35話ギャルの恋心
最近の宮田クンを紹介する。
異世界では貴族のヤバいおぢ、エルドがヤバいことをやってるって証拠掴むために調査したり書庫に籠ったり、なんか頑張ってる。
「ざまぁ系ってのをやってみたかったんだよね」
とのことで毎日一生懸命、時々魔王みたいに笑いながらエルドを「ざまぁ」する準備を整えている。
現実世界に戻っても図書館やネットを漁って頑張ってるみたい。
やっぱ宮田クンってオモロ…
そんな宮田くんは大学でいつもボッチ。文学本かスマホを見ていることが多い。
「友達いないの?」
「いるけど…誰かに合わせたり待つのはめんどくさいから」
宮田クンは計画的だ。
同じ時間に大学に来てお昼は持参、月木土はカフェのバイトで火曜日は大学図書館にいる。
ロボットみたいな生活すぎて宮田クンのルーティン把握しちゃった。
宮田クンは正義感が強い。
頭の回転が早く相手が言い返せないほどボロクソに言うところ。見ていてチョー気持ちー。
宮田クンは意外とモテる。
「宮田君って頭いいよね〜」
「温和で優しいし、私この間ハンカチ拾われちゃって〜」
などなど。本人のいないところで隠れモテを発揮中。
宮田クン自身は"モブ"だとか"陰キャで根暗"だの言ってたけど宮田クンを狙っている人は割といる。
「あれ…アナタ確か宮田君の…」
大学内のカフェテラスにて茶髪清楚系のネーチャンが話しかけてきた。
白いワンピースに薄めの化粧。アタシとは住む世界違う感。
「カフェのバイトの…?」
「そうそう、加藤沙織です。ここ座ってもいい?」
「どーぞー」
ちなみにこのオンナは要注意人物だ。宮田クンと同じバイト先の先輩だが明らかに宮田クンに気があるように見える。
アタシが宮田クンのバイト覗きに行った日、わざわざアタシの目の前で本の貸し借りをした……なーんて、考えすぎカモ
「えぇと、名前は」
「立原衣留香っていーまーす」
「立原さんは宮田君とどういう関係なの?」
「え?」
「宮田君にしては珍しい人といるな〜って」
珍しい人。ガングロギャル。ピンクハート柄ニット。短パン。
宮田君との系統は真逆。
「ンー同じ学科でェ…秘密の共有者みたいな?」
「秘密?」
「秘密は秘密です〜」
「なんだそれ〜。今度宮田君に聞いてみよ〜っと」
明るく素直で愛嬌がある沙織さん。視線がぶつかる度に品定めされているきがする。
あぁこれ、宣戦布告ってヤツゥ?宮田クンモテすぎっしょ
「でもさぁ立原さん。宮田君は騒がしい人とか派手な人達、苦手っていってたよ」
あ、違うわコレ
「宮田君困ってるんじゃないかな?立原さんみたいな"派手"な人に絡まれて」
クソ腹黒オンナだ───!
こんな爽やかな笑顔で、周りからはさも女神の如く振舞っといて中身は引くほど真っ黒くろすけ。
キメた。あーしコイツだけには負けんし。
「宮田クンはぁ…そういう偏見嫌いって言ってました。困ってるんじゃない?アンタみたいな腹黒オンナに絡まれんの」
バチバチと飛び散る火花。宮田クンをかけた戦いが今、開戦───
って──あの時は強気だったけどやっぱあーしの格好ってイヤかな。声もデカいし騒がしいし。
アタシは友達のゼミが終わるまでの数十分。大学のベンチで暇つぶし。
暇だと余計な思考がチラつくのはギャルも同じってカンジで。
「扱き使われてる」「うんざり」とか、言われたし…ホントはアタシのこと嫌だったりして…
ってー!ウジウジしてアタシらしくない!オワリ!
「あ、いたいた!立原さん!」
こちらに手を振りながら駆けてくる瞳をキラキラさせた宮田クン。
モヤモヤがウソみたいに晴れた。
「やっとエルドにざまぁする準備が整った!今夜が待ち遠しいよ!」
嬉しそうで楽しそうで、キラキラ笑顔の宮田クン。
カワイイ〜ッ
「マヂ?すごいじゃん!楽しみにしてんね!
あ…ねぇ宮田クン」
「ン?」
「そのさ…あーしの格好、どう思う?」
「どうって…今日もギャルだなって思うけど立原さんが好きな格好なんでしょ?」
「ウン」
「じゃあいいんじゃないかな?俺は立原さんが好きな格好してるのがいいと思うよ」
彩りを得る視界。照れくさそうに笑う宮田クンの顔がキラキラ宝石みたいに見える。
やっぱアタシ…宮田クンのこと好きだなぁ。ホント、人たらし
「胸?」
「むっ…か、関係ないって!」
「あはっ真っ赤〜」
「違うって!!」
可愛くてカッコいいアタシの憧れ───
宮田律クン。彼とのヒミツがまたひとつ増える。




