表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/9

賤ヶ岳の戦い4

三成「……本陣の西……。」

吉継「戻って来るなりどうした?おやっさん。珍しく予算を削って来たのか?」

三成「いや。資金面については問題無かったのであるが……。」

吉継「あるが。どうしたのだ?」

三成「殿に陣構えを見せたのだが。ここが一番のポイントとなる場所を空けておけ。と申してな……。」

吉継「見せて見ろ。」


一読して


吉継「完璧過ぎる。これでは勝負はつかぬ。お互い睨み合って終わるのが関の山だ。」

三成「ただここを手抜きしてしまうと……。」

吉継「殿はこのいくさで柴田を葬り去ろうと考えておる。そのためには柴田を我が陣地に深入りさせなければならない。その餌が必要となる。」

三成「黙って要害を拵えておこうか……。」

吉継「やめておけ。なまじ造って柴田に使われたらそれこそ一大事だ。そのままにしておけ。」

三成「……でもな……。」

吉継「素通り出来るようにさせておけば相手にとってはただの山だ。」

三成「……ここを素通りさせるわけには……。」

吉継「いいから。いくさの事は俺に任せておけ。お前は殿から預かった資金を使って狼煙ネットワークの構築をやっていればいい。ところで殿にはどれくらいの兵糧が必要か伝えたのか?」

三成「お前の言った1ヶ月半をそのまま伝えた。殿もその期間で勝負をつけることを考えておった。」

吉継「調達のほうは問題無いのか?」

三成「お前に心配されるとは思っていなかったが。」

吉継「ごめんごめん。専門外だ。」

三成「最初は長期戦も想定して若狭の商人を動かそうと思っておったのだが。」

吉継「鳥取城の時のことか。」


鳥取城の時のこと

鳥取城は室町幕府の名門山名氏の城。戦国時代に入り、尼子氏と毛利氏の侵攻に遭いたびたび降伏。羽柴秀吉が鳥取を攻めた時は毛利の勢力圏にあり、城主は山名豊国。3ヶ月の籠城の末、豊国は降伏、織田に臣従するも勢力圏の回復を目論む毛利が兵を進めるや、今度は毛利への降伏の意思を示す豊国に嫌気が差した家臣が豊国を追い出し毛利の傘下となって迎えたのが天正9年3月のこと。


吉継「豊国が我がほうに使者を出したんだっけ。」

三成「で。見つかってしまって豊国は出奔。」

吉継「一度は織田の城になったのだから、当然奪い返しに行くことになるのではあるが。」

三成「三木城の経験があって。」


三木城の経験

天正5年。織田の播磨進出にともない三木城城主別所氏は、一度は織田に従属するも再び毛利方に離反。これに対し攻城にあたった秀吉は三木城への補給路を遮断する手段を採用。途中、荒木村重の離反に遭うも最後は城の兵糧が底を尽き落城。


三成「ただそこまでに至るまでの時間が掛かり過ぎた。」

吉継「1年と10ヶ月だからな……。」

三成「この時の反省から殿が鳥取で採用したのが、若狭の商人を使って。」


若狭の商人を使って

秀吉は若狭の商人の船団を鳥取城のある因幡に送り込みコメを高値で購入。この情報を聞きつけた鳥取城は、ここぞとばかりにコメを換金。その対象を兵糧米にも手を出してしまったため、来るいくさに備え毛利から送り込まれた吉川経家が城主として赴任した時、城内に残されたコメは20日分しかないありさま。


吉継「そこに我が軍が押し寄せ、周囲の農民を城へ追いやると同時に補給路を遮断。あとは……。」

三成「殿は血を見るのはあまり好きでは無い様子ではあるが、飢えにもがく人を見るのは……。」

吉継「信長様は火だったな……。」

三成「これを北陸で。とも考えていたのではあるが、背後が山。本拠地は雪で閉ざされていることを考えれば必要無いのかな?と。その分、余った資金を味方の兵糧と塩硝の調達並びに補給路の確保に充てることにする。」

吉継「全て購入するのか?」

三成「ただでさえいくさで迷惑を掛けることになるのだから、それ相応の対価を払うのは当然でしょ。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ