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狐、生きる  作者: nite
狐、思う

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会議の時期

あけましておめでとうございます。更新再開します


前回までのあらすじ:多種族国家バンガロンド共和国、その中央都市の最寄りの港町に辿り着いたハク一行。中央都市を目指して旅を再開します

 王国などの唯一政府が存在する国では、公共事業として道の整備が行われる。交易や交渉などにおいて、適切に整備された道は、それだけで国力へとつながるからだ。

 だが、この共和国は唯一政府ではない。それぞれの種族が、それぞれの領域で主権を主張し、その結果各種族がその地域の整備を行うことになる。基本的にどの種族も整備をきちんと行っているために、様々な街の間で交易がおこなわれているが、ではどの種族にも属していない領域の整備はどうなっているのか。


「お父様、ここ歩きづらい……」

「まさか中央都市付近が未整備とは……」


 結論、誰も整備などしない。


 中央都市は、様々な種族が集まる特別な区域だ。それに伴い、中央都市とその周囲は、どの種族の領域でもない、地球で言うところの公海のような場所だ。

 そのため、誰も進んで整備をしようとせず、もう何十年、何百年もこの地域は未整備な道ばかりなのである。整備が行われているのは、中央都市のごく近辺の数キロ範囲のみ。


 一応言っておくと、国として運営するための、国庫のようなものは存在している。税金の概念も存在しており、国としての事業もないわけではない。

 だというのに、未だに中央都市に繋がる道は整備されないのである。旅人や商人からすれば、いい迷惑なのだが、国は動く気配を見せない。


「私は悪路に慣れているが……いや、もしかしてだから整備しないのか?」

「どういうことです?」

「この国には獣人を含め、いわゆる野生環境に慣れている種族が多いのだろう?つまりまあ、これくらいの道は悪路にもならないのかと思ってね」


 ハクの指摘は、半分は正しい。様々な種族の総意として、未整備の道も歩きづらくはないのだ。

 とはいえ、整備された道の方がいいという種族も確かに存在していて、定期的に道の整備の嘆願書が提出されているのだが、今のところそれが受領されたことはない。


「むぅ、空飛びたい」

「んー、近くに他に飛んでいる種族がいれば目立たないんだけど……」


 吸血鬼以外にも、この世界には空を飛ぶ翼を持つ種族は存在している。だが、現在道中で空を飛んでいる種族には遭遇していない。

 誰も飛んでいないから飛ばないという集団心理が働いている可能性はあるが、ファネだけが飛んだ場合の注目度は計り知れない。不用意に空を飛ぶのは愚策であった。


 エスノアは優しくファネの頭を撫でて宥めてあげる。 


「今は我慢して。もし疲れたら背負って移動できるから、ハクさんが」

「私か?べつに構いはしないが」

「大丈夫。ファネも旅で鍛えられたもん」


 吸血鬼には強い腕力があるが、それはそもそも吸血鬼の身体能力が高いことに起因している。脚力だって、ただの人間の何倍も強いのだ。

 それでもファネがハクの背中に乗るのは、単純にハクに乗ることが好きだからである。


 だが最近精神的に成長してきたこともあって、こうして我慢しようとすることも増えた。ただ、数十分後にはハクの背中に揺られているだろうが。


「思ったよりも旅人はいないんだな」

「そうですね……このままなら、寄り道せずに向かってもよさそうです」


 現状すれ違う数は多いものの、中央都市に向かおうとする旅人はそう多くはない。現在進行形で言うと、ハクの見える範囲に同じ旅人は存在していない。


 元々、魔石を集めるために寄り道をする予定であった一行だが、既にそれなりに魔石が集まっている状況だ。わざわざ道を外れる理由は存在しなかった。


「だが、中央都市というと王都のようなものだろう?なぜこうも人通りが少ないんだ?」


 ハクの中では、王都も中央都市も、どちらも首都のようなものというイメージだ。そのため、どちらも国の中で最も人口と流通があり、最も賑わっている場所であるという認識なのである。


 尚、地球においても、必ずしも首都が最も賑わっているというわけではない。


「もしかしたら、今が時期じゃないからかもですね」

「時期?」

「いわゆる種族が集まる時期です。中央都市は、各種族が集まって話し合いをするための場所ですから」


 どの種族にも属さない、完全中立な場所。それが中央都市。

 つまり、どの種族も固まって定住しているわけではない地域ということでもある。中立であるために、各種族はまとまって中央都市に住まないという取り決めすらあるくらいだ。


 一か月に一度の会議を行う際は、それはもう多くの人が中央都市に集まる。だが、そうではない時期では人口も少ないため、商人もあまり集まらない。


「次の会議の時期はいつだろう」

「分かりません。情報収集では見つからなかったです」


 エスノアは各街で、ギルドは図書館などからその街やその国の情報を集める役割を担っている。この国が一か月に一度会議を行っていることは知っていたため、会議の時期をなんとか特定しようと努力はしたのだが……残念ながら、決定的な情報は見つからなかった。


 他国の間者などに会議の情報を掴まれてはいけないのだ。会議の時期は、信頼される者同士の間で伝言のように伝わる。

 そうして人知れず中央都市に集まり、波のように去っていく。この国で、会議の時期を特定するのには難易度が高い。


「でも、時期になれば人が集まるはずですから」


 調べずとも、おのずと分かるはずだと言うエスノア。


 中央都市に滞在する期間は決めていないが、最長で一か月滞在すれば会議の時期になる。折角なら中央都市の賑わいを見てみたいハクとしては、長く滞在するのも吝かではなかった。


「じゃあ少しばかり多めに路銀をあつめるとするかね」


 中央都市までの間、いつもよりも多くの魔物が魔石へと変化することとなる。

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