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賤ヶ岳の戦い2

吉継「なんだ改まって。」

三成「本陣をどこに定めれば良いか教えていただけないものでしょうか?」

吉継「ん!?北近江はお前の地元だろ。」

三成「確かに。」

吉継「で。お前の情報が役に立って、長浜の城を奪還することが出来たんだぞ。」

三成「如何にも。」

吉継「北近江のみならず周辺国の情勢分析も滞りなく進めているのだろ。」

三成「その通り。」

吉継「で。なんで決戦の舞台がわからないんだ?」

三成「どうも私はいくさには向いていないようなのだ……。」

吉継「……まぁ自分の給料の全てを1人の武将に費やしてるからな……。で。殿から『本陣の場所を決めよ。』と言われたんだな。」

三成「苦手なことは知っているハズなのに。」

吉継「殿の中では、『本陣はここ』と決まっているハズである。それを敢えて言わずに指示を出した。と言うことはつまり。お前に成長してほしい。との親心も働いているな。かと言って三成にその能力は無いから、軍略を得意としている人物に。普段、絶対頭を下げることの無いお前に。頭を下げさせることによって周囲との関係も回復させてやろう。そう言う事かな?ならば俺なんかより福島(正則)か両加藤(清正・嘉明)に頼んだほうが良いな。じゃっ!!」

三成「それだけは勘弁してくれ。頼む。お願いだから……。」

吉継「しょうがねぇなぁ……。現在の情勢を教えてくれ。」

三成「長浜奪還に伴い我がほうと柴田方と境を為すのは次の3つ。1つは降伏したとは言え、依然勢力が温存されている美濃の織田信孝。2つ目が先の清須会議により、信濃と上州の権益を放棄したことに不満を抱く南方伊勢の滝川一益。そして何より北方越前の柴田勝家。この中で、我がほうに直接いくさを仕掛けて来るのは柴田勝家のみ。」

吉継「進路は若狭か近江となるが、信孝と滝川とで戦線を張っている以上柴田は北近江の。それも琵琶湖の東側を狙うことになる。」

三成「我がほうが迎え撃つとなると……。」

吉継「長浜の平野にまで降ろしてしまうと、若狭(と西近江)の丹羽殿との連絡が琵琶湖で遮断されることになることに加え、柴田に美濃の信孝と伊勢の滝川の三方から包み込まれることになるのでそれだけは避けたい。」

三成「となると近江と越前の国境地帯で封じ込めたい……。」

吉継「柴田が進出するなら北国街道を使うことになるであろう。」

三成「越前口に近い柳ヶ瀬か……。」

吉継「柳ヶ瀬だと余呉の湖が後ろになってしまうので。」

三成「そうなると長浜口の木之本を防衛の拠点として整備……。」

吉継「余呉の湖の西からも敵が攻めて来ることも考えると……。」

三成「湖全体を要塞化する必要が出て来るのか……。」

吉継「敵は北だけでは無い。」

三成「美濃の信孝並びに伊勢の滝川の動静にも注意を払わなければいけない。」

吉継「そうなると必要となるのが。」

三成「連絡手段の確保と移動の便。」

吉継「幸い信長様の時代に道が整備されている故、行軍に支障を来すことは無いが。平時は必要無かったため設置されていない……。」

三成「狼煙のネットワークの構築を急がなければならない。」

吉継「そのための予算を殿から引き出すのは得意だろ。これぐらいで良いか?」

三成「あとは……。」

吉継「まだあるのか?」

三成「このいくさ。どれくらいの期間。掛かることになるのであろうか?」

吉継「お互いに砦の構築に終始することになると、それこそ10年単位のいくさとなってしまうが、当然殿はそれを望んではいないであろう。」

三成「丹羽殿と合わせ5万の軍勢を養う兵糧と弾薬の確保も併せて求められておる。」

吉継「……俺には無理だな。……で短期決戦に持ち込みたい。と言っても殿の性格上。味方の被害を極力小さなものにしたいと思っているであろう。」

三成「……となると殿は柴田の軍勢を砦から出させる方策を採ることになる。」

吉継「殿は敢えて敵に隙を見せることにするであろう。そうなった時にどうするのか?その答えを殿はお前に求めているのであろうな……。」

三成「丹羽殿との連絡及び補給が容易でかつ柴田の侵攻を停めることの出来る木之本に本陣を構え余呉の湖を要塞化すると共に美濃・伊勢の情勢を伝えるネットワークの構築。短期間でいくさを終わらせるため、敵を砦から出させ。出来れば柴田にとって余呉の湖が背水となる場所にまで誘き出させたところで叩く。ただそれにはこちらが隙を見せなければいけない。その危険な賭けに殿が出た時、今回のミッションの中で、殿が私に求めていることを実現させる。そうするためには……。」

吉継「ここからはお前の得意分野のハズだ。頼んだぞ。」

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