ノーレイン ノーレインボウ
どうあがいても幸せになれない二人が、幸せになろうとあがいた。
【天気:雨】
ターゲットの尾行、1日目。
「来た!来たわよ!」
「どうした、女の子の日が来たか!?」
「違うわよ!どんな報告よ!」
「痛ぇ!」
「教室からターゲットが出て来たのよ!ストーカー中なのをお忘れ!?」
「もう講義終わったのか。この人混みの中よく見つけたな」
「あそこにいる。ピンク色の傘さしてる」
「いた。やっぱ彼氏とデートに行くのかな」
「どうしてよ?」
「女の子がピンク色の傘をさしてるんだぜ」
「それはビニール傘をさしてあんたのストーカーを手伝っている私なんかへの皮肉?それともただの偏見?」
「妄想の統計だよ」
「それを偏見っていうの。まぁ大学4年生だから、恋人くらいいたっておかしくない年齢だけど」
「あれ、神田さん彼氏いたっけ?」
「おかしな女で悪かったわね」
「まあネガティブになっちゃ駄目だよな。俺は諦めないぞ。困難の先に光がある。外国のことわざでもあるしな」
「何てやつ?」
「“No rain, No rainbow. ”雨が降らなければ虹も現れない」
「環水平アークと言って、雨が降らずとも氷晶に太陽光が屈折して虹が出ることもあるわよ?」
「空気読んでよ」
「空気より天気を読むべきよ。雨が降らないと私も力を使えないんだから」
「ちょっとは優しく接してくれませんか?」
「んふふ。ほら、さっさと追いかけるわよ、ストーカーさん」