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15話ギャルに彩られる日常

ある日突然俺は異世界のモブ兵士に転生してしまった。だがどういう訳か就寝して起きる度元の世界に戻るという変わった転生ライフになっている。


「やっぱ寝る度に行ったり来たりするってことか…良いような悪いような。


今日は土曜日か…ってことはバイト行かないと」


朝食にトーストとゆで卵、生ハムサラダ、コーヒーを食し着替えてバイトへ向かう。


食べ物は当然こちらの世界の物が美味しいし自分の部屋で好きな朝食を食べられるのも嬉しいことだ。


異世界での生活との落差が激しいな…アッチが夢の出来事みたいだ…


バイト先はアパートから徒歩十分にある小さなカフェ。程よく静かで客層もマダムが多い。コーヒーの匂いがふんわり立ち込める空間はバイト先として最高。


「おはようございます」


「あ、おはよう宮田くん。今日から新メニューだって」


バイト先の一つ上の先輩。沙織先輩。薄ピンクがかった茶髪をひとつに纏め、茶色いエプロンを身につける姿はカフェにピッタリだ。


「秋のキノコフェアでしたっけ…看板かかないと」


カフェ。バイト。秋の新メニュー。


「いらっしゃいませ。何名様ですか?」


客。盛り付け。コーヒー作り。配膳。片付け。


平和だなぁ…


カランカランと鈴の音が鳴り来店者を告げる。


「いらっしゃいま…」


ロングの金髪に白い肌とバチバチのまつ毛。長い爪と短いパンツにロングブーツ。レザーのジャケットを身につけたギャル───


「たっ立原さん?!」


「やっほー宮田クン。きちった」


ニヒッと三日月型に緩む青い瞳。平穏だった俺の目の前が鮮やかに色付いていく。


「来ちゃったって…なんで俺のバイト先…」


「石井くんにきーたァ」


ギャルの人脈舐めてた。


「…まさか俺の仕事を邪魔しに……」


「宮田クンって結構失礼だよね」


「だって立原さんこういうカフェより写真映えするとことか騒がしいとこ好きそうだから…」


「そぉんなことないよ〜映えも好きだけどこーゆー町外れのカフェも雰囲気あって好きィ」


「あ、じゃあ普通にランチだった?ごめんね。今席案内…」


「ランチもだけど宮田クンに会いに来たよん〜」


「へ?……お、俺に?」


「もち!今日何時あがり?」


「14時だけど…」


「おk。じゃーランチしてレポートしながら待ってる〜」


「えっ…なんで……」


「なんでって…話し合おうかと思って。ギャル王国を良くするためになんかいい方法」


「しぃい!!ちょっ、声おっきいって!」


「なんか問題ある?」


「異世界転生とか普通の会話じゃないでしょ。バイト先はちょっとなぁ…」


もう既にクラッシックなカフェに似合わぬギラギラのギャルがいる時点で目立っているのだ。


俺がバイト終わるまで待ってるとか言ってるけど…流石に騒いだりはしないか?いや、ギャルのやることは分からん。


もしかして友達と電話始めたり爆音で音楽聴き始めて壮大な音漏れしたり…料理の写真をいろんな角度から撮りまくったり───


チラリと立原さんを見つめると小さな唇の端がむぃっと持ち上がった。


するかもしれん…!


「立原さん俺がバイト終わるまでさ」


「うん?」


「絶対大人しくしててね」


「アタシは子供か?」


◾︎◾︎◾︎


ランチタイムとなりそれなりに忙しい。


途中気になって立原さんの様子を伺いにいったが意外にも彼女はこの店に溶け込んでいた。


化粧も格好もド派手だが髪を耳にかけノートパソコンをつついている姿は知的で物静か。

杞憂だったらしい。


「ふぅ…疲れた」


立原さんといると心休まる時がない。俺はエプロンを外し手早く片付けを済ませる。


「宮田君。さっきの女の子って…友達?」


「沙織先輩お疲れ様です。はい。同じ日本文学科の学生です」


「そうなんだ。すっごいギャルだけど可愛い子だったからてっきり宮田君の彼女さんかな〜なんて」


「かのっ…そ、そんなんじゃないですよ。

立原さんは住む世界が違うって言うか…今はその…共通の課題?があるので一緒にやってるだけです」


「そっかー宮田君のゴシップゲットしたと思ったのに〜」


「なんすかゴシップて…じゃ、お疲れ様です」


「お疲れ様〜」


店内の端のカウンター席にて、立原さんは変わらず座っている。パソコンを前に考え込んでいる様子だ。


昨日出されたレポートやってんのかな?期日まだあるのに…意外と真面目だ


見つめていると立原さんの青い瞳が俺の姿を捉えた。


「あ…えっと」


「宮田クン覗き〜?」


「ちっちがっ集中してるから声掛けていいかわかんなかっただけで!」


「そっかそっか〜。バイト終わった?」


「う、うん…終わった。お待たせ…」


「きゅーに来たのアタシだしィ。それよりどこがあるかな?


2人っきりになれる場所」


「2人っきりって…ッ…言い方…」


「え〜でも宮田クンが他の人に聞かれたくないっていったんだよ?アタシと宮田クンの…秘密の」


「ちょぉー!」


立原さんの両肩を掴み言葉を静止する。


ギャルめ…俺が子供扱いしたことへの仕返しだな?


「とりあえずお店出るよ」


「おk〜ぃ」


ジト目で立原さんを見つめる。

彼女は嬉しげに口角を上げ会計を済ませに向かった。


二人でカフェを出た所で沙織先輩からの呼び声が。


「宮田君!これ、借りてたラノベ」


「もう読み終わったんですか?」


「うん、すっごく面白かったから一気読みしちゃって…」


「あぁそれ分かります。一巻もよかったけど二巻はさらに魔法バドルが盛り上がってきて夢中になっちゃいますよね」


「そうそう!もう語りたいこといっぱいあるんだから、付き合ってもらうわよ宮田君!」


「あははっ楽しみにしてます。じゃあ明日は3巻持っていきますね」


先輩に手を振りとりあえずと歩き出す。


「ね、今の人誰?」


「今のって…沙織先輩のこと?バイトの先輩だけど……」


「ふーん…」


なんかマズイこと言ったかな…怒ってる感じするんだけど…


「えっと…それで立原さんは異世界のこと相談したいんだっけ?」


「うん。税収減ったらお金持ちがうるさいからなんかいい方法ないかなーって」


「寝てたと思ってたけどちゃんと話聞いてたんだ…


う〜ん…家に参考になるラノベとか論文とかあるかもだからそれ見れば少しは…」


「いいね!今から行こ!」


「えっ?!」


「人に聞かれるの困るんでしょ?それに参考になる本もあるし!」


「へ、部屋はちょっと」


「宮田クンルームでいざ会議!!」


キラキラと輝く瞳。強請るように見上げられ俺は断ることができなかった。


次回。ギャルが家に来た───


グッバイ俺のオアシス…





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