36話ざまぁの作戦会議
悪逆非道の貴族。エルド・アルダンをざまぁする準備には骨が折れた。
この男の悪の所業は次々出てくるのにそれを証明する証拠が見当たらない。ほとんどが奴隷に擦り付け自分は雲隠れ。
「だがこの度、証拠を抑える絶好の機会を得た!それがこの違法奴隷交換会!」
異世界の王宮会議室。テーブルにメモ書きを叩きつける。
「奴隷交換会?なにそのゲスっぽい会ありえないんだケド〜」
「実際ゲスだよ。他国の珍しい種族の奴隷と持参した奴隷を交換し合うらしい。奴隷制度は黙認されてるだけでこの国でも禁止。さらに交換会へ来ている他国の人間ももちろん違法」
「エルドの豚野郎が悪さしてんのは知ってるけどよそのゲス会はいつどこで開かれんだよォ?」
「ふふん。その件については調べがついてるんだな〜奴隷交換会は2日後。場所は…エスメラルダ教会の地下!」
「ゲッマジか。教会の下で奴隷交換とか…神様が泣くぜ…」
「罰当たりな豚。これ以上身内の恥を晒して欲しくないのに」
「よく突き止めたね宮田探偵!すごぉいっ」
ドラギアスの拍手に爆風が巻き起こる。書類が散るから辞めてくれ。
「国の地図見たり他国とセルヴァの文通見たりしてね。特にセルヴァの手紙が役に立ったよ」
「セル髭はやっぱりクソ」
「それでどうやってその会場に乗り込むんですか?豚野郎に全員の面が割れちゃってますよ」
「それなんだけど教会には裏道があるみたいだからそこを使って潜入しようと思う。スパイだね。
ランフェルに頼んで地図は完璧。取引が行われた瞬間ドラギアス王に突入してもら」
「ヤダッ!」
低音の駄々こねに嫌な予感がする。
「えーと…ドラギアス王に突入…」
「ヤダー!あーしもスパイやりたい!」
これだよもう!俺がせっせと立ててた作戦を真正面から蹴り壊してくる自由人ギャル。
スパイだと?自分の姿鏡で見てねぇのか?
「あのですねドラギアス王よ。スパイは目立っちゃだめなの。ドラギアス王はデカいし竜だし怖い。絶対ダメ」
「ヤダヤダ!」
「突入が派手でいいでしょ!あのムカつくデブっぱらをぶっ飛ばして土下座させて欲しいの!」
「スパイの方が面白そうじゃん!忍び込んで突入もシたら一石二鳥じゃね?」
「百害あって一利なし。却下」
「大丈夫だって!黒いからバレないバレない!」
「色の問題じゃないっての!」
「あの。変装するのはいかがでしょう?」
「変装?いや変装した所でじゃないですか?…どう見てもドラゴンだし…」
「毛皮を被るのですよ。フェンリルの」
「ふぇんりる?」
小首を傾げる立原ドラギアスに耳打ち。
「北欧神話に登場する幻獣だよ。でっかい狼」
「ほーぅ!え、チョーカッコよくなれる?!」
「ハイ。漆黒の鱗が覆われてしまうのは悲しいですがフェンリルの白い毛もお似合いかと…」
最近分かってきたな。レティナは珍獣好き…
「そんなの目立つに決まってるって…」
「異国にフェンリルを連れた素敵な…いえ、変わり者の伯爵がいるそうです。噂だけが独り歩きし事実は明らかでないので成りすますにはうってつけかと」
「なるほど…確かに裏から潜入するより安全かもしれない」
「ヤッター!レティっちありがとう!」
「そのふざけた呼び方はやめてください」
「なんて呼んだらいいの?」
「え…えっと…レティと…」
「おっけ!レティ!」
「ッ…ンハィッ!」
真っ赤になって返事をするレティナはメロメロ、と効果音が聞こえてきそうだ。
「……えぇと、気を取り直して。スパイはナシ。変装して交換会に参加する。
俺とルキアは仮面とかカツラでうまく誤魔化せそうだけどレティナは流石に…」
「いいえ。私も豚をぶっとばしたいので行きます。必ず別人に変装して見せますので」
「んー…じゃあ変装したの見てから判断で。それと……ドラギアス王とルキア!」
「はにゃ?」
「うぃ?」
「くれぐれも目立つ行動はするな!くれぐれも!」
連れていくのはリスキーだが現場をすぐ取り押さえられるのは良い事。
それに…置いてくと逆に乗り込んで来そうだしな。
さて…奴隷交換会。ぶっ潰せるといいけど
2日後。
奴隷交換会は16時から。
俺はフェンリルを従える貴族。ルキアは交換に出される奴隷に扮する。
「宮田クンどーぉ?!ふあふあでカワイクね?!」
「う…うん」
野獣が野獣の皮かぶってるだけだな。
だが誰もドラギアス王とは思わないだろう。
「硬い鱗よりこっちのふわふわ毛のがイケてるくね?アタシこれ被っままにしよっかな〜」
「ははは…」
「お待たせしました」
レティナの準備ができたようだ。果たしてどんな変装か─────




