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星雲の飛翔士 〜アーティファクトの力で世界を巡る〜  作者: いぬは
【第2章】 《飛翔船購入編》
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第6話 アーティファクトの秘密

 そこには、昨日見かけたあの女性艦長が立っていた。


「スカイ、この方がお前に話を聞きたいそうじゃ」


「突然すまない。私はリヴェリア第三艦隊〈ルヴィナス〉艦長のレイナだ」


「あ、スカイです」


「おや、食事中だったか。申し訳ない」


「いえ、もう食べ終わるところでした。どうぞ、お入りください」


「すまない。では、お邪魔するよ」


「それでは、わしはこれで失礼しますじゃ」


 そう言って村長は自分の家へと帰っていった。


 オレはレイナ艦長に椅子を勧める。


「おや、そちらはご兄妹かな?」


「あ、わたしはスカイの幼馴染で、マイルです」


「そうか、それは仲が良くて何よりだ」


 マイルは憧れのレイナ艦長に話しかけられて嬉しそうにしている。


「それで、オレに聞きたいことって何ですか?」


「ああ、そうだな。単刀直入に聞こう。これを売ったのは君か?」


 そう言ってレイナ艦長は袋から、オレが行商人に売った古代遺跡の遺物を取り出した。


「あっ、そうです。もしかして……まずかったですか?」


「いや、問題はない。古代遺跡は誰の所有物でもないからな。そこで見つかったものを売っても、法的に咎められることはない」


「そうですか。よかった……」


 オレはほっと胸を撫でおろした。もし売ってはいけないものだったら、オレたちの飛翔船購入計画が振り出しに戻ってしまうところだった。


「それでな、私が本当に聞きたいのは――その遺物の中に“何か入っていなかったか?”ということだ」


「!?」レイナ艦長はオレをじっと見つめた。


 そう言えば、ノクティがレイナ艦長は「スターリングを持ってる」と言っていたのを思い出す。


「……例えば、君が右手に着けている、その指輪とかな」


「やっぱり……レイナ艦長はこの指輪のこと、知ってるんですね?」


「ああ、私も持っている」


 そう言って、レイナ艦長は右手の人差し指に着けた指輪を見せてくれた。


「出てきていいわよ」


「お初にお目にかかります。精霊の“ミスティ”ですわ」


 ピンクの毛並みにエメラルドグリーンの瞳――ノクティによく似た、でも少しお姉さんっぽい雰囲気の精霊が現れた。


「私をいろいろ手伝ってくれているミスティだ。よければ、君の精霊も紹介してもらえないかな?」


「あ、はい。ノクティ、出てきて」


「……ふぁぁ~……俺様は大精霊のノクティだ!」


 どうやら朝ごはんで満足して、指輪の中でうとうとしていたらしい。あくびまじりに威張ってみせる。


「あらあら、大精霊だなんて……おチビのくせに」


「ち、チビだとぉ!?」


「こら、ミスティ! 失礼なことを言ってはダメでしょ」


「……失礼しましたわ、ふん!」


 レイナ艦長が軽くミスティをたしなめる。


 今にも飛びかかりそうなノクティ。オレはヒヤヒヤだけど、マイルにガッチリ抱きかかえられた状態で身動きが取れず、空回りして暴れている。


「ミスティが失礼した。普段はこんな子ではないんだがな」


「いえ、こちらこそすみません」


「それで本題なんだが――君は精霊と指輪についてどのくらい知っている?」


 レイナ艦長が真剣な顔で尋ねてくる。


「一応ノクティからはこの指輪〈スターリングの管理人〉ってことは聞いてますけど」


「そうだな、では指輪の機能は聞いているか?」


「いえ、それは聞いてないですけど確かライ……なんとかだって……」


「“ライブラリ”だな。それでそのライブラリの機能なんだが、クラスの力を〈強化〉したり〈付け替え〉たりできる。いわゆる〈アーティファクト〉ってやつだな」


「えっ!?」オレは一瞬、予想もしなかった情報に呆然としてしまった。

 隣でノクティを抱えて座っているマイルも驚いているようだ。


「これは軍でも一部のものしか知らない極秘情報だが、すでに精霊を仲間にしている君には伝えておいたほうが良いだろう」


「もちろん他言無用で頼む」


「はい、もちろんです」


「詳しい使い方については、君の精霊に聞けばいい」


「あと、この事は軍の上層部にも報告させてもらう。そのため、申し訳ないがいずれ軍の司令本部に出頭をお願いするかもしれない」


「なに、心配するな。何かあれば私を頼ってくれて構わない」


「はい。ありがとうございます」


「最後に確認だが――行商人からはいくつもの遺物を買い取ったと聞いた。他に指輪は無かったのか?」


「はい。見つけたのは……これ一つだけです」


 オレは遺物を見つけたときの状況と、どうやって発見したのかをレイナ艦長に説明した。


「なるほどな。そんな場所に遺跡が残っていたとは、予想外だったな」


「あの、遺物のことなんですけど……これからも売って大丈夫ですか?」


「ああ、その件は問題ない。一応、遺跡の調査はさせてもらうが――問題がなければ、すぐに終わるだろう」


「はぁ……良かったぁ……」


「確か、君たちは飛翔船を買うために遺物を集めていたんだったな?」


「はい、そうです。飛翔船に乗って、世界一の飛翔士になるのがオレの夢なんです」


「そうか。いい夢だ」


「俺様が一緒にいるんだから、心配すんなっての!」


「ははは、頼もしい相棒だな」


 レイナ艦長が笑う。ノクティが胸を張って得意げに浮かぶ姿に、オレもちょっと照れくさい。


「さて――そろそろ任務もあるので、お暇しよう。邪魔をしたな」


 オレたちは立ち上がり、玄関まで艦長を見送った。


「そういえば、レイナ艦長は指輪のことを聞く為だけに来られたんですか?」


「ああ、もちろんこちらも重要だが。名目上はこの近くで“大型の深雲獣”の目撃情報があってな。ルビナスの慣らし運転も兼ねて調査に来たのだ」


「そうだったんですね……」


「では、失礼する。君にはまた会おうこともあるだろう」


 そう言って、レイナ艦長は去っていった。

 その後、オレたちはノクティにレイナ艦長の言っていた指輪の機能について聞いた。


 ◇◆◇


「じゃあ、教えてやる! 俺様がどれだけ凄いかをな!」


「いやノクティじゃなくて指輪のことな」


「俺様がいなけりゃ使えないんだから、いいいんだよ」


 ――ノクティの説明をまとめるとこんな感じだ。


【クラスチェンジについて】

 ・クラスチェンジは言葉のとおりクラスを変更できる機能。

 ・クラスチェンジには強化と同じくクラスのデータが必要になる。


【クラス強化について】

 ・ライブラリの中に保存されているデータを使うことでクラス強化ができる。

 ・クラス強化には、そのクラスに応じたデータが必要になる。


【飛翔船の強化について】

 ・ノクティが同調することで飛翔船を強化できる。


「まぁ、お前たちの星降りの儀式とやらと基本は同じようなものだ」とのこと。


「じゃあクラスのデータはどこで手に入るんだ?」


「既に保存されているデータもあるが、新しく手に入れるなら遺跡の端末や、データダウンロード済みのスタークリスタルからだな。後は稀に深獣や深雲獣が飲み込んだスタークリスタルからも手に入ることがあるな。とまぁ大まかな説明はこんなところだ」


 アーティファクトか――もの凄いもの手に入れちゃったな。ノクティの説明を聞いて改めてそう思った。


 ◇◆◇


 翌日、村はいつも通りに戻っていた。

 一ヶ月ぶりに行商人が訪れているらしいので、村の広場に向かう。


「まいど、いらっしゃい!」


 いつも通り行商人のおじさんに拾ってきた遺物を買い取ってもらった。


「そう言えば、おじさんはレイナ艦長とお知り合いなんですか?」


「ああ、艦長はお得意さんなんだ。結構長い付き合いになる」


「艦長にお願いされたら、遺物の事を教えない訳にはいかなくてな。すまんな」


「いえ、それに関しては逆に色々聞けて助かりました」


「そうか、そう言ってもらえると助かる」


 行商人のおじさんは、申し訳なさそうに謝ってきた。


「そうだ、お客さんは飛翔船を買うために資金集めをしているんだったな? なら、お詫びと言っちゃなんだが知り合いのファクトリーを紹介してやろう」


 そう言って、ファクトリーへの紹介状を渡してくれた。


「行商人のハンスからだと言えば、多少融通してくれるだろう」


 オレはお礼を言って広場を後にした。

最後までお読みくださいありがとうございます。

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