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22話頭脳で打ち勝て!大蛇攻略!

うねる大蛇。赤黒い不気味な表皮は木々や岩を蹴散らすほど硬い。

ドラギアス顔負けの鋭い赤目が光り細く長い舌がシュルルと怪しく蠢いた。


これが東の森を牛耳る魔物。バイオレットサーペント?!


勢いづいた大蛇がうねりながら四人の間に突っ込んでくる。


「ミヤタァッ!」


ルキアに身体を抱えられその場を脱する。


「チッ、分散させられたか」


サーペントの今のアタックにより4人は散り散りに避けざる得なかった。この大蛇は悪知恵が働くようだ。


「蛇キモイ蛇キモイぃ!」


飛べることも忘れてドタバタ走り回るドラギアス。


現代人からしたらいくらガワが強くてもそうなるか…


「皆さん気をつけてください!こいつの歯に少しでも掠めると…数秒で毒が回って死にます!」


「マジで?!ヤバすぎんだろ…」


頼みの綱の立原さんは半泣きで逃げ回り木々を倒しながらうねりをあげる胴体をルキアとレティナがいなすばかり。


特に俺を庇いながら戦っているルキアが危ない。ほとんど紙一重だ。


ニヤリ


赤い蛇の瞳が妖しく笑いながら俺たちの方を見る。


コイツッこのパーティの一番弱い所を見つけるために広範囲の攻撃を…


大蛇は軽く口を開けたかと思うとその中心に集まる赤い光。


「うそ、だろ…」


大蛇の口から一直線に放たれた魔法。「死」を間近に辛うじて反射したが避けられない。


魔法からチリチリとした熱を感じかけたその時グンッと体が前のめりに押されルキアと共に地面を転がった。


っ…どうなったんだ?!


慌てて起き上がると目の前には火傷を負った右足に眉を寄せるルキアの姿が。


「ルキア!悪い、俺を庇って」


「ッ…やべぇなァ、足ィやられちまった…」


眼前に迫り来る口を開けた大蛇の突進。休む暇なく畳み掛けるように弱い獲物から仕留める。


大蛇バイオレットサーペントッ…完全に強さを見誤って……


ルキアは動けない。大蛇、牙、毒、ルキア、ルキア!


俺はルキアの体に覆いかぶさり蹲る。ほとんど反射的だった。


ガッッ


目を硬く閉じ訪れるであろう痛みの瞬間に体を強ばらせていたがいつまで経ってもそれは訪れない。


「…?……!…た、立原さん!」


目の前に広がる信じられない光景。

立原さん、否ドラギアスが両手で大蛇の口を止めているのだ。


止めてる!凄い!でも──


「立原さん!牙がッ」


サーペントの牙はドラギアスの硬い右腕の表皮を突き刺さっている。ナイフも猪の突進もものともしなかった皮膚へ傷をつける毒の牙。


毒。即死。


レティナの言葉を思い出し青ざめる。


「宮田クン!」


力強い声に体が跳ねる。


「どうしたらいい?!」


不安と恐怖に塗れた俺の頭が一掃。


そうだ、生き延びるために頭フル回転させろ…!


「レティナさん!右斜め前の巨大樹の前へ!俺が合図したら大蛇の体弾いて!ルキア、剣借りるぞ!


立原さんは魔法準備お願い!」


「…ラジャー!そうこなくっちゃ!」


ドラギアスに口を開けられたまま捕まれ力比べ状態の大蛇。


コイツは頭がいいから体をうねらせて動けないルキアを叩きに来る!


うねりをあげる胴体が木々を倒す。


───予想通り!

その軌道上をレティナの魔法で…


「レティナさん!」


「ウォーターフラッシュ!」


杖から放たれた水の玉がうねり始めた中腹を弾く。


「キシャァッ!」


予想外だったのだろう大蛇の体がバランスを崩した。


今だ!ビビんな俺…!!ルキアの剣をコイツの口に……


「ッぅ…ぉらぁあ゛!!」


剣をぶん投げその切っ先がサーペントの喉を突き刺す。悲痛な叫び声と共に暴れ狂う大蛇の下肢。


「立原さん!!」


「オーケー必殺!ブラックハンドスピナー!」


技名は置いといてドラギアスの両手から放たれた高出力の魔力が大蛇の顔面を見事に吹き飛ばした。


プスプス…


焼けこげた匂い。力を失う胴体。

森の中が静寂に包まれた。


「や……やった、か…」


「うぁんっ宮田クゥン!」


「うぎゃーーー!!」


ホッと腰を下ろした所に飛びつかれ心臓が飛び出すかと思った。

竜王が金色の瞳からポロポロ涙を溢れさせながら俺にすがりついてくる。


「なになになに?!」


「あ、あーし毒で死んじゃう??即死??」


「いや…即死は秒で死んでると思うよ…」


竜王の腕に毒牙が刺さった時はヒヤッとしたけど…大丈夫そうでよかった……


「ドラギアス様は表皮もお強いですしこんなチンケな毒は効かないということですね」


レティナが髪を耳にかけながら歩いてくる。


「よかったぁ〜…死んだァ!!って思ったよね


「そうだ…たち…ドラギアス王。助けてくれて…ありがとうございます」


「いいってことよォ。アタシも宮田クンに助けてもらったからね」


「いや…俺は皆の足を引っ張っただけというか…」


「ミヤタァ!お前やるじゃねぇか!」


後ろから肩を組まれ頭を乱雑に撫で回される。


「ど、どうも?ってルキアは怪我大丈夫か?」


「こんなもんどうってことねぇよ!


結局ドラちゃんので一撃か。なんであんなピンチになったんだかァ…いってわァ…レティナァ治してくれェ」


「ハイハイ」


レティナの雑な回復魔法によりルキアの傷がみるる癒されていく。


「何はともあれこれで元金はつくれたな…」


ノリと勢いで乗り切ってしまった恐怖の森の主、バイオレットサーペント討伐。


俺もギャルの悪いとこうつって勢い任せになっちゃったなぁ。まぁ、結果オーライか


グスン、膝上で涙目になっている竜王を見下ろし苦笑。拳を丸め竜王に向けて突き出す。


「やったね立原さん」


「!…おぅよ!やっぱり宮田クンは頼りになるね〜」


ニッコリと鋭い牙を見せて笑うドラギアス。


はぁ…何とかなってよかっ…れ…なんか、目の前がくら、く…


緊張の糸が切れたのか遠のく意識。


「宮田クン?!」


ドラギアスの声を最後に俺は意識を手放した。

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