28話綺麗なお姉さんに迫られて…
カザ国の格技大会。
年に一度紅組白組に別れて勝敗を競い合う戦の祭り。競技内容は年々バラバラのようだが今年は───
「き…騎馬戦…」
「あぁ。3人が馬となり騎手を持ち上げる。騎手は赤い羽根、白い羽をそれぞれ頭に着け、それを取られたら落馬、という扱いだ」
女帝ユーヴァースは聞くところによると戦が大の得意。
この格技大会は「戦の訓練」「ユーヴァースの勇姿を見る」ために行われているらしい。
なるほど…それで国民からのあの人気ぶり…ギャル王国でもやってみたら暴君のイメージ拭えるかもしれないな…それはそれとして
「楽しそー!やりたーい!」
「いやいやいや!やめときましょう!」
「なんでー?運動会みたいなもんでしょ?」
「ナメてんですか?擬似的な戦の祭りですよ!あ、あの…俺たちみたいな他国の者が出場するのは…」
竜王ドラギアスが目立たない…なんてことは絶対ムリ。間違ってもユーヴァースに勝ったりなんかしてみろ。国民たちの不満を買い、最悪は国交の乱れに…
「招待客が出場することはよくあることだ。ミヤタ。貴様も騎士なら戦の祭りに滾るだろう?」
滾らねぇよ戦闘狂爆乳美女。
「で、ですが…皆さんユーヴァース様の勇姿をご覧になりたいのでは…」
「ほぅ?貴様、我が竜王に遅れをとると思っているのか?」
ニヤリと笑うユーヴァースが玉座から降りてくる。
「そういう意味では…」
目の前に立ったユーヴァースは175はあろうかという大柄な女性。紫の瞳に見下ろされ腰が引けてしまう。
「ふふ…戦に負けはしたが祭りではそうもいかん。それも我が国伝統の祭り。それをミヤタ──」
美しい指先に顎をすくわれ眼前に迫る美女。ドキッと胸が脈打つのは緊張か興奮か。
「私が再び…負ける姿を見せるとでも?」
ち…近い!美女!!胸ェ!
綺麗なお姉さんに迫られ俺の頭はパンク寸前。顔中に熱が集まりユーヴァースから目が離せない。
「い…いぇ…めっそうもございません…」
「そうか。分かればいい。いい子だ」
くしゃくしゃと頭を撫でられて唖然。思考が停止し立ち尽くす俺はすっかり骨抜きだ。
「……ハッ」
隣から放たれる重苦しい視線。暫しの間、爆美女のお姉さんムーヴに放心していた俺は冷や汗をかきながらドラギアス達の方を見る。
「ミヤタァ〜」
ルキアはニヤニヤしていてムカつく。レティナは相変わらず真顔だがいつもより覇気がない。虫を見るような目だ。
そして竜王、立原さんは…
「ふーん…」
瞳を鋭く吊り上げ腕組みをしたまま長い爪で肘をトントン。
お、怒ってる?!いや引いてるのか?!
「あの、ちが、これは…」
「決めた。絶対出る!そんでもって…絶対ぶっ潰す…」
いつも軽くて陽気で、頭振ったら3秒で話忘れる竜王が恐ろしい形相でメキメキ拳を握りしめる。
「ほう…受けて立とう。王の威信にかけて我も全力で相手をする」
「いったね?ユーたんは今日からあーしの敵!」
「望むところだ。この国にいる間は王宮近くのホテルに泊まるといい」
なんか…なんか交友関係にヒビはいってねぇか…?!
◾︎◾︎◾︎
「やるからにはかぁああつ!」
ユーヴァースが提供してくれたホテルのテーブルをドラギアスが叩く。ビリビリと伝わる覇気に背中がゾッとする。
最早殺意に近い。
「た、立原さん。そうはいってもお祭りだしさ気軽にいこ?」
「何?!大体宮田クンが悪いんだからね!おっぱい大きいからってデレデレして!」
「はっ?!なっ?!で、デレデレなんてしてねぇよ!てかやるって言ったの立原さんだし俺は悪くねぇだろ!」
「ちが〜〜う!この無自覚スケベ野郎!」
「はぁああ?!」
そりゃあびっくりしたけどあんな格好の美人に迫られたら目のやり場に困って緊張するだろ…!
聞き分けが無い、突拍子もないのはいつもの事だが今日はどこか違う。
なんで立原さんこんな怒ってんだ?女同士の戦い的な…?
「はいはいお前らァ痴話喧嘩はそんくらいで」
「「痴話喧嘩じゃないっ!!」」
竜王とハモってしまった。
「あーもーうるせーな。それより騎馬戦だろォ?騎手だれにすんだよォ?」
「勿論アタシ!」
「ナシ。騎馬潰す気かァ?
ドラちゃんは絶対ナシ。反射神経とかでいや俺だけどォ…ミヤタが騎馬だと機動力が心元ねぇなァ」
「それでは必然的に…」
レティナ、ルキア、ドラギアスの順に俺へと向けられる視線。
「…えっ?」
「ミヤタが騎手だなァ!」
「え…ええええええ───!!」
最弱を乗せた騎馬戦、開幕───




