表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

#4

読んでいただきありがとうございます。

後日談として、10分後に#5?を投稿します。

よければ読んでください!

評価や感想お待ちしてます。

 教室が騒がしいのはいつものことだ。いまは騒がしいくらいがいいかもしれない。

  教室に入る前に僕はやることがあった。

 校庭の用具室に向かい、案の定そこで寝ていた岡部先輩に僕はとある確認とお願いをした。先輩は最初怪訝そうに顔をしかめていたが、事情をはなすとむしろ、ノリノリで承諾してくれた。

  教室にはいるとすぐに【消える橋】について大事な話しがあると二人につげ、放課後残って欲しいと伝えた。 僕がそういうと2人はなんの疑問も持たずに「わかった」と言ってくれた。

  授業中も、僕はどう伝えればいいのか頭を整理した。なぜなら伝え方を間違えれば取り返しのつかないことになるかもしれないからだ。

 そして、僕の考えている通りだとしたら、この状況を止めれるのは僕らしかいない。

  授業が終わり、切なげなオレンジの夕日が差し込む教室で僕ら3人は顔を合わせる。

「消える橋の場所わかったのか?」と期待に胸を膨らませ磯田が口火をきる。

「ああ、わかったよ」

「え? それなら今から行こうよ!」と瀬名は言うが僕は答えない。その代わり磯田が反応する。

「そ、そうだな!暗くなるまえに行こうぜ! なんかドキドキしてきたな! こういうのってワクワクする」

 磯田のテンションは最高潮に達していた。

 僕は二人の顔を交互にみて、重たい口を開く。

「いかないよ。正確にはいけないんだ」

「…… どういうこと?」

 一気に空気が変わる。瀬名が不安げな目で僕を見つめる。

「なぁ、瀬名…… 消える橋は本当にあると思うか?」

 え、と戸惑い大きい栗色の瞳が揺らぐ。表情徐々に曇り、顔をかたまらせる。

「えっと、だからそれを調べに…」

「弓野なつきって…… お前だよな? 瀬名。 下の名前は今朝先輩から確認とった」

「は?……」磯田の声が漏れる。

 瀬名の表情は更に曇りはじめている。いまにも雨が降りそうだ。

 僕は話しを整理して順番に話すことにする。

「昨日妹からツブッターに【消えたはし】ってアカウントがあるのをきかされて色々みてたんだ」

「消えた橋? 消える橋じゃなくて?」と磯田は疑問をなげかける。

「そう、俺もそこが引っかかった。【消える橋】ではなく【消えたはし】これが疑問をもったきっかけだ。それでどういう意味か過去の呟きを溯ってようやくわかった」

「……」2人とも言葉はない。

「これは橋ではなく、瀬名と相田のことだ」

「ん?どういうことだよ?」

 ますますわからないといった表情の磯田の顔みて説明をつづける。

「瀬名はどういうわけか、去年は弓野として学校に在籍していた。そこで考えてみてほしい、弓野と相田、この名前を聞いてなにか引っかからないか?」

 いや、特に、と磯田は指を顎にあて頭を悩ませる。

「学校ではクラスごとに50音順で番号が振り分けられるだろ?」と助言する。

「あ! そうか!出席番号か!」

「そう、出席番号が1番と38番で端っこどうしになる。つまり、【消えたはし】は片方の端がいなくなったっていみになるんだよ」

「な、なるほど…」

「恐らく2人は学校の事をよく書き込んでいるため、身バレ防止も兼ねて呟く時はお互いの事を端と表現してたんだ」

 ぼくはあらかじめ用意した紙を2人に渡す。「まとめたツブッターのつぶやきをプリントして持ってきた。

 ここに書いてある3月2日の呟き、【今日もはしやすめ】と3月15日【ここままだとはしがきえそう】に違和感を覚えた。橋の事じゃなく、まるで自分の事を言ってるように感じたからだ」

「たしかに……、じゃあ、この端がきえそうってのは」

「ああ、恐らく弓野のことだ。弓野は末藤にしつこく言い寄られていて精神を病んでいたらしい、それも先輩に確認とった。そしてそれを心配した相田が、弓野がこのままだといなくなってしまうと心配して端が消えそうと呟いたんだろう」

「でも、おかしいだろ?じゃあ岡部さんが瀬名の顔をみて気づくはず…… あ……」

「そう、気づいたんだよ。だけど、岡部さんはなにも言わなかった。いや、言えなかったんだ。

 だって止められなかった罪悪感であの人は相田先輩と顔をあわせずらくなり、用具室で寝るようになったんだから…

 本人を前に弓野の話しを話すべきかどうか悩んで、俺たちを信用して話してくれたんだ」

「そうよ、アイツに人生をめちゃくちゃにされたんだからアイツの人生を終わらせようと思ったの。それがわるいの? お互い様じゃない」

 瀬名の表情は曇りから、暗い顔を洗い流すかのような大雨にかわる。

「こっちは死んだ方がマシなくらいあいつのせいで地獄のような日々をおくったのに

 なんで私達が我慢しなきゃいけないの? ふざけんなよ! ふざけんな! ふざけんな!」

 瀬名は叫ぶように涙と一緒に吐き出した。

「わからないけどさ、例えどんなクズでもどんな理由があっても人の命を奪っていい理由にはならないんだと思う。だって奪った人を大切に思う人間もいるんだから。それが許されるなら世の中は本当の地獄なる…… 」

「…… そんなの綺麗事だよ、泣き寝入りしろって言ってるようなもんじゃない」

「お、俺は!瀬名がなにかされたらそいつを許さない!絶対にだ!…… でももしその相手を大切に思う人が俺と同じ気持ちになってたらって考えると少し悲しくはなるけど」

 磯田の目からも涙がこぼれる。

 それを見た瀬名は最初は驚いていたが、徐々に優しい顔になっていった。ふふっと瀬名が笑う。「そうだね、その通りだと思う。私が間違ってた」

 でもどうして?と瀬名は続ける。

「どうして私だとわかったの?」

「あー、お前昨日呟いたろ? 【私の人生は朝の占いみたいなもん】って」

「あ….」

「それでわかったんだよ。お前が弓野だって。まさかツブッターに書くとはな」

 僕が笑いながら言う

「だってツブッターが見られるなんて思わなかったから」と涙を目にためた笑顔をみせた。

 磯田を見るとまだ涙をためて暗い表情をしている。

「どうした?」

「どうしたって…… お前よく呑気でいられるな、だって、瀬名はその、末藤さんを…」

「いや、殺してないよ。今日殺す予定だったんだろ?」

「え? 」

「瀬名は末藤がどれだけ憎くても、名前を変えてでもこの学校に残った。普通なら転校して街から出ていくレベルだ。それをしなかったのは相田さんを守るためだったんだろ? 」

「……」

「そんなやつが相田に人殺しなんてさせねぇよ。多分自分でかたをつけるつもりでどっかに監禁してるはずだ。ちなみに、今日やると思ったのはお前が星座占いで今日1位だったからだよ」

「ちぇ、占いあたっちゃった」と瀬名がはにかむ。

「俺の言葉が瀬名を守ったんだな……」とよくわからない事を言っていたが磯田は瀬名が殺してないとしり心底ほっとした表情をみせた。

「凄いね、西澤くん。全部バレちゃった」

「なぁ、瀬名、頼む。もう相田さんに瀬名から末藤先輩を解放するようにいってくれ」

「うん、そうしたいんだけど、解放したら相田が……」

「それは大丈夫。俺に考えがあるから」と僕は意味深に笑う。

 なぁ、と磯田はまだ腑に落ちない顔をしている。

「でもどうして、相田さんが末藤を殺してないっていいきれるんだよ。その末藤がした事って殺されてもしかたないだろ? いくら瀬名がとめてもやるときはやるんじゃないか?」

「それは」と少し考える。たしかにそうだ、と納得してしまう。

「たぶそれは…… えっと」となにかそれらしいことを言わないと。

 私が話す。と瀬名が手のひらをみせる。

「相田はね、私と同じようにあいつも私を一人にできないって思ったんだと思う」

「どういうこと?」と僕と磯田は二人で顔を見合わせる。

「たしかに私は、学校帰りの公園で末藤から襲われた。あの時は怖くて抵抗できなかった……

 でも私が襲われてすぐに相田がかけつけてくれて、末藤から私をまもってくれたの」

「え、そうなの? どうやって?」磯田も僕も驚く。

 僕は思った。もしかしたら、末藤がなにかするとわかって相田はずっと瀬名を見守っていたのかもしれない。いや、もしかしたらその前から相田はずっと瀬名を見守っていたんだ。

「相田は大声で叫びながら末藤につかみかかってすぐ揉み合いになって…… けど末藤は相田をすぐに投げ飛ばしちゃって……

 このままだと相田がやられちゃうと思った時に

 、近くにいた生徒が駆けつけてくれて末藤はすぐにどこかへにげていったの」

「そうか、それで相田さんはいじめの標的に」

「うん…… それから私は、末藤が都市伝説とかが好きなのを知ってすぐにツブッターで“消えた橋”の噂を流したんだ。

 そしたら、案の定すぐ食いついてきてくれたから、誘導するのは簡単だった。

 今は、たぶん倉庫みたいな場所に閉じ込めてあって、気絶してるはず。

 心配しないで、相田と一緒に自首するつもりだから。色々ありがとう。」

「ちょっと携帯かして!」

 僕はチャットアプリで相田さんに末藤を解放するよう文章をおくった。

 そしてすこしばかり補足情報を付け足した。

「これで大丈夫。多分末藤はもう学校こないと思う」

「え……」

「だから瀬名もこれまでと同じように学校生活おくれよ。いなくなると磯田も寂しがるから」

「ば、ばか。俺は寂しくなんて……」

「私、この学校でよかった」

 全て見ていた夕日が瀬名の涙で濡れた笑顔を輝かせた。


 瀬名によるとツブッターのアカウント名は最初、端っこ同士という名前でやっていたらしい。それが、瀬名が学校をやめて、【消えたはし】になったが二人はずっと端っこ同士としてつながっていたのかもしれない。


 おしまい

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ