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3話腐敗した国でギャルムーヴ発動!

竜王ドラギアスが納める内陸の大国ジュラ王国。


土の地面とレンガ造りの平屋といった古いヨーロッパ風の建物が立ち並ぶ街並みが広がっている。


総人口約1万5000人からなるこの国は王以外人間。つまり竜に人間が支配されている国だ。


そんな世界に運悪くモブ兵として転生してしまった俺、宮田律。


現在立派な角と牙を携えたこの国の竜王ドラギアスと街の見回りに来ている。


「宮田クン宮田クン。日傘持ってない?」


右前を歩いていたドラギアスが見た目に似合わぬ口元に手を当てたヒソヒソポーズ。


そう、竜王ドラギアスの中身は同じ学科のギャル、立原衣留香さんなのだ。

神様のイタズラにしてもやり過ぎである。


「紫外線強すぎてやばたにえん…」


「肌真っ黒だから気にしなくていいと思う…」


「うわっ、そうだった!黒ギャルってより漆黒ギャルじゃん!」


外見は超怖い二足歩行ドラゴンだけどな…


「王よ。何故そのような下級兵士を…今からでも王宮に帰らせ鍛錬や城の清掃に向かわせては?」


竜王の側仕えセルヴァがモノクルを押し上げながら不服の表情を見せる。


「宮田クンはぁ」


「ちょぉー!!」


思わずドラギアスの腕を引っ張り耳打ち。


「だから俺ら異世界転生してるんだって!」


「もぉメンドクサイし言っちゃえば良くない?アタシ王じゃないでぇーすって。案外帰り方教えてくれるかもよ?」


「絶対信じて貰えないっつーの!

下手すると王になりすましてるとか王は呪われてるとか変な疑いかけられかねないって…」


「マジ?なんでそんなことわかんの?」


「ゥ…それは…ラノベでよくある設定というか…」


「ラノベ?」


漆黒の竜が小首を傾げた所でセルヴァが口を挟む。


「貴様、ドラギアス様に不敬であるぞ。王よ、このミヤタという兵士はむち打ちの刑でよろしいですか?」


ニコリといい笑顔で問いかけるセルヴァは穏やかそうに見えてたぬき爺だったらしい。


ほらみろ。この世界のルールが分かるまで下手に動くとろくな事にならない。

異世界転生モノの定石だ。


「えーと、コイツアタシのマブダチだから」


おぃーー!!全然わかってないぞこのギャル!!


「ま、まぶだちとは?」


「超仲良いってコト。この世界のこといろいろ教えてくれるしアタシのこと助けてくれてんの。フケーじゃねぇし」


「さ…左様でございますか。しかし…王に助言を行う者が下級兵士というのは…国民に示しがつきませぬぞ?」


「じゃあ誰だったらいいの?」


「そうですねぇ…最低でも後ろに控えております騎士隊長…でしょうか」


「んじゃあ宮田クンそれで」


「………エッ?!」


俺、モブ兵から騎士隊長に昇格。


◾︎◾︎◾︎


そんなこんなで騎士隊長となった俺と困惑するセルヴァを引き連れた竜王一行は、城から離れた民家の立ち並ぶ場所へと辿り着いた。


城の近くは中央都市なのだろう。ある程度ライフラインが整備され街ゆく人々の身なりもそこそこだった。


だがこの民家はほとんどがバラックか隙間だらけのレンガ造り。貧しさは一目瞭然だ。


「ここはジュラ王国の西部に位置する街、アレスト。

ここ最近の税収が減っているため王をお呼び立て申し上げたのです」


税収が減ってるって当たり前じゃないか…


ボロい民家の前で竜王に跪く人間たちは皆痩せ細っている。無理な税収が行われていることは明白だ。


「ドラギアス王よ!」


竜王の目の前に跪く老人。


「こ…この通り、干ばつが続いておりましていつも納めている"ナポの実"が全滅…我々の食事すらままならない状況でして…」


「黙れ!その干ばつをどうにかするのが村長の役目であろう!今月はもう待たん。王のためにその身を捧げてもらう!!」


セルヴァが指を指すと村長は蹲った体を縮こまらせて震える。


どうやら立原さんが転生した竜王ドラギアスはかなりの暴君だったらしい。


「うっわおじーちゃんガリガリぢゃん!ちゃんと食べてる?」


ポン。竜王の巨大な手が信じられないほど優しく村長の肩を叩く。


「あ、あの血も涙もないドラギアス王が…跪いて…」


「これは夢か…?!」


狼狽える街の人間たち。


「お、王よ!そのような下賎の者たちに触れてはなりませぬ!」


「は?あーしはあーしの好きな物に触るし〜

てゆーか、こんなボサボサの畑じゃなんにも採れないじゃん?」


「そ 、そうは申されましても…市民は国に税を納めるのが決まりでして…」


先程まで偉そうに市民へ圧を掛けていたセルヴァが慌て始める。


最初はどうなる事かと思ったけど立原さんって意外と優しいな。ギャルのゴリ押しムーヴに悪徳宰相の企みもここまでかな…


「う〜ん…ハイ、宮田クン」


「うぇっ?!俺?!」


モブらしく傍観者を決め込んでいたら急に話をふられた。


「どーすればいいと思いますか?!」


「え、ええっと…ええと…水路を引いたり井戸を作ったりする、とか?後は国に貯水タンクみたいなのがあればそれを提供して助ける…?」


「だって。この国に貯水タンクあんの?」


「ありますが…それはこの国の水不足に備えたもので」


「今困ってんじゃん。今使わないでいつ使うってカンジ〜」


「そ、そんなことをしても我が国にとって損になりますぞ!」


「では根拠をどーぞ、宮田クン」


また俺?!


「えー…水不足を解消してナポの実ってやつが収穫できれば、売って儲けてより高い税収が見込めるハズ…です」


「ハイ!よく出来ました!つーワケでセルちゃん。手配しといて!」


バッッチンッッ


ごっつい指パッチンに砂埃が巻き上がりセルヴァのモノクルがズルリと傾いた。


「…承知…しました」


もしやギャル王ドラギアス

有能──────?


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