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第十三話「学園襲撃」

怪しい黒い影

朝の学園は、いつもと同じ穏やかな空気に包まれていた。

中庭では鳥がさえずり、学生たちは登校や授業準備に忙しそうにしている。

「グレイ〜! 朝ごはん行こ〜!」

隣の部屋から、アーシェが元気いっぱいに顔を出した。白髪が朝日を反射して、きらきらと輝いている。

「はいはい、そんなに急がなくても逃げやしないって」

苦笑しつつも、グレイは彼女に合わせて足を速めた。

二人は軽口を叩きながら食堂へ向かう。その様子は、ついこの間までのぎこちなさが嘘のようだ。

だが、その穏やかな時間は長くは続かなかった。

——視点は変わり、薄暗い一室。

大きな机に地図が広げられ、その上には小さな駒のような魔物の模型が並んでいる。

「……頃合いだ」

低く響く声が呟いた。

男は駒の一つを指で弾き、地図上の“学園”の位置に置いた。

その瞬間、駒の形がぐにゃりと歪み、獣のような唸り声をあげた。

黒い霧が駒から立ち昇り、男の口元がゆっくりと笑みに変わる。

「楽しい学園生活に、刺激をくれてやろうじゃないか」


昼前、突然の異変が起こった。

遠くの森から黒い靄が迫り、瞬く間に学園の結界に触れる。

警鐘が鳴り響き、生徒たちはざわつき始めた。

「……来るぞ!」

警備隊の声が上がった直後、結界の外に姿を現したのは、牙を剥き出しにした巨大な魔獣の群れだった。

岩のような皮膚を持つゴーレム型、地面を駆け抜ける獣型、空から急降下してくる鳥型。

明らかに自然発生とは思えない数と種類。

「アーシェ、後ろに下がってろ!」

「えっ、でも——」

「いいから!」

グレイは即座に前へ出て、手に魔力を集中させる。

しかし敵の数が多すぎる。あちこちで教師たちが防衛線を張るが、数体が結界を突破し、校庭に雪崩れ込んできた。

「こっち来やがったか!」

グレイは地面を蹴って前に飛び出し、硝子・風・火の三属性を同時展開。

硝子魔法で周りの敵をサーチ、風で周りの魔物の距離を離す、火球が獣型を吹き飛ばす!

だが、使える同時発動は三属性が限界。全方向から来る敵に、どうしても穴ができてしまう。

「グレイっ! 右っ!」

アーシェの声で振り向いた瞬間、鋭い爪が目の前に迫る。

咄嗟に土の盾を出すが、衝撃で腕が痺れた。

「……チッ、しつこいな!」

再び炎の柱を放ち、敵を焼き払う。その背後で、アーシェも草の蔓を操って足止めをしていた。

「ふふっ、やるじゃん」

「グレイこそ!」

二人の息はぴたりと合い、次々と魔物を倒していく。

だが、全ての魔物が倒れた頃——

遠くの屋根の上、黒い外套の影が静かに二人を見下ろしていた。

風に揺れるフードの奥で、冷たい笑みが浮かんでいる。

「……面白くなってきたな」

静かな笑みと共に、その姿は闇に溶けるように消えた。

原初の魔導士設定・6

実は、スライムが苦手

理由は、背が小さく素早いから魔法を当てにくいからだ

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