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18話税収問題解決策!

「え…む、無理…まぁ税収半分ですし貴族の怒りも一筋縄じゃないと思いますが…

最初はドラギアス王の力で脅しながらでも…」


「無理です。あの豚どもが穏便にいくわけありませんから」


豚ども。


「奴らが考えているのは私服を肥やすこと呑み。人が汗水たらし苦しみの中で生み出されたお金で酒を飲み女を買い快楽に勤しむ。

そんな娯楽を覚えた家畜とは会話が成立しませんので」


この子ほんとに貴族か?口悪すぎだろ…


「ふっふっふ、そう言うと思いまして!アタシと宮田クンで大逆転案、考えてきたよ!超絶アガるからレティっちも聞いて〜ッ」


「おかしなあだ名はやめてください」


巨大しっぽを床に叩きつけて笑うドラギアスと冷徹なレティナ。この空気感に緊張しているのは俺とランフェルだけだろう。


「大逆転案?ンなもんあるのかァ?」


「ありますとも!…じゃ、宮田クンご説明を」


俺かよ。


「えっと…貴族が不満を抱くとしたら前より懐に金が入らなくなる事です。ですからそのお金を"自分達で稼いで"貰いましょう」


「どういうことだァ?」


「貴族達の殆どは地主。それも牧場主と農場主がほとんどです。

ここは酪農業の盛んな国。今はそれを高級菓子店に卸し、できた菓子はほとんどが王族貴族へ献上されている。


そこが勿体ない」


異世界転生後商人として成り上がっていくラノベ小説と立原さんの発想力を掛け合わせた案だ。


「採れた農作物や酪農品をそのまま出荷するのではなく加工して出荷する。我が国の特産物の単価をあげるんです」


「……メリットは?」


レティナから初めて毒のない問いかけが返ってきた。


「一つ目は天候に左右されにくくなります。ピクルスや缶詰に加工することで日持ちしますから遠方への出荷も可能になります。

二つ目は国民たちの働き口が増えることです。

そして三つ目はやり方次第で税収を超える収入が見込めること…


大掛かりですし最初は赤字になるでしょう。ですがこの国を再興するにはこの案しか無い!」


「おお…まさかそのような案が…」


「すげぇなミヤタとドラちゃんの案!」


「宮田クンプレゼン上手ぁ〜ぃ」


ドラギアスに拍手され巨大な手ゆえに爆風が前髪を飛ばす。


「悪くないですね」


「では…!」


「しかし働かなくてもお金が入ってくる…を体験した豚が素直に応じるとは思えません。


私の考えに賛同する者たちもいますが、三割と言ったところでしょうか」


「レティっちの考えって?」


レティナの瞳が静かに曇る。


「…ご存知の通り。私のアルダン家はかつてのこの国の王族です」


マジか。ということは───


「史上はドラギアス王に玉座を奪われた、となっています。

事実は竜王から己の身だけを守るために玉座を与えた、というのが正しいのです。


竜王が国を牛耳っても自分たちは食いっぱぐれない。寧ろ税金を横流しして贅沢三昧……反吐が出ることこの上ない…


国の頂点に立つものが民を守らず首を差し出し、あまつさえ民から搾り取って贅沢等。

許される所業ではありません。


私はそんな下劣な一族の長女。

私には今の貴族達を打ち倒し、国のために血を売ってでも尽くす義務があるのです」


口の悪い冷徹な女だと思っていた。しかし、その内面は罪の意識と責任感に溢れる儚くも強い意志。


「打ち倒すのはカンタン!でも一緒にやって行くのはムズいってことだね〜」


「俺ァぶっ飛ばすに賛成だぜ!」


「アタシもぶっ飛ばしたいけど今の国益支えんのは貴族でもあるんだよね〜


そ、こ、で、ちょっとずつ取り込む作戦でどうよ!」


「なーんか地味な響きだなァ?」


「一気にぜーきん取り上げたら絶対怒るじゃん?だからまだギリ人間っぽい人から順にギャル王国に引き込んぢゃえばいいんだよ。


赤信号、みんなで渡れば怖くないってヤツ。1人じゃ渡れないからね〜」


「赤信号…?」


やはり立原さんは俺には無い発想力がある。無邪気で柔軟でそれでいて───


蘇る玄関先でのやり取り。


『今日も増えるね。アタシと宮田クンのヒミツ…』


っ!…なんで今思い出して…


「ね!宮田クン!いい案っしょ?」


無邪気なドラゴンなのが助かるような残念なような。

俺は小さく頷くとレティナに向き直る。


「どぅ…ですか?」


「…現実的ではありませんがやってみる価値はありそうです。

一人ギリギリ言葉が通じそうな相手がいますのでその方を取り込めば芋づる式かと」


「よしったちは…ドラギアス様凄い!」


「やりぃっ!がんばろーね、ルキア、宮田クン、ランちゃん、レティっち!」


「次そのあだ名で呼んだらぶちます」


図太く冷静で毒舌なレティナ。あはは…と乾いた苦笑いを浮かべていた俺だったが顔を伏せたレティナの表情にゾッとした。


頬を丸く赤らめ堪えきれないとばかりに垣間見える笑み。照れているようななにかを企むような。何を意味するか分からない笑顔。


「では、早速そのギリギリ人間を呼んできますので」


先程の表情が嘘だったかのように真顔に戻りスタスタ立ち去っていくレティナ。


なんだ…今の顔───?

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