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星雲の飛翔士 〜アーティファクトの力で世界を巡る〜  作者: いぬは
【第2章】 《飛翔船購入編》
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第8話 古代の船と未来への招待状

 ギアベルグに到着したオレたちを、レイナ艦長が出迎えてくれた。


「ご苦労だったな。君ならできると信じていたぞ」


「オレも夢中で……でも、できてよかったです」


「そこでだ。お礼というわけではないが、君をルビナスに招待しようと思って待っている」


「えっ、本当ですか!」


「実は、艦隊司令官が君に会いたいと言っていてね」


「艦隊司令官が、オレに……?」


 艦隊司令官といえば、レイナ艦長の所属する第三艦隊のトップだ。

 普通なら、オレみたいなのが会える相手じゃないはず。


「どうだい、招待を受けてくれるかい?」


「もちろんです!」


「よかったね、スカイ!」


「オレさまのおかげだってこと、忘れるなよ?」


「なにが“オレさま”よ。私の指示のおかげでしょ!」


「なんだとぉ!?」


 ――なんでこの二人、すぐ喧嘩になるんだろ……。


「まあ、二人のことは置いておいて、さっそくルビナスへ行こうか。司令官も、首を長くして待ってるだろうからな」


「はい、よろしくお願いします!」


 定期船から少し離れた場所に、〈ルビナス〉が停泊していた。

 タラップを上がると、制服を着た男女の軍人がオレたちを出迎える。


「艦長、司令官が首を長くしてお待ちですよ」


「わかった」


 二人のうち、女性の軍人さんがオレと目が合い、にっこりと話しかけてきた。


「キミがスカイ君ね。艦長が気にかけてるって聞いてたけど、すごく可愛い子でお姉さんびっくりしちゃった」


 あまり年上の女性と話すことがないオレは、ちょっとドキドキしてしまった。


「スカイっ! デレデレしすぎよ!」


(えっ……なんでオレが怒られるんだ……?)


 女性軍人さんは、くすくすと笑っている。


 ――ルビナスの艦内は、雑誌で見たことのある軍艦と比べて、ずっと洗練された印象を受けた。

 無駄な装飾が省かれていて、シンプルなのにどこか品があり、機能美を感じる。


(これはやっぱり、最新鋭艦だからなのか?)


 なんてことを心の中で考えていると、一つの扉の前に案内された。


「司令官、スカイ君をお連れしました」


「入ってもらいなさい」


 ドアが開き、中に入る。


「招待を受けてくれてありがとう、スカイ君」


 大きな木製のアンティーク机に向かって座っていた男性が、こちらに声をかけてきた。


「あれ? どこかで……」


 その男性は、机の上に置かれていた工具をくるっと回し、胸ポケットへしまった。


「整備士のおじさん!」


「ちょっと、スカイ!」


「あ、すみませんっ……!」


「ははは、構わんよ。“整備士のおじさん”で間違いないからな」

 その人――司令官だと思われるおじさんは、まったく気にした様子もなく、豪快に笑っていた。


「おっと、挨拶が遅れたな。わしが第三艦隊司令官、セルギオ・ガルバードだ」


「あ、えっと……スカイです」


「ま、マイルです」


「大精霊のノクティさまだ!」


 ノクティが、いつも通りの尊大な挨拶をする。……こらっ、ノクティ!


「ははは、元気のいいお仲間だな」


「すみません……」


「この前会ったとき、君が“乗ってみたい”と言っていたのを覚えていてな。それで、今回招待したんだ。――で、実際に乗ってみてどうだった?」


「あ……はい。イメージしていた軍艦とはぜんぜん違って、すごく洗練されていて……。正直、“戦うための船”って感じがしませんでした」


「なるほど。なかなか鋭い意見だな。――実はこの船は、“遺物”なんだよ」


「えっ!? この艦が……遺物なんですか?」


「ああ。ある古代遺跡から発掘された艦を、精霊の力を借りて修復したんだ。……おっと、一応機密事項だから、他言無用で頼むよ」


「……も、もちろんです!」


 司令官は、オレたちの様子を見てニヤニヤしている。

 ――これは、きっと反応を楽しんでるな……。


「わしはな、この艦はもともと軍艦として作られたのではなく、“探索”を目的とした船だったんじゃないかと思っているんだ」


「探索、ですか?」


「うむ。たとえば、世界の秘密を調べるため――とか、な。ははは」


 その言葉を聞いて、なぜかオレは本当にそうじゃないかって思った。

 特に根拠があるわけじゃないけど、なんとなく……そんな気がしたんだ。


「ああそうだ、君たちはファクトリーで飛翔船を買うのが目的だったな?」


「はい、そうです」


「なら、私から紹介状を書こう。ファクトリーのグランに見せれば、多少融通してもらえるだろう」


『……ただしグラン以外の者には渡さず直接渡すようにな』


「お気遣いありがとうございます!」


 お礼を言って退室したオレたちは、レイナ艦長に船内を案内してもらい、丁寧にお礼を言ってルヴィナスを退艦した。


 ◇◆◇


「ねえねえ、あれがファクトリーじゃない?」


 オレたちの進む先に、ドーム状の建物群が見えてきた。

 丸みを帯びた建物がずらりと並んでいる。


「さっきの案内板に書いてあったから間違いなさそうだね」


 それぞれの建物の入り口は、ガラス張りのギャラリーになっていて、各ファクトリーの製品がずらりと展示されている。

 商品に見入る客たちや、説明をしている店員の姿があちこちに見えた。


「行商人のおじさんにもらった紹介状って、第4ファクトリーだったよね?」


「ああ、第4ファクトリーは飛翔船で有名なファクトリーなんだ」


「あっ、あれ見て!」


 マイルが前方の建物を指差す。そのギャラリーには飛翔船の模型や実機が飾られていて、入り口の上には大きく〈4〉の文字が掲げられていた。


「間違いない。行こう!」


 オレたちは顔を見合わせてうなずき、〈4〉と書かれたギャラリーのある建物へと歩き出した。

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