4話目指すはイマドキな国?!ギャル楽観的すぎる!
竜王ドラギアス。
かつて人間が納めていた国に単独で乗り込み、軍隊を壊滅させ王座を奪った。
平和で貿易地点として栄えていた国はジュラ王国と名前を変えた。
税収は十倍にも膨れ上がり若い男を兵士として徴収。干ばつや戦争があってもお構い無し。
郊外では疫病が流行り女子供、老人ばかりが死に絶える地獄の国。
虐げられてきた国民達が何度か反乱を起こすものの、ドラギアスは一人で国を滅ぼすことが可能な程で返り討ちに。
そんな人々から畏怖の対象とされているというあの竜王が─────!
「その耳についてんの、何?」
漆黒の鱗を持つ鋭い目つきをした巨大な二足歩行の竜が小柄な町娘の眼前に立ちはだかる。
町娘はあまりの恐怖にガタガタと全身を震わせへたり込んでしまった。
「ッご、ごめんなさ」
「超イケてんじゃん!!どこで買ったの〜?シブヤ?ブクロ〜?」
暴君と恐れられていた竜王は、ギャルになってしまった。
血も涙もない竜王がギャル口調で話しかけてきたら腰抜かすわな…
俺たちドラギアス一行は首都郊外の街を見回っている。
側仕えのセルヴァ曰く税の徴収の為らしいが、中身がギャル故に思惑通りとはいかず…
「こ、こちらは母の手作りでして…木の実を乾燥させて作っていますので高価な物では…」
町娘はビクビクと縮こまりながら答える。
「マヂ?!ママ有能すぎない?!アタシにも作ってくんない?」
「へっ?!」
「お、王よ!そのような下賎な者に物作りを頼む等…」
「は?あーしが欲しいつってんだからいいでしょ?」
ギロリ
そんな効果音が聞こえてくるほど瞳孔の開いた竜の瞳は恐ろしい。
立原さん普段から言いたいことズバッといっちゃうからな。
…ま、ドラギアスの恐怖を利用して市民達を虐げてたこのじーさんが狼狽えてるのは面白いけど…
「…チッ…このままでは……」
セルヴァが小さく呟く。負け惜しみだろうが変な気を起こさないで欲しいものだ。
そんなこんなで竜王ドラギアスは行く先々でギャルムーヴを発動させ国民達のド肝を抜いたのだった。
「はぁ…なんか疲れた……」
ギャルの予想外な行動をカバーしたり話を振られる度に言葉を選んで答えたり。
転生初日から老け込んでしまった気がする。
「と…鏡」
この世界へ来て初めて鏡を見た。茶色い短髪。平均身長それなりのガタイ。歳は20代と行ったところか。
にしても─────
「パッとしねぇ〜…まじでモブ感。これ絶対戦争とかで真っ先に死ぬタイプじゃん……」
「あ、いたいた宮田クン」
ひょこりと柱の陰から顔を出した鋭い目つきの化け物に俺は甲高い悲鳴をあげたのだった。
「〜ッるさ!そんなビックリすることないじゃん!」
「ビックリするよ!!今の見た目考えて!!」
し、心臓飛び出すかと思った。
「はぁ…で、どうかした?」
「なんかさ、アタシ王様らしいじゃん?」
「う、うん。今更だね」
「王様ってなにすんのが正解なの?」
「え…うーん……国を良くすること?…って行く先々でも思ったけどなんで全部俺に話振るの?」
「宮田クン頭いいじゃん?レポートとかいつも紹介されてるしィ」
意外…ちゃんと講義受けてるんだな。
頼ってくれてるってことか…いや、めんどくさいだけだな
不覚にも嬉しいと思ってしまった自分がいる。立原さんは俺の名前も知らないと思っていたから。
「それにフアンじゃん!強面ドラゴンだしインスタで呟けないし…皆王様王様って怖がるしィ……」
「立原さん…」
楽観的に見えたけどやっぱりいきなり転生しちゃったら不安だし嫌だよな…
「でも国を良くすることが王様の仕事なんだよね?」
「えっ?う、うん」
「じゃあこの国をギャルでイマドキの国にするのが仕事ってことね!!」
グギュゥッ
艷めく巨大な拳が鈍い音を立てて握りしめられる。
頭蓋骨を粉砕できそうな恐怖があるのにギャル語のせいで頭がバグりそうだ。
不安って…不安って王様の仕事が?!このギャル順応度たけぇなオィ!!
「はー!スッキリした!!お腹すいたしランチ食べよランチ〜」
るんたるんたとスキップする強面の竜王。
「ちょっまっ!い、イマドキって?!」
「え〜…まずはネイルに〜服とコスメとォ…あとプリ機とスマホは必須っしょ!」
プリ機。スマホ。
このギャルは街に出て何を見たというのだろう。文明なんて現代のものと一世紀の差がある。
つーかネイルにコスメって…今の姿じゃ意味ないんじゃ…
脳裏に黒光りする強面ドラゴンがルーズソックスやらミニスカ制服やらを身につけ、バチバチのまつ毛でウインクをする様子が過ぎる。
ある意味怖い…
ギャル王、ドラギアスによってこの国はどうなってしまうのか。正直不安しかない。
この後は「ユーヴァースとの対談」。おそらく外交。
また一悶着ありそうだぞ…
心が休まらない転生ライフはまだまだ序盤───




