2話竜王に転生したギャルが自由奔放すぎる件
立原衣留香さん。
蛍峰大学、人文学部日本文学学科。
俺とは同じ学科というだけでほとんど接点は無い。だけど彼女はとても目立っていた。
なにしろ絵に書いたようなギャルだからだ。
金髪にバチバチのまつ毛。半袖短パンへそ出しの派手な見た目。たまにガングロギャルで現れることもある。
所謂陽キャと呼ばれる男女達と大声で話しているのを聞いているから俺の方は立原さんをそれなりに知っていた。
あぁいう人種とは関わりたくないし関わることも無いんだろうなぁ…
そう思っていたのだが。何をどうしたのか。俺は異世界のモブ兵に。そして立原さんはモブ兵へと転生した俺が仕える「竜王」ドラギアスに転生したらしい。
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「ンで、アンタ誰?アタシの知ってる人?」
竜王ドラギアス(中身ギャル)は長机に並べられた豪華な食事を前にナイフとフォークを構え、俺はその傍らに立たされていた。
コレ俺が食われるやつでは?
「宮田…デス」
「ミヤタ?」
向こうは俺を知らなくてもおかしくない。話したことなんて片手で数えられるくらいだ。
「一応、同じ学科の…」
「宮田 律?」
「えっう、うん。そう」
俺の事知ってたんだ…しかもフルネーム。びっくりしたぁ…
「ぶはははっ!マジ?マジで宮田君?なにそれ超ウケんだけど!」
バンバンと机を叩きながら笑い転げるドラギアス。ギャルの調子で叩いているつもりだろうがテーブルの食器が笑えないくらい跳ねている。
「た…立原さんの姿もかなり凄いと思うけど…」
「でしょ!アタシ超カッケー竜の化け物になっちゃってさ〜とりあえず写メってインスタあげなきゃじゃん?
だからスマホ探したいのにセルちゃんが部屋に戻って朝ごはん〜とか言うしィ?つかコレ全部食べるの?カロリーエグすぎ」
ギャル特有の話題のテンポに全然着いて行けん…
豹変した強面竜王に側仕えのセルヴァはさぞ狼狽えた事だろう。俺だって見た目とのギャップに未だ慣れない。
「あ、あの…とりあえず状況整理なんだけど立原さんと俺は異世界転生したってことだと思う…」
「異世界転生?」
「うん。俺たちが過ごしてた世界とは違う異世界に違う姿で生まれ変わった…みたいな」
「マジ?!じゃあアタシずっとこの竜のまま?!」
「そ、それは分かんないけど…」
「えぇ〜…ヤバいって〜」
項垂れる立原さん。今は竜王ドラギアスの見た目のせいで迫力のあるため息だ。
しかし、いつも楽観的で明るい彼女でも落ち込んだり思い悩むことがあるのだ。
そうだよな…気がついたらいきなり竜の化け物になってるんだもんな…女の子からしたらショックか…
「CAFAの新作リップ付けらんないままぢゃ〜ん…」
前言撤回。ギャル楽観的すぎる。
「とりあえず、さ…一応立原さん、今は竜王ドラギアスって設定だし…それらしく振舞っておいた方が…」
「え〜そもそもアタシドラちゃんのこと知らねぇし」
「ドラちゃん…これは俺の予想だけど、ドラギアスはかなり厳格でみんなから恐れられてる王様だったんじゃないかな?」
「あ〜税を徴収!とか、縛り首ィ!とか?」
「そうそう。だからこう…いきなりギャルに豹変したら…みんなビビるっていうか……」
「あーね!おkおk!日本史のピカ也みたいな感じでイケってことね!」
ピカ也。日本文学科、日本史を担当するスキンヘッドの講師である。
「や…確かに染谷先生は理不尽な課題出すしレポートも厳しいけどアレは暴君ってより嫌味…」
「王よ。お食事中失礼致します。本日のご予定を読み上げさせていただきます」
ドラギアスの側仕えセルヴァが部屋に入ってきた。クルクルと丸めていた紙を開き、ドラギアス王の予定とやらを読み上げる。
「午前中は街の見回り。午後はユーヴァース様との会談。最後に貿易商との取引と今月の収支報告、軍法会議となります」
「……」
読み上げられた内容に白目を剥くしかない。
「宮田クン、この人なに言っちゃってんの?」
初っ端から波乱の予感…!どうなる、俺の異世界モブ兵士ライフ?!




