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怪盗勇者アルセーヌ  作者: 十河 水屑
Chapter2, 新学期とギャル勇者
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Ep2-17 校外学習ex-1.5 前

《SIDE-月島》




 リンちゃんやしぃちゃんも含めた全員がしっかりと走り去ったのを確認してから、改めて魔物の方を見る。


 今まで戦ってきたどんな魔物とも違う、完全に未知の敵。パーツを1つずつ見ればそれとなく似た魔物が居た気もする。けど全部が絶妙にチグハグになっていて、色々な魔物のパーツを無理矢理繋ぎ合わせたようにも感じられる。

 なんて言う(ゆー)か、あんな生き物がいて良いのか?というのがあーしの素直な感想。



「うわぁ、マジでキモイわ〜」



 8つの眼と脚をバラバラに動かしながら歩く魔物。身体部分のシルエットだけを見れば、ギリギリ馬に見えなくもない。魔物だけだと分かり辛いから便宜上黒馬って呼ぶけど、あーしはアレをお馬さんだとは絶対に認めない。



 進行方向はみんなが逃げた方。あーしの存在には気付いているはずなのに向こうを追いかけるのは、単純に人数が多くて目立つからか、それとも何か別の要因があるのか。

 どちらにせよ、そのまま行かせる訳にはいかないよね。



「こっち無視すんなし!」



 黒馬が射程距離に収まるまである程度接近し、勇者スウィートの専用武器『文明板(スマート・ボード)』を取り出す。

 どこからどー見てもスマホであるこの武器は内外のカメラと幾つかのアプリ、それからなぜかSNSが使える。戦った魔物の映え写真を載せたら思いのほか人気だったから、今もそこそこ頻繁にアップロードしている。

 ⋯⋯本当はそれに加えてこの狭間の世界でも繋がる通話機能があるんだけど、対になる電話が存在しないから今のところ完全に無駄な効果だ。



「⋯⋯てか、あんなんどうやって撮れば良いの〜?」



 まず画角に収めるのが難しい。遠目からはゆっくりと歩いているように見える黒馬は、実際はその巨大な体躯相応のスピードで動いている。

 近過ぎるとちゃんと全体が写らないし、かと言って遠いと射程外だ。



 とは言え、アイツはこっちを気にせずにみんなを追いかけている。だったらその隙、遠慮無く突かせて貰うから!



「まあ何とかなるっしょ!そーれっ!」



 スマホからカシャッ!というシャッター音が鳴り、フラッシュが光る。斜め前のアングルからの1枚は、被写体が移動している事もあり残念ながらあまり上手く撮れているとは言い難い。



「Cuッ!?」



 ピタッ!と身体が硬直し、動きが完全に止まる黒馬。その顔はさっき練習で相手をした大鬼(オーガ)と同じく、驚きに満ちているように見える。⋯⋯魔物の表情なんて分かんないから想像だけど。



「よっしゃ行け〜!」



 敵が停止している間に、あーしの1つ目のスキル【菓子砲(シュガー・ラッシュ)】を発動。たくさんのお菓子で(ちょー)可愛くデコってあげる!



「Curuoooonッッ!!」


「えぇっ!?もー動くの〜!?」



 あーしの可愛いお菓子たちは、黒馬の背中から生えた触手で全て撃ち落とされてしまう。⋯⋯ある程度は覚悟してたけど、まさかここまで停止(スタン)が効かないとは。



「Curaaaッ!!」



 ようやくあーしを敵だと認識したらしい黒馬が、巨大な触手を伸ばして攻撃してくる。

 まだそれなりの距離があったんだけど、物凄い速さで距離を詰めるソレは、その数も相まって全てを(かわ)すのは難しそう。



「⋯⋯っ!えーいっ!」



 咄嗟に大きなクッキーを数枚召喚して、避け切れなかった触手の軌道をそらす。⋯⋯食べ物を粗末にするのは気が引けるけど、あくまで魔力で作られたものであって実際に食べられるワケじゃないから許して欲しい。



「おかえしっ!」


「Curoaaッ!」



 反撃に『文明板』でスタンを狙ったけど、攻撃に使っていない触手を器用に使って射線を切られてしまった。

 写真に撮られた触手が一瞬硬直するも、すぐに動き出してしまう。



「もう対応してきてるってマジ〜⋯⋯?」



 ていうか、それ以前に硬直時間があまりにも短すぎる。この武器には『撮った写真がエモいほど硬直時間が延びる』という効果があり、それはつまり裏を返せばエモくなければそんなに長い時間動きを止められないということ。

 だけどそれを踏まえたとしても、1回目はお菓子が着弾するよりも前に黒馬は動き出したし、2回目の今に至ってはほんの一瞬だった。


 ⋯⋯レベル差があるとこんなに効かないとは流石に思わなかったな〜。



「⋯⋯これ、どーすんの?」



 想定していたよりもかなりキツい。本当なら『文明板』を使って逃げ回るつもりだったけど、このままだといつか必ず触手を捌き切れずにやられる。



「やっぱ無茶だったかなあ〜⋯⋯」



 どう見ても格上なんだよね〜アイツ。レベル3って話だったけど絶対に何かの間違いでしょ。

 けど助けを求めるワケにもいかなかったし、あーしがやるしか無かったもん。悩んだってしょうがない。



「気合い入れろ〜!」



 緊張で固くなっていた頬を両手で(ほぐ)し、気合いを入れ直す。

 別に敵を倒す必要は無い。皆が狭間の世界から出られるまで時間を稼ぐのが目的だから、最悪ヘイトを稼いで逃げ回るだけでも良い。

 問題はそれすら難しいことなんだけど、それくらい出来なきゃ勇者として不甲斐なさ過ぎるよね!



「【人形兵(ドール・アーミー)】っ!」



 あーしの周囲に3体の編みぐるみが出現する。可愛くデフォルメされた女の子の姿をしたそれらは、勇者スウィートの2つ目のスキルによって召喚されたものだ。


 それぞれが別のお菓子を手に持っていて、右手にアイスキャンディー、左手にマドレーヌを持っているのがアミちゃん。棒状のプレッツェルにチョコがコーティングされたお菓子、要するにポ〇キーを持っているのがクルちゃん。そして赤と白の縞模様のステッキみたいな形のキャンディ(キャンディケインというらしい)を持っているのがミーちゃんである。名前が少しだけ安直なのは気にしちゃダメ。

 基本的に操作しなくても自分の意思で動くけど、あーしの指示にもちゃんと従ってくれるとっても良い子たちなんだよ!



「みんな〜!アイツをぶっ飛ばすぞ〜!」



 人形たちが短い腕でピシッと敬礼をした後、一斉に飛び上がり戦闘態勢をとった。うんうん、今日もめちゃキュート!


 よーし、ここからが本番!小さいからって油断したら、痛い目見るんだから!




スウィートが思ったより強くて1話で終わりませんでした...


ここまで読んで頂いてありがとうございます。

もし宜しければ、ブックマークや下の☆から評価をして下さると作者が喜び、イカの新シーズンを心待ちにしています。

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