33話帰国後に待ち受ける闇
「宮田クンは…アタシのマブダチだし!」
「ほう?ならば私の立場と変わらんではないか。
そうだ、代わりに我が国の優秀な宰相を派遣しよう。きっとよき教育係になってくれよう」
「宮田クンの代わりとかいないし!」
「政治の知識としては代わりなぞいくらでもいる。だが我は男としてミヤタに惚れ込んだ。我が夫に相応しい」
「だーめったらダメ!」
状況がサッパリ飲み込めない。ドラギアスの腕に抱かれながら頭上で言い争う竜と女。
そんなに俺に惚れ込む要素あったか…?
「ならばミヤタに決めてもらおう。貴様はどっちがいい?」
「えっ…?」
「聞けばドラギアス王に扱き使われ疲弊しているというではないか。
我が国に来れば上等な召し物に美味い飯。そして優秀な部下たちが協力しあって国を支えている。
悪くなかろう?」
「あーしのギャル王国だって楽しいしアガっし!」
確かにカザ国の方が優雅には暮らせそうだ。イタズラと激務と無茶ぶり。
何度命の危機を感じたことか。
さらにユーヴァースは卓越した美貌の持ち主。恐怖の竜王に比べれば月とすっぽん。
「確かに毎日過労死しそうだし死にかけるし予想外のことばかり起こるしその尻拭いにうんざりします」
「宮田クン?!」
「ならば…」
「けど俺は決めたんです。たち…ドラギアス王と共に国を良くすると。
俺は竜王の優しい心と奇想天外な発想力に惹かれ、この人と腐敗した国を皆が笑顔で過ごせる国にしたい…そう思っています。
ですから…その…お、夫にはなれません」
「…そうか。ならギャル王国が安定してから再度婚約を申し込むとしよう」
「はぁ…」
苦笑いしていれば片手を掬われ手の甲に降ってくる優しい口付け。
「えっ?!ゆ、ユーヴァース様…」
「ユースでよい。何か力になれることがあれば申せ。助力は惜しまない」
「あ…ありがとう、ございます」
「ではまたな。ドラギアス王とその一行よ」
びっくりしたぁ…異世界の人って大胆だな。手の甲にキスって…これじゃ俺が花嫁だろ。
「やるじゃねぇかミヤタァ〜」
「ルキア…揶揄うなって。俺の戦略が面白かったから欲しいってだけの政略結婚みたいなもんだって」
「は?お前それ本気で言ってんのかァ?」
「?…うん。あんな強くて綺麗な人が俺みたいなモブ兵と婚約なんて有り得ないって。
王様なんだから結婚するとしたら王家の血筋だろうし」
「へー…」
「え?何?」
「いーや。ミヤタは頭いいのにニブいんだな〜ってさ」
「えぇ。ドラギアス様が不憫です」
「なんで?!ユーヴァースにとって俺が有益だっただけだって!ね、ドラギアス王…」
むっすぅうううっっ
めっちゃむくれてる!!頬っぺた膨らまして腕組んでなんか黒いオーラだしてるんだが?!
「あ、あの…ドラギアス王…」
「皆帰るよ!宮田クンのバーカおっぱい好き!」
「なっ?!違っ!」
心外なレッテルを貼る竜王を追いかけ俺たちはギャル王国へと帰還した。
◾︎◾︎◾︎
「ふぅ…着いた着いた。早速風を水に帰る機械の設置と増産に取り掛からないとだな?」
「ソーデスネー」
いつまで拗ねてんだこのギャルは…うんざりとか言っちゃったけど仕事押し付けてんのはソッチ…
「ミヤタ殿!ドラギアス王!」
下船するなり馬にて駆けつけてきたのは、留守の間国を任せていたランフェルだ。
「貴族長のエルド・アルダンが…イグニーさんを尋問し工場破壊に及んだそうです!」
「バレんの速ぇな…流石今までこの地位にしがみついて悪事働いてただけあるかァ。ぶっとばしがいがあるなァァ?」
「それで…イグニーの容態は?」
「現在は王宮の医務室で…申し訳ございません。我々が警備隊を派遣した時には既に…」
「急いで王宮に戻ろう!ドラギアス王、背中乗せて行ける?」
「おk!ひとっとびしたげる!」
竜王の背に乗り王宮へ一直線。
貴族長エルド・アルダン。レティナの父親はどうやら曲者のようだ。
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「イグニーさん!」
「あぁ…ミヤタ殿…皆さん…帰国されたんですね」
病室のベッドに座るイグニーは頭に包帯を巻いているものの大きな外傷は無さそうだ。
「一体何があったんですか…?」
「それが最近私の収入が多いことに兄が気づき問い詰めてきたのです。
嘘は用意しておいたのですが…兄は疑り深い。念には念を、という事だったのでしょう。
競技奴隷を使って私の工場を襲い、使用人は殆どが負傷。殺さなかったのは兄弟故、最後の優しさでしょう」
「競技奴隷?」
「闘技場で魔物と奴隷を戦わせ、賭けの対象とする違法な催し物です。とまぁ、違法なのは他国だけでこの腐ったお国ではスルーされていますけど」
「なんそれ〜?!禁止にしよ禁止ィ!」
「いやドラちゃんが決めてたことなァ」
ツッコミ辛いな…
「私も貴方達の力になりたい。姪のレティナは…正義感が強く私なんかよりずっと強い子です。
支えてやりたいがやはり兄を敵に回すのは無謀でした…」
「レティっち、ルキア、宮田クン。ちょっとずつ作戦はナシ」
ドラギアスの黄金の瞳が輝きを増す。
「貴族のボスってやつ、ぶっ飛ばしに行こう!」
全員の意思が1つになった気がした。




