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19話取り込め貴族!稼ぐぜ金!


「お待たせしました。彼がギリギリ話の通じる男、イグニーです」


連れてくるの早。


「レティナ…唐突に何かと思えば王宮…しかもドラギアス王の前なぞに……まさか私を売ったのですか…?」


立原さんの「貴族を少しずつこちらに引き込もう」作戦のためトップバッターとして連れてこられたイグニーという男。

無精髭と貴族にしてはがっしりした体つきをしている。歳は30あたりと言ったところか。


「ミヤタさん、説明を」


「あ…ハイ」


突然王宮に連れてこられ何が始まるのかと身構えているイグニー。俺は先程のプレゼンをもう一度イグニーに話した。


「───というわけで加工品を量産し上手く輸出できれば今の税収よりも稼げるようになるかと」


「……興味深い話ですがヤツになんて言われるか…」


「ヤツとは…?」


「あ…いや……」


「この男は権力がありながらもビビりなんです。豚に逆らえず言われるがままにパーティを開き奴隷を蔑ろにする、ややクソですね」


「レティナは相変わらず手厳しいな…君くらいですよ。

ヤツを豚だなんて言うのは…あ、ヤツっていうのはレティナの父お」


「クソ豚です」


「……貴族の中でかなり人脈も権力もあってね…ヤツに目をつけられるとウチの牧場も潰され兼ねないのです」


「そんなことをいっているからいつまで経っても変わらないのです。


イグニーさんは自分達の子どもが大人になった時このような腐った国で生きていけると思うんですか?」


「う…」


「イグニーさんよォ、どのみち今なんとかしねぇと貴族諸共滅ぶぜェ?土台がズタボロなんだからなァ」


レティナとルキアは年こそ俺たちとほとんど変わらないのにかなり国の情勢を正しく把握している。


ギャル王国を豊かにするならこの2人を中枢に入れるのは妥当だな。


「わ……分かりました。しかし元手は?先の戦争続きでこの国は既に赤字です」


「国債、つまり借金をするのが一般的ですが…我が国は既に複数に国債を抱えておりこの度催促に応じなかったため複数国と戦争になりました」


ランフェルが説明してくれた。全くこの国のどうしようもなさといったら。最早国を潰して他国に吸収された方がマシまである。


「俺に金策があるぜェ!」


ルキアが身を乗り出す。


「東の森にバイオレットサーペントっていう魔物のボス蛇がいてなァ、森の魔物たちを牛耳ってんだ。」


この世界は魔物もいるのか。ドラギアスがドラゴンだからいてもおかしくは無いけど…


「そいつの皮膚や牙は貴族や外国の間で高値で取引される。サーペントを狩れば金貨一千万はくだらないぜ!」


金貨一千万!セルヴァの机にあった書類の情報と照らし合わせると金貨一枚は現代で言う1万円相当だから───


「確かに…その大蛇?を倒せば一発…」


「いや…君たち。バイオレットサーペントと言えば体長が10mもある毒牙持ちの蛇ですよ?


これまで他国が討伐隊を送ってきたが全滅しています。いくらなんでも…」


「今や東の森はアーサー国の侵攻を防ぐ要塞になってるくらいですからね。死にに行くようなものです。バカルキア」


「バカじゃねェわ!俺たちだけで行けばそりゃぁ死しか待ってねぇだろうよ。


だがなぁ…俺たちにもいんだろぉ?魔物ォ」


ルキアの言葉に全員が一斉にドラギアスを見た。


長く巨大な爪。セルヴァから俺を助けた魔法と思わしきもの。目には目をじゃないが魔物には魔物を。


「お?…なんでみんなアタシのこと見てんの?」


説明を俺に丸投げしていた竜王ドラギアス。視線にキョトンと首を傾げる。


爪いじってるし。話聞いてたのかこのギャルトカゲめ


「えっと…たしかにドラギアス王ならあの森の魔物を壊滅させられると思いますが…竜王はあの森に敢えて手出しをしていなかったのでは……」


イグニーが不安げにドラギアスを見つめる。


そうだ。イグニーはドラギアスの中身がギャルになってから会ってないんだな…


「ドラギアス王は魔物で人間を支配していましたからね。東の森のサーペントは人間の支配にもってこいだったのでしょう」


「れ、レティナお前、竜王の手前でなんてことを…も、申し訳ありませ」


「要は東の森の大蛇でボロ儲けってことね!め〜っちゃいいぢゃん!流石ルキア!」


「へ…」


イグニーの目が点になる。そりゃあ強面で暴君で厳ついドラゴンがウインクしながらサムズアップしたらそういう反応になる。


「おぅよ!大蛇売りまくって金貨一千万を元手にイグニーんとこの野菜でピクルス大生産だぜ!やるよな?イグニー!」


「え……っと…やはりヤツに目をつけられるのは…」


「何言ってんのぉ?ヤるよ?」


立原さんビジョンで見れば目を輝かせやる気に漲った顔をしているつもりだろうが、実際は瞳孔ガンギマリ。ギロリと音が出そうな顔つきは最早脅しである。


「はい……」


ちょっと不憫なイグニーさん。


こうして元手作りのため東の森の魔物、バイオレットサーペントを討伐することになった───


「そうと決まれば、行こ、宮田クン!」


ン?…ン?!俺も行くの?!


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