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狐、生きる  作者: nite
狐、思う

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細長い者

 乾燥地帯は長い草が特徴で、木も点々と大きなものが存在しているだけ。周囲には森のようなものは見えず、山すらも遠く霞むほどにしか見えない。


 乾燥地帯は、砂漠とは違うベクトルで過酷な環境であるということは間違いないだろう。


「水が生み出せる魔法がなければ渡ろうとも思えないな」

「断熱結界、ここでも大活躍ですね」


 砂漠と隣接しているということもあってか、砂漠と同じくらい日差しは強い。草木が生えているということは、少なくともある程度は雨が降るだろうことは分かるものの、現在の空は雲一つない快晴である。

 バオバブのように幹が太く、広い葉っぱで広範囲を影に覆い隠してくれる木に守られながら、ハクたちは街へと進んでいた。


 道を逸れた当初の目論見通り、少し道から離れるだけで魔物とよく遭遇するようになった。モンスターの数も多いが、どのみちハクたちの食料となるだけなのであまり気にしない。

 だいぶ魔石が溜まったバッグを見て、エスノアは嬉しそうだ。


「砂漠で随分とお金を使っちゃいましたからね」

「生き残るために必要な分だ。仕方ない」

「血もなくなっちゃったー」


 ファネが不満を零すように、ここに至るまでの道中で、ファネは血液をすべて飲み干してしまっていた。あまり放置しすぎると悪くなるからと、ハクが早めに飲むように促したのも理由の一つだ。

 こうして、ハクたちは荷物を増減させながら道なき道を進む。魔石集めを目的としていたこともあってか、一行の順路は少しばかりぐねぐねだ。


 そうして出てくるのは蛇の体に蜂のような顔面をした魔物。乾燥地帯ではよく生まれるのか、少しだけ膨らんだ地面を巣にし、近づいた生物に対して襲い掛かるようだ。

 ハクは地面にたくさん生えている草を束ね、まとめて変化させて、太い棒を生み出す。魔物は馬鹿正直にまっすぐ突っ込んで噛みついてくるので、棒を噛ませるだけで初撃を防ぐことができる。

 そうすればあとはエスノアの魔法やファネの凝魔術でいくらでも調理可能だ。数秒もすれば、手のひらに乗る程度の大きさの魔石がころんと転がる。


「同じ魔物ばかりですね。対処は楽ですけど」

「魔物って繁殖するのか?」

「あまりそこらへんは情報がなく……ただ、群れを作るくらいですし、繁殖もするんじゃないでしょうか」


 となれば、こいつらは卵生か。巣の中は蜂の巣のようになっていたりして……と、ハクが益もないことを考えていると、ファネが落ちていた魔石を拾う。そして、それをノータイムで前方十メートル先くらいの地面にたたきつけた。


「ファネ!?」

「どうしたっ!」


 ファネが答える前に、地面が応えた。


 突如として盛り上がる地面は、大きな音を立てて吹き飛ぶ。それと同時に、現れるのは巨大なミミズ。

 周囲の木の幹ほどの太さがある魔物は、ファネが叩きつけた魔石を飲み込みながら、街の外壁にも至るほどの高さにまで伸びあがる。尻尾はまだ見えず、地面の中にはまだまだ体が埋まっているらしい。


「【燃え尽きろ、黒灰となりて】!」


 エスノアの炎魔法が、ミミズの見えている範囲の体を燃やす。

 しかし、ミミズは火に耐性があるのか、それとも熱さ自体に耐性があるのか、まるで効いた様子もなく、地面の中に戻ろうとする。


「折角の魔石を盗られたままは癪だからね」


 ハクは地面と草に対して変化を使い、地面が一瞬にしてコンクリートとなる。

 だが、そんなものは物ともせず、ミミズはコンクリートを破壊しながら、そのさらに下にある土の中へと潜っていった。


「逃がさない」


 だが、それをファネが見逃すはずもなく。最初から、何かが潜んでいると勘づいていたファネは、素早く近づき、躊躇うこともなく凝魔術の槍をミミズへと突き刺した。


 吹き出る血しぶきがファネを濡らし、逆にファネの集中力が上がる。そのまま勢いよく槍を押し込めば、ミミズの体を貫通して胴体は途中でちぎれてしまう。

 半分になったミミズの体は大量の血しぶきをあげながら、地面に潜る途中で沈黙した。しばらくは蠢くようにしていた切れ端も、しばらくすれば完全に動きが止まる。


「待て、血が出るということは、これは魔物じゃなくモンスターなのか?」

「そ、そのようです」


 ミミズの魔物……もとい、ミミズのモンスターは、大きな血だまりを作って亡骸と化した。魔物でないから、死んだあとも残骸が残る。


「服とか荷物に血が付着しちゃいました」

「随分とねっとりした血だ。赤くて逆に助かったかもしれない」


 その巨体から吹き出た血しぶきは、離れた位置にいた二人にもかかってしまった。それなら、超至近距離にいたファネにかかっていないはずもなく。


「ファネ、大丈夫か」

「お父様。大丈夫」


 全身が血だらけになり、その目は大きく見開かれている。

 ファネは、大量の血を浴びたせいで、吸血鬼としての本能が強く刺激され、半ば覚醒状態へと入ってしまっていた。勿論、だからといって暴走するとかの心配はない。


 とはいえ……


「流石に洗い流したいですね。ファネも、早いところ血を流そ」

「うん」


 そう言いながらも、ファネは体に付着した血液を舐めている。エスノアが急いでファネの頭から水を被せる。


「そんな汚いの舐めちゃだめ!」

「うぅ」


 ミミズの死骸はどうにもできなかったが、先ほど食べられた魔石と、ミミズの心臓っぽいやつは採取できたので、傷をつけないように注意しながら回収する。


「これも売れるかもしれないな」


 尚、今のところハクとエスノアはお金のことばかりを考えている。

木のイメージは、バオバブの葉を十倍にしたくらいのものです

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