Ep2-26 校外学習ex-8
展開が微妙だったのでプロットの見直し(と某学園アイドル育成)をやっていたら更新が滞ってしまいました。すまぬ。
ここまでの話の誤字脱字とかどうしても気になる所とかを修正しています。話自体は全く変わっていないので読み返さなくても大丈夫です。
「⋯⋯マズいな」
戦闘が始まってから既にそれなりの時間が経過した。花付き触手の対処法も分かって暫くは膠着状態が続いていたのだが、ここで遂にスウィートたちの魔力に底が見え始めた。
特にリンドウの方はもう息も絶え絶えといった様子で、このままだと近いうちに限界を迎えるだろう。
今はギリギリスウィートや俺のカバーが間に合っているが、それもいつまで持つか⋯⋯。
「⋯⋯撤退も視野に入れるか」
俺1人なら兎も角、彼女たちを無用な危険に晒す訳にはいかない。
今狙っている事が通用しなかった時は、大人しく退くとしよう。そもそも、チャンスが来るまでに2人が致命的な一撃を受けないかは微妙なところだが⋯⋯。
これは完全に俺の予想だが、カナンさんも俺たち同様の魔物と戦っているために駆けつけられないのではないだろうか。
奴の耐久力ははっきり言って異常だ。魔物は通常、第二形態とかそんなゲームのボスみたいな能力は所持していない。こう何度も何度も立ち上がって、その度に一回り強化されるような事自体がまずおかしいのだ。
そのためカナンさんでも簡単に倒し切る事は難しく、戦闘が長引いているのではないかと考えられる。
まず大前提として、俺単体に黒馬を仕留め切るだけの火力は無い。何時間もかければもしかしたら倒せるかも知れないが、その頃には流石に援軍が来ているだろう。それこそカナンさんが来るかもだし、一足先に元の世界に帰還した辻宮先生が別で手配してくれている筈だ。
要するに、俺たちが黒馬に勝てなくても実はそれ程問題は無いのだ。自由に暴れさせないために引き付けて時間を稼ぐ必要こそあるものの、可能ならばこの場で倒したいというのは完全に俺の我儘である。
だけどここで逃げたら、これから先同じ様な敵に遭遇した際にもずっと逃げ続けないといけなくなる。そんな気がしてしまうのだ。
「ちょっと良いか」
「んわっ!?びっくりした!どしたの〜?」
黒馬の攻撃を捌き切ってから一旦スウィートの元へ転移する。
「2人とももう限界だろ。そろそろ撤退も考えて行動し始める頃合いだ」
「そんなっ!?あーしならまだやれるよ!」
「駄目だ。これ以上は自分だけじゃなくて他の皆も危険に巻き込む可能性が高くなる」
「ぐぬぅっ⋯⋯」
こういう言い方をすれば、心優しい彼女は無茶な行動を取り辛くなるだろう。
「だからあと一度だけ、俺にチャンスをくれ。もしそれが失敗すれば即座に帰還する」
「っ!⋯⋯りょーかい。あーしに手伝えることある?」
「勿論。手伝うどころか作戦の要と言っても良い」
「⋯⋯マジで〜?」
「大マジだ。リンドウも呼んで、一旦作戦会議だ」
× × ×
「─────と、いう訳だ。やれそうか?」
一先ず物陰に隠れて大まかな作戦を説明する。あまり時間を掛けると花付きの触手に見つかる可能性が高いからな。
「あーしは大丈夫だけど、本当にそんなこと出来るの?」
「⋯⋯恐らく、としか言えないな。俺もまだ試した事が無い」
これを試すには、協力相手が必須だからな。単独行動しか経験の無いぼっち野良勇者の俺にはやれる筈がない。
「まあアイツとまともにやり合えるのはアルセーヌだけだし、ウチらは従うしか無いんじゃね?」
「それは分かってるけど〜、やっぱりアルセーヌの負担が大き過ぎるというか⋯⋯」
作戦の概要は至ってシンプルだ。俺が黒馬の注意を引いてスウィートがとどめを刺す。リンドウはその間邪魔が入らないように周囲の触手を牽制及び破壊する。細かい話をすれば当然これだけではないが、役割は凡そ今までと変わらない。俺が撹乱、スウィートが火力、リンドウがサポートだ。
限界が近いリンドウには無理をさせる事になるが、事前に可能な限り触手は破壊するので、どうにか踏ん張って欲しい。
「俺の方は大丈夫。それよりもリンドウが心配だ。少しの間とはいえ、黒馬以外の全部を相手して貰う事になるから」
「ウチもいける。ここでやらなきゃ勇者じゃないっしょ」
普段通りの気怠げな目元とは裏腹に、瞳は爛々と闘志に燃えている。
「⋯⋯すまん、頼んだ」
「Gyuraoooooonッッ!!」
「「「⋯⋯っ!!」」」
各々が決意の表情を浮かべる。黒馬の方も怒りが限界らしい。決行の時は近い。
「それじゃあ、くれぐれも無理はするな。最悪、生きて帰れば俺たちの勝ちだ」
「⋯⋯うん、大丈夫」
「うぃ」
× × ×
「さあ、そろそろ閉幕の時間だぜ?」
黒馬の真正面に転移する。もう隠れる必要は無い。ここからはずっと俺たちのターンだから。
「Gyarorororoッ!」
「おいおい、同じ芸しか出来ないのかよ?」
黒馬の種子飛ばしに対し、巨大化分裂ナイフで応戦する。ここまでは互角。触手も良い感じに間引いている。⋯⋯となると、黒馬がやる事は1つだよな?
「Gyaroaaaaaッ!!」
「予想通りっ⋯⋯!」
花付き触手を地面に刺す攻撃。いくら対処法がバレているとはいえ、俺1人に対して地面から生えた触手と本体の攻撃を集中させれば何とかなると考えたのかも知れない。だがそう簡単に思い通りにはさせない。
「よっ、と」
即座に俺は糸付きのナイフを1本と巨大化のカーテンを準備する。普通なら敵に向かって投げるところだが、今回は2つとも真上に投げる。
そうして指先から伸びる糸を引っ張れば、巨大化した糸付きナイフが手元に返って来る。これで即席の両手剣の完成だ。
柄も巨大化しているため非常に持ち辛いが、数回振るう程度なら問題無い。
「ずっと疑問だったんだ」
何故黒馬が地面に刺してから生えた触手は再生するのか。種から生えたものとの違いは何だ?花は何のためにある?
花を壊しても触手は一応追尾して来る事から、本来触手に目は必要無い。だとしたら、それは操作している本体のためのものという事。
再生するのは本体の触手と繋がっているため。恐らく、地中で触手を高速で伸ばし続けているのだろう。だったら⋯⋯。
「今攻撃したら、どうなるんだ?」
次々と襲い来る触手を全て躱し、黒馬に向かって一直線に駆け抜ける。狙いは地中に伸びる触手の根元!
「ぅおらぁぁぁぁぁぁあッッ!!」
──────ザザザザシュウゥッ!!
「Gyaroaaaaaaッッ!?」
慣性を乗せたまま連続転移をする事によって、一度の薙ぎ払いで地面に刺さったほぼ全ての触手を断ち切る!
明らかに苦しそうな雄叫びをあげた黒馬は大きく仰け反り、立っていられない程の衝撃だったのかそのまま横転してしまう。
たった今切断された触手は徐々に再生しているようだが、通常時と比べるとその速度には明らかに差がある。
全体の触手は半分程になり、攻撃も防御も手薄になっている。ここしか無い!
「今だ、やれッ!!」
「【夜霧】」
その直後、俺や黒馬を含めた周囲一帯を暗く深い濃霧が覆った。
推しはプンプンパです。
2章は既に書き終えているので、ストックと相談しつつ少しずつ更新していく予定です。
ここまで読んで頂きありがとうございます。




