38話いつでもどこでもギャルは元気
体の大きな巨人族、反対に小さい小人族、獣人族、人間、オーガ、ゴブリンetc
奴隷交換会のバックステージには様々な種族が皆暗い顔をして並んでいた。
「めっちゃいるね…」
「あァ。帰属共の娯楽だなァ。胸糞悪ィ」
フェンリルに扮したドラギアスと、奴隷に扮したルキアは同じように首へ鎖を付けられ控えることになった。
「お母さん!」
響く少女の悲痛な声。幼い奴隷の女の子だ。
「うるさいぞ!静かにしないか!」
飛ぶ怒号と振るわれる鞭。女の子は声を上げたいのを必死に堪え泣くのを止めた。
「ふ…うぅ、お母さ…」
「ダイジョーブ?」
「え?……ひっっ」
鋭い目つきの巨大狼フェンリルの姿に女の子は怯えを見せる。
「あ、ヘーキヘーキ。ドラ…フェンちゃんめっちゃイイヤツだから。ほら、もふもふ」
ルキアがフェンリルの毛皮を撫でまくる。女の子は泣きじゃくっていたのが止まったようだ。恐る恐るドラギアスが被るフェンリルに触れる。
「…もふもふ」
「ウンウンこの毛皮チョー可愛いっしょ?もふもふ使ってゼッタイ助けるからママにも会えるよ」
「ホント?」
「ホントホント。スーパーヒーローミヤタが助けに来てくれるんだから」
「ミヤタ…?」
「おぃそこ勝手に喋るな!!」
鞭を床に叩きつける支配人。痛みを知る女の子はぎゅっと身を縮めて怯える。
「ハァン?」
「ドラちゃん、ミヤタにあんだけ釘刺されたし…我慢だぞ〜」
「分かってるゥ。でも黙ってるってのも癪じゃん?ンン゛ッヴヴンッ……あ、あー…
貴様、この私フェンリルに向かっていい度胸だな」
魔獣の喉から出る低い声。それまで好き放題振舞っていた使用人が身構える。
「人間に仕え人間の愚かさを知りいつか罰を与えるその日まで我が牙を収めているにすぎない。
次に鞭を振り私を不快にさせると言うなら今すぐ食い殺してやってもいいのだぞ…」
人間には到底抗えない上下の鋭い牙。ミスリル鉱石すら刻むという爪。使用人が震え上がるには充分すぎる威圧だ。
「っ…わ、わかりまし、た。食べないでぇ…」
逃げるように部屋から飛び出る使用人。
フェンリルの尻尾(竜の尻尾)がブンブンと喜びに揺れる。
「どーよ!」
「ぶはははっ!見た?!アイツの顔!!超怯えてたぜ」
「ハッハッハァ!宮田クン流、権力パンチ!」
「マジでスゲー…ひひっ、おもしろすぎだろ」
腹を抱えて笑うルキアと鼻高々にドヤ顔を見せるドラギアス。
周囲の奴隷達も唖然としている。
「ぁ、あの…ありがとうっもふもふのおおかみさん…」
「いいって事よ!」
「ね、君たち」
澄んだ声に2人が振り返ると白いショートカットの人物が1人。汚れた薄い奴隷服に似合わず背中に背負うのは白く美しい羽。
「天使だ…」
「うん、天使。といっても言い伝えのように死後の国に導いたりはしないけどね」
「えー!!マヂイけてるカワイイ!ルキアあーしの羽もこれななんないかなぁ?」
「今だってカッコイーだろォ?コウモリの羽みたいで」
「どうせ黒なら黒い天使の羽がいいのぉ!バリバリの地雷系!」
「あはっ…さっきとは別人みたい。面白い人たち…」
「んねんね天使ちゃん名前はー?あーしは立原衣留香ってんの」
「いや誰だよォ?」
「やべ間違えた。えっと……フェンリル?もーややこしいなァ!」
「僕はミュラ。よろしくね、タチハライルカ」
「後で宮田クンに怒られる…」
「俺ァルキアってんだ。よろしく天使様ァ」
「まぁせっかく知り合いになれてもこれっきりだと思うけど…」
「どしてよ?」
「ここは奴隷交換会会場。僕はまた別の貴族に飼われるだけだ。君たちもだろ?」
「あー…エット。そういうセッテイだよね…でも今日はいい事あるよ!サプライズ!」
「サプライズ?良いことって?」
「ぅ…あーダメ!あーし喋っちゃいそうルキアパス!」
「えっ?!ええっとえっと…おっ…俺たちの主ミヤタが助けてくれるから安心していいぜェ!」
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ギャルコンビが暴走している気配に奴隷交換会の始まった会場にて俺、ミヤタは内心冷や汗をかいていた。
「続きましてはドワーフの───」
「今日は何だか控え室の奴隷が騒がしいですなぁ」
「全く…躾のなってない奴隷は嫌ですわァ」
うーん…多分コレ、ウチのギャル奴隷達な気がする。頼むからステージで紹介される時変なことするなよ…!!




