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運命にあがく
こんな時でも喉が乾いてきたし、トイレにも行きたくなったけど、今自分にできることだけを考える。
玄関に着き、ふと思いつく。
紙をちぎり、暗記していた電話番号を記入する。
ペンで紙の外側を黒く塗り、セロテープで自分の傘の骨に取り付けた。
桜の傘よりも、これは僕の傘を通して伝わってほしい。
僕なんかの注意力ではきっとこれには気づかないだろう。この程度の情報なら、遠ざかりの対象から外れてくれる可能性がある。
未来の僕たちが、一つの決断をしてくれることを信じて。
残った時間に、他に何かできることはないか。
未来に自分に送るべきメッセージは送った。
桜に残すメッセージを書きたい。
これから僕が行うことは無意味になるかもしれない。
手紙なんて書いたって、遠ざかりが生じた瞬間に自分で捨ててしまうだろう。
それでも何か、悪あがきをしたかった。
桜に貰ったボールペンを握る。
そして、床に直接文字を書き始めた。




