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雨の日に笑うの、透明人間。  作者: 踏切交差点
大学2年
28/51

雨が告げる未来

絶望した過去が、君との仲人だった。

優と桜が二人で笑っている時。

一人の浪人生はその日も自室のベッドに寝転びながら、匿名掲示板に書き込みをしていた。




世が霞むような日々。

社会に蔑まれる時間。

見捨てられた場所に身を潜めて。

憂鬱な音楽ばかりを聴いている。

夕方になり焦燥感に襲われた。

あてもなく自転車を漕ぎ続けた。

高校生のカップルがキスをしていた。

指の隙間から覗き見た。

ピーピング・トムの大罪だ。

ありえたかもしれないはずの光景。

過去に立ち向かえなかった。

過去から逃げ切れもしなかった。

幸せになるのは斯くも難しい。

君はのうのうと生きている。

同じ世界に立っている。

同じ雨に打たれている。

君が飲んだ水が巡り巡って。

僕の体内に入ることを想像する。

君が出すもの全部飲んであげる。

君は僕の運命の人だ。

僕が君の運命の人でないとしても。

自分が正しい人間なんて思わない。

僕はひたすら自分に死ねと誹り続ける。

あの日も雨だった。

物語で雨が降るのはいつだって最悪の前兆だ。

雨が降る日に君に会いにいけば。

君は雨が降るたびに僕を怖れてくれるだろう。

好きだと言って振り向いてもらえないなら。

あなたが憎いと振り向いてくれ。

桜。

明日もまた、雨が降るみたいだよ。


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