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エメラルドの雨

作者: 藤いろ

今日も雨が降り続ける。毎日毎日雨が降る。

けれど私たちが待っている雨は、この雨じゃない。

光り輝く街を反射させる【エメラルドの雨】だ。


【エメラルドの雨】という噂が広まったのはここ数ヶ月。どうして広まったのか、誰が広めたのか、今はもう分からない。

ただ、その【エメラルドの雨】が降れば、この今降っている雨が止むというのだ。

【エメラルドの雨】は、この街の雨を止めてくれる神の恵みだという人もいる。


私の街は通称「雨の街」。一年中雨が降っている。他の国や他の街から見れば天国のように見えるだろう。

しかし、現実は残酷だ。

今降っているこの雨は酸性雨。土を侵し、建物を溶かし、生き物を壊す。そんな雨だ。

この雨は、私が生まれる前から降り続けている。


どう暮らしているのかって?

溶けない材質の壊れかけの家に住み、鉄の傘をさしている。

しかし、地面は汚れてユルユル。いつ崩壊してもおかしくない。

よくこんな街で暮らしていると思うだろう。

街を出れば良いと思うだろう。

しかし、それはできない。

この街の住人は雨に冒されていると言われている。要は感染者のような扱いだ。

実際、健康状態は良くない。毎日毎日酸性雨を受け、気をつけていてもその水を飲んで生きているのだから。

国から感染者、危険視されて、街を出ることは許されない。

実際、私たちにそんな他の人の健康を害するものがあるかは分からない。

分からないからこそ、これ以上何もできないのだ。


そんな生活が何年も何十年も続いている。

住民の健康もストレスも限界にきていた。

そんな時に広まった噂が【エメラルドの雨】だ。

祈れば降るとか、誰かが人工的に降らせるとか、陰謀論とか神とか、いろいろな噂が飛び交った。

さて、どれが正解なのか、この中に正解はあるのか。


ここで少し違う話をしよう。

この街は隔離されていて、他の街や他の国の情報が一切入ってこない。

私の趣味は無線傍受。お偉いさんやらいろいろな通信を傍受して、街の外の情報を得ている。

これは誰かのためでも、街のためでもない。単なる趣味だ。


その中で聞いた、あの言葉。【エメラルドの雨】

街の外でもその言葉があるのか。

私は知ってしまった。【エメラルドの雨】を。

それはただの真実だった。

いや、事実と言ったほうがいいのか。

【エメラルドの雨】は実際に存在する。

確かに街の雨を止めてくれるものでもあった。

噂は間違っていなかった。

祈っても人工的でも陰謀でもなかったけど、その雨は存在していた。

ただ待てばいい。それだけで良かった。


私は今日も鉄の傘をさして、空を見上げる。

空は晴れている。いつもの雨は一粒もない。

傘をさしているのはもう癖、生活の一部、体の一部だから。

空にはいつもの雨はない。

あるのは無数の隕石。

その隕石は光り輝いていて、とても綺麗。色は緑色。

【エメラルドの雨】だ。

【エメラルドの雨】が降り注ぐまで、あと5分。



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