34話貴族との対面。魔王宮田
「エルド・アルダン様が到着されたようです」
貴族を今すぐぶっ飛ばす作戦に変更した際、「呼び出す方が早いかと」という冷静なレティナのツッコミにより悪逆非道の男がこの部屋にやってくる。
迎えるのは俺と立原さん。ルキアとレティナは隣の部屋で聞き耳を立てている。
珍しく立原さんがピリピリしてる…イグニーさんのあんな姿見たら腹立つよな。さてエルド…どんな男か。
「失礼します」
応接室に入ってきた男、エルド。でっぷりと肥え太った体に顔周りは贅肉だらけ。体中には金色の装飾をジャラジャラと纏う。
絵に書いたような贅沢貴族だな。レティナが豚と表現するのも頷ける。
「これはこれは王よ。ご無沙汰しております。
私めになにか御用でしょうか?」
媚びへつらうような笑顔だ。
「イグニっちを傷つけたってホント?」
「イグニっち…あぁ、我が愚弟イグニーの事ですか。
先日賊に襲われたとか。愚弟とはいえ可哀想なことです。私もいくらか復興の援助を致しましょう」
しらばっくれるつもりか…そうはさせないっ
「惚けないでいただきたい。我々が捕らえた賊は貴方の所有する競技奴」
「証拠、はございますか?」
「…今はないが調べれば自ずと分かることですよ」
「困りましたね…弟が傷つき私も傷心しているのですが、まさか実の弟を傷つけた犯人として疑われるなんて。
どうぞお調べになってください…私の無実を証明するためであればいくらでも協力致します」
貼り付けたような笑み。この余裕ぶった態度。
あぁ…腹が立つ。嘘をついてるのは明白なのに証拠は隠蔽されてる可能性が高いな…
「とっくに隠蔽した後だとタカをくくっているんですか?」
「とんでもないっ私めはそんな頭脳持ち合わせておりません。
あぁ王よ…私めは竜王様に忠誠を誓った身。消して嘘などつきませぬ。
証拠もないのに罰する等…思慮深い竜王様が…まさかそんな」
この男。全てが貼り付けた嘘でできている。コイツが流す涙、笑み、媚び、全てが嫌悪の対象だ。
だが証拠がない。この豚の首を締める証拠が。
クソ…早まった。雰囲気に流されて調べる前にエルドを呼びつけて警戒心を高めただけだッ
「それよりも竜王様…税収か半分になると聞きましたが」
耳が早い…
「そーだけど?このままじゃ食べ物なくていっぱい死んじゃうからね」
「なんと心優しい。
しかし我々への配分は減るということ。そうなると今までのように酪農品や高級品、お菓子等…そちらの献上も考えなくてはなりませんなぁ…」
こいつは思った以上に曲者…セルヴァも手玉にとって甘い汁啜ってたんだろう。
って立原さん…アンタ
「お菓子っ…そ、それは…ケーキとかカヌレとか…」
エルドの口撃受けまくってんじゃん───
「えぇ。マドレーヌ、シフォンケーキ、スコーン…ガトーショコラなんかも」
「ッ…そ…それマジ?マジで言ってる?」
「マジ…?」
「よし、処刑」
久々のギャル暴君モード…流石のエルドも目を丸くしている。
「お戯れを…料金さえ払っていただければ変わらず献上致しますので…
ご用件は済みましたかな?では…私めはこれにて」
「ちょぉ待ちっ」
「エルドさん。他者を踏みにじって理を得る。そのやり方はいつか自分に返ってきますよ」
「貴方方も同じ穴のムジナでしょう。
そうだ…我が娘にお伝えください。馬鹿な遊びは程々にしろと…それでは」
エルドは去っていった。
悔しいが今奴を処刑することはできない。貴族からの反感は国にとって利益にならない。まだ今の歪な利害一致の方がマシである。
その状況を作り出し竜王の逆鱗を交わしながら悠々と悪事を働くエルド。
胸に残る不完全燃焼の怒り。
足音が遠のくと隣の部屋からレティナとルキアが顔を出した。
「…すみません。私のことバレてたみたいです」
「処刑しちまえばよかったのにィ」
「証拠が〜って…マヂムカつくあのおデブ!絶対イグニっちのことボコしたのアイツなのに!」
「証拠ですか…既に揉み消されている可能性が…ミヤタさん?」
「?…どしたの宮田クン」
「………絶対証拠見つけて突きつけてあのニヤけたデブ面を絶望に変えてやる…社会的処刑だ…クソ豚が。
おもしろい。人を踏みにじり悪びれもせずニヤけるあの悪党。
必ず奈落に突き落としてやるよ…ククク…
ハハハ!…は、は」
しまったと口を抑えた時には時すでに遅し。部屋に入ってきたランフェルを含め4人とも口を半開きにさせている。
「…あー…じゃあ、証拠集めしに行こっか」
エルドを社会的抹殺…否、罪を償わせるための証拠集めが始まった。




