25話宮田本日も竜王に振り回されるの巻
「一緒に恐怖の森で大蛇を討伐したら一日なんでも言うことを聞く」なんていう夢のような約束だったが、結局デートっぽいものになってしまった。
駅で立原さんと別れプリを眺めながら帰路を歩く。
一生関わることないって思ってた陽キャとアニメ系の買い物をすることになるとは…
異世界転生した時は秒で死ぬって思ったけど思えばそれが巡り合わせだったんだよなぁ
「…討伐とか戦いとか…そーゆーのはもう禁止だな。あれはいつか死ぬ」
湿った森と襲いかかってくるオークやら猪やら毒蛇やら。
当分夢に出てきそうだ。
さて、帰宅して夜が来ればもうすぐ異世界ターン。平和から一気にシリアスモードだ。
「よしっ」
両頬を叩き気合を入れて睡眠へ。
「あ…」
ふと財布に入れておいたプリクラを取り出し枕元へ飾る。
…何事も起きませんように……なんて、プリに祈ってるって知ったら立原さんに爆笑されそう
異世界ギャル王国。
貴族との平和的解決を祈り俺は眠りについた。
そして───
白い布団、シャンデリア。異世界ターンのスタートだ。
「来たか…」
起き上がろうとしたが違和感がある。
ピキッ
ッ───いってぇえ?!く、首つった!
痛む首をゆっくり左右に身悶えながら動かす。と、ゴリゴリとした硬い感触。枕が変だ。
グルル…ピュゥ…グルル、ピュゥ
耳元に聞こえる獣の寝息。横から感じる圧。
と、隣…見ちゃダメな、気が…
首は痛いので視線だけを横に向ける。そこには激しい鼻息を漏らし鋭い牙を覗かせる竜のドアップ寝顔。
バチッと黄金の瞳がかっぴらいた。
「ぅぎゃああああっっ!!!」
異世界の寝起きは毎回寿命が縮むらしい。
俺は竜王の鱗まみれの腕枕にて就寝していた。否、森で気を失ってからそのまま寝ていたのだろうから正しくは気絶。
ついでに寝起きにベッドから転げ落ちたことで首も腰も激痛だ。
「ねーねーもー機嫌なおしてよ〜」
「……」
会議室に向かう間、竜王は巨体に似合わず俺の周りをちょこちょこ。体が大きいせいでかなり鬱陶しい。
「あ」
動き回るドラギアスのしっぽが壁際の花瓶にヒット。高そうな花瓶がグラつく。
「うおぁっ!」
反射的にキャッチしてしまいまた首がつった。
「ッ〜…いってぇぇ…もー!!さっきからなんなの?!俺の首ねじ切りたいわけ?!」
「ンな怖いことしないってェ。そんなにやだった?"添い寝"」
「そ……添い寝…って…」
「宮田クンが魘されてたから可哀想だなって思って、腕枕と頭ヨシヨシしてあげたんだよ?
そしたら宮田クンにこ〜って笑っちゃって可愛かっ」
「だァーー!もうっ!!ヤメテ!!」
恥ずかしい。一生の恥だ。
「よ、朝から何乳繰りあってんだ?」
「ちちくり?!あってないあってない!」
ルキア。もうすっかり王宮に馴染んで我が物顔で歩いている。
「おっはールキア〜」
「おぅ。バイオレットサーペントの解体済んだってよ」
「え、もう?確か昼過ぎにって話じゃ…」
「解体屋のじっちゃんが『素晴らしい…ここまで上質の蛇の皮を見るのは初めてだ…職人の腕が鳴るぜ!』とか言ってたから夜通し解体してたんじゃね?」
モノマネ上手いな。
「じゃあ行ってみよっか」
「そいつを売ってぼろ儲けすれば宮田作戦始動つてワケだね!」
大蛇討伐の金で元金ゲット
↓
ピクルス加工工場設立
↓
金儲け
↓
儲かる話で貴族を取り込み税収を減らす
これが宮田作戦。
「変な作戦名付けなくていいから…」
◾︎◾︎◾︎
王宮の広々した地下にて筋骨隆々の大男が「待ってたぜ!」と意気揚々に出迎えてくれた。
「これがバイオレットサーペントの皮。こっちは牙。毒抜きは済ませてあるぞ。それからコレだ!」
机に置かれた木箱。解体屋はどこか嬉しそうに蓋を開ける。
「なんだ…?…うわっ!!…め…目玉かぁ」
赤色に艷めく神秘とおぞましさを兼ね備えた球体。
「コイツァマニアの間で高値で取引される。下手すりゃこの王宮まるごと買えるくらいの値がつくぞ」
俺的にはこの瞳に睨まれたの思い出すからもう見たくもねぇんだけど…
「ありがとうございます…あの…」
「おぅ俺はこの国イチバンの解体屋、オルバだ。」
「オルバさん。この解体したものを売りたいんですが…どこに売るのが良いとかありますか?」
「それなら北のサラド王国がいい。あそこは伯爵家が多い上に鉱山掘り当てたことで潤ってやがるからな」
「サラドなら交易の船出んの0時だぜ!乗せちまおう!」
「いーねいーね!お金稼いだらプリ機できる?」
「プリ?」
「あーあー…カザ国の風から水を生み出す魔法装置のことですよね〜!」
竜王立原さんがプクッと頬を膨らませる。
そんな顔すな。プリは昨日撮ったでしょうが…
こうして俺たちギャル王国は資金を手に入れピクルス工場とバター工場、ヨーグルト工場に着手したのだった。
平行してお次は水問題の解決!カザ国に技術者を派遣だ!
「ユーたんの国?宮田クンとあーしで行こぅ!」
うん?また話がややこしい事になってきたぞ───




