアスだから────


「はぇ?ぇ?あ?あは??え??」


効果は抜群だ☆


◾︎◾︎◾︎


13時を告げる鐘の音が鳴り響く頃、王宮にユーヴァースが来たという報告が入った。


「ドラギアス様、お召し物を…」


クラシカルメイド服を着た女性は身だしなみ担当。竜王の肩に赤いマントをかけ首にはギラギラと光を放つ黄金のネックレス。

マントには白いファーもついており威厳ある竜王の完成だ。


「サンキュー!ヤバ!めっちゃかっこよくない?!宮田クン写メ撮って!」


「ははは…」


だから俺に振らないで…!

ほら!セルヴァも睨んでるし!メイドさんなんか目が点になっちゃってるよ!


「おぃお前。持ち場は北庭だろ?なんでここにいるんだ?」


背後から見知らぬ兵に声をかけられた。持ち場という存在を初めて知ったがモブ兵士なら普通にありそうだ。


「すみません。今行きます」


何よりこれ以上立原さん、というかドラギアスの傍にいると立場上よくないだろう。


「ちょい待ち!宮田クンはアタシと一緒にユーヴァースって奴と会うから行っちゃダメ」


「え…し、しかしこの者には持ち場が…」


「ダーメ。宮田クン居ないとアタシが困るし。宮田クンの持ち場、他の人に頼んで。いーい?」


「は、はい」


やっぱこうなるかァ…あ〜狸ジジイ、セルヴァからの視線が痛い…


◾︎◾︎◾︎


ユーヴァースとの会談の場は転生した際に立っていた玉座の間。

竜王ドラギアスの玉座と斜めに向かい合うようにユーヴァース用の椅子が用意されている。


ドラギアスは巨大な玉座に腰かけるとなぜか俺を隣に立たせユーヴァースを待つ。


「あ、あのさ立原さん…こういうのマズイと思うんだよね」


「なにが?」


「何がって…俺ただの下級兵士だし王様の隣に控えるのは立場的におかしいんだよ。

実際セルヴァにも睨まれてるし…」


「アタシセルちゃん嫌ーい。ムカつくから今度からセル髭って呼んじゃお。

てゆーか、王様のアタシがいいって言ってるんだから良くない?」


「う〜ん…俺と立原さんが良くても周りがなぁ…めんどくさいことにならなきゃいいけど…」


「…でもアタシ…宮田クンいないと困るんだよね」


「言っとくけど俺そんな頭良くないっていうか…ラノベで傾向分かるだけで国政とかは力になれないよ?」


「そーじゃなくて。ほら、急にこんなことになっちゃって知ってる人宮田クンしかいないしぃ……


傍にいて欲しいな〜って」


褐色の肌に長い睫毛を瞬かせ、大きな瞳で見上げてくる立原さん。艶のある唇と大きく開かれた前シャツから除く谷間。


肘をつき、上目遣いでのオネダリに俺の心臓が誤作動を起こした。


「ッ」


びっっくりしたぁ…一瞬強面ドラゴンが立原さんに見えて…って何想像してんだどこ見てんだ俺のバカバカバカ!


ゴシゴシと痛いくらいに目を擦りもう一度立原さんを見るとそこにはイタズラっぽく笑う竜王、ドラギアスの姿。


ぅ…落ち着け、落ち着けぇ…脳内変換するな。どう見たって赤子もギャン泣き必至の竜の化け物だ…


「し、知ってる人いないと不安だよね〜…突っ立っとくだけでいいなら一応いるけど、さ…力にはなれないっていうか…その」


「……宮田クンって、カワイイよね」


ドラギアスの巨体からは信じられないくらいの小声。


「ン?ごめんなんて?」


「ユーヴァースってどんなやつなんかな〜って」


「あぁ…人間の王様かな?」


「超絶イケメンだったらどぉしよ〜はっ、まつ毛まつ毛…ってマスカラ塗ってないんだったぁ」


突飛で破天荒でギャルな立原さん。転生前は喋ったことすら無かったけど結構話しやすいし面白いし…いい人だ。


ブンブン、首を左右に振って先程の疚しい妄想はかき消す。

と、巨大な扉が開きユーヴァースの登場だ。


さて、この会談でも一悶着ありそうだが────


ちょっと面白そうかも…なんて


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